第0話的な何か。#イケメン嫌いの審神者はかく語る。
女子大生審神者、虹原ワカナは初期刀の加州清光と癒やしでそばに置く初期鍛刀の五虎退と小夜左文字、新しく鍛刀した刀に目を奪われた。
眼の前に現れた男士は、グレーかかった桜色の髪。シルバーの眼鏡、中性的な穏やかな顔だが、灰色の切れ目がちな目は微かに色気がある。珍しい白いスーツ戦闘服に赤、桜色が差し色。スラリとした体躯でありながら、どこか気品がある。現代社会では刀は武器というより美術品に分類されるが、その刀はまさにそれに該当する気がした。
きまり文句を言うその刀は亀甲貞宗と名乗った。あの明るく元気な太鼓鐘の派生らしい。
声は穏やかで、ワカナには心地いい声。だが、鍛刀部屋にいる全員は『千子村正ばりにやばいのが来た』と戦々恐々した。
ワカナは、顔の綺麗な男性がダイッキライだった。審神者界隈でもイケメンと呼ばれる部類は苦手なので、必要以外は接しない。初期刀の加州を通している。
ただ、学生時代にこじらせて新選組にのめり込んだので、そこの刀たちは平気だが、こっちの都合なしに遠慮なしに話しかけてきた。いちよ、3メートルぐらい距離をあけて話しかけてくれる。
ただ、早めにきた薙刀の静形薙刀だけは気をゆるしていた。なんでも、顔が歌舞伎の女形みたいだから平気らしい。イケメン揃いの伊達や粟田口、三条の一部が困惑したのはいい思い出なぁっと加州は振り返る。
その、たぶん変わり者?だと思われる亀甲貞宗をぽかーんとみんなで見つめると彼は「鍛刀そうそう、無言、放置プレイ。悪くないね」っと上品に、喜々と笑う。すかさず「違うからね!!」って加州のツッコミが。
ワカナはじっと亀甲を見つめる。
「無言の次は視姦。ご主人様は才能がおありなのかな?」
加州はなんの?!っというツッコミを抑えながら、ずっと黙り亀甲貞宗を見つめる自分の審神者を見る。
自分を選んだ理由は、その赤い鞘が綺麗だったから。と言う理由。その後に他の初期刀か鍛刀されて姿をみるなり「………あのとき加州を選んで良かった」と。嬉しいが複雑な気持ちなった。山姥切国広に関しては「なにあれ、詐欺じゃん!!イケメン!よくいうテストの前日に勉強してなぁーいってカマトトぶってる女子じゃん!!いつか、わからせてやる」っと叫んだのも良い思い出だ。
イケメンに恨みでもあるのか。
イケメン擬人化男士だと、主は死んだ魚の目をして淡々と自己紹介をして「加州、ごめんね、あとはよろしく」と肩を叩いて鍛刀部屋から出ていくが、ただじっと見つめる。
亀甲も何かに気づいたのか「どうしたんだい?僕の顔に何かついてんのかい?」と。
「………残念だから?イケメンなのにまったく不快感がない。」
鍛刀の二振りは驚き、加州は「はぁ!?」っとつっこむ。
「ふふふ。残念とは。どんな想像をしてたか気になるけど期待添えなくて申し訳ない。さて、何かお仕置きがあるのかな?」
期待をする亀甲に「おしおき?」と、ワカナはピンと来なく言葉を返す。
「あぁ!!なんなりと申し付けて欲しい!!でも、まずは、ご主人様。貴方のことをちゃんと知りたい。それからなら、どんなお仕置きも大歓迎さ!!」
改めてヤバいのが来たと震える三振りに、ワカナは首を振り「それなら、加州と一緒にこの本丸の近侍になって」と。
ワカナの言葉に「ご主人様?」と亀甲の言葉に驚きが交じる。
「貴方なら、きっと、信用できる。」
「それは嬉しいけど、初対面の相手を軽々と信じちゃいけないよ。」
「私、かわいいものとちょとズレてる色物が好きなんです。たくさんかわいいがりますよ。いい意味でも悪い意味でも。」
「理解がありそうなご主人様で何よりだよ!」
二人はふふっとお互いに笑いあった。