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静室へと魏嬰を連れ帰ることに成功した藍湛は、下半身の治療をしようとして魏嬰の呼吸があまりにも浅く早いことに気が付いた。藍湛にはこの呼吸をするものを視たことがあった。初めて雲深不知処に来た人が時々こんな呼吸をすることがあるのだ。そう思い出して魏嬰が呼吸困難に陥っている事に気が付く。はじめは高所を移動したからだと思ったが、すぐに下半身が魚になったことによって魚と同じ呼吸が必要なのではと思い至る。水を張った風呂桶に魏嬰を入れてしばらくすると、魏嬰の呼吸が安定する。それにほっと息を吐く藍湛。人魚になった魏嬰はもう陸だけで生活するのは困難になっていた。彼はもう水のない場所を移動することはできないのだ。ほの暗い歓喜が胸を満たす藍湛。
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