セナ様の掌の上 「ユウキ、ちょっと待って」
「え?」
「はい、そのまましゃんとして」
セナに言われるがまま背筋を伸ばせば目の前のセナはくすくすとおかしそうに笑った。
「いえ、あなたがとても緊張しているみたいだから」
「う…」
だってセナからいい匂いがするから、とも。好きな人にセナがとてもよく似ているから、とも言えず顔を赤くしながら黙れば変わらずセナは笑った。
「タイが曲がっていたわよ、ユウキ」
「あ、ありがとう…!」
そのことがまた恥ずかしく顔を赤くすれば慈しむような目でこちらを見つめ、セナは私の鼻の頭をちょんと押した。不思議に思っていると周りの視線が向けられていることに気づき、そしてタイをなおしてもらうという意味にハッとする。
「将来的にあなたは私の義妹になるんだし、今更姉妹の関係になってもおかしなことは何一つないと思うけれど?」
その言葉に、全てお見通しとでも言うようなセナの笑顔にますます私の顔は赤く染まっていったーー。
***
「ずるいずるいずるい!セナだけずるいよ〜!」
「学校の制度ですもの。仕方ないことですわ」
「満更でもないくせに…」
「ふふ」
セナとカムイ、栖原双子の定期的に開催されるお茶会にてユウキとのことを自慢されたカムイは羨ましがっていた。
「というか、このことを羨ましがるくらいならもっと進展でもしなさないさ」
「うぐっ」
「キスの一つもまともに出来ないくせに…」
「うぐぐっ…」
ぐうの音も出ない言葉に徐々に意気消沈していくカムイ。それを見てセナはくすくすと笑いそしてスコーンを口にする。
(本当、カムイといいユウキといい…揶揄いがいのあること)
セナに翻弄されていることにも気づかずカムイは百面相をし、そして噂されユウキは一人くしゃみをした。
-Fin-