Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    5jinkaku_ik

    @5jinkaku_ik

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 22

    5jinkaku_ik

    ☆quiet follow

    リ探
    書きかけ

    なんだろう。何かが違う。
    いつもより少し大袈裟な仕草、変なところで紳士ぶるところ。いつもより低く感じる体温。
    テンタクルを纏ういつものリッパーと何一つ変わらない筈なのに、心が何か変だと騒ぎ立てる。

    「リッパー…?」
    「なんですか?」

    仮面の奥の目を少し細めて僕を見るところも、耳裏を擽ぐる指も何も違わない。
    なのに、この違和感はなんなのだろう。

    「ノートン?」
    「……いつもみたいに呼んでくれないの?」
    「……。」

    黙ってしまった。
    いつもみたいに、と言われて悩んでいるのか、それとも僕がこんな事を言い出したことに戸惑っているのか。

    「いつもみたいに、ノーティって呼んでくれないの?」
    「……あぁ。あぁ、もうそこまで蕩けた気分になってくれていたとは。気付けずにすみません、ノーティ。」

    そう言いながらこめかみに口づけを落とされる。
    いま彼は僕を"ノーティ"と呼んだ。
    いつものように甘く溶けるようなテノールで。

    「貴方だれ。」
    「え?」
    「リッパーは、ジャックは僕をノーティなんて呼ばない。リッパーはベッドでも僕をノートンとしか呼ばないんだ。ノーティなんて呼ばれたことも、そんな話をした事もない。」

    真っ直ぐに見つめて、抱き込もうとしてくるテンタクルを強い力で抑える。
    対峙するテンタクルが何を考えているかさっぱり読めないけれど、受け入れてはいけないと本能が警笛を鳴らす。
    いったいお前は誰なんだ。

    「ふ、フッフッフッ……。」
    「何がおかしいの。」
    「さすが、私が気に入っただけはありますね。よく躾られている。」
    「僕はペットじゃあないよ。」
    「えぇ…えぇ、もちろん。なるほど、その目はとてもいいですね。」

    見慣れた仮面のその奥で、見知らぬ光がぎらりと揺れた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭👏👏💘👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator