愛情は一番の調味料、なんてベタだけど 平日の、ランチタイムを過ぎた時間だった。店の奥の、いつもの席。お客さんに振る舞うものと同じ熱量と真剣さをもって作ったまかないを、テーブルに並べていく。普段に比べて格段に静かな四人掛けのボックス席は、今日は麻雀牌もなくって皿を並べやすい。それに僕が両手に皿を持っているのを見るなり、こはくちゃんはすぐに席から腰を上げて配膳を手伝ってくれた。おかげで二度の往復だけですぐに食事にありつけた。
ひと言お礼を言うと、「こんな美味いご馳走を作ってもろてるんやから、こんなのお返しにもなってへんよ」と眉を下げる。本当に、いい子だ。
四人掛け席に向かい合って、二人して手を合わせる。
迷ったのは一瞬。テーブルに並ぶ皿に端から端まで目を通し、瞬きをする間に判断を下す。
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