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    a_9matu

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    a_9matu

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    バッツマンが配達員を助けるために納棺師をクリケットバットで殴って殺してしまったので二人で納棺師を納棺する話。
    気持ち的にバツ(←)配がバツ→←←配になる感じ。そう、この配くん闇深いので納棺師を踏み台にしました。ガンジくんに対してめちゃくちゃいい子のフリしてるけど、これも自分を好いてもらうための計画の一つです。
    背景推理やってないのでガンジくん雰囲気で書いてます。ごめんなさい

    踏み台にはちょうど良かった。足元に広がる赤にかつて自分がやったことへの罪を思い出す。あれも正当防衛だった。……これも正当防衛だ。殺されそうになっている奴を見ないフリをするなんてできるわけなかった。ただ思ったより力強くて、手元にあったクリケットバットで殴りつけてしまった。少し気絶してくれるだけでよかったのに、奴の後頭部と俺のクリケットバットには真っ赤な血がこびりついている。それをただ呆然と眺めていれば、誰かに肩を叩かれた。振り返ると先ほど奴に襲われてた、配達員のビクターが俺にメモを見せてくる。
    『助けていただいて、どうもありがとうございました。』
    その様子があまりにも普通で俺は少しだけ背筋に寒気が走る。目の前で倒れてる奴は死んだんだぞ。瞳孔も開いて息もしていない。触った感触だってもう温もりがほとんどなくなって冷たいはずだ。ビクターは恐れることなく、死んだ奴の遺体を抱えるとこの部屋に用意されていた棺の中に納めた。
    「おい、一体何をするつもりなんだ?」
    『死んでしまったのなら、納棺してあげたほうがいいかと思って。この棺は僕のために作ってたそうなのでイソップさんには少し小さいかもしれないですけど』
    確かにそのままにして置くわけにはいかない。けれど、どうしてそんなに冷静でいられるんだ?俺はまだ死んだことを信じられ無い……いや、信じたくないんだ。ボールではない何かを殴りつけた感触。モノとは違う生物。あの火事のときよりもよっぽど罪悪感を覚えている。
    『あんまり、自分を責めないでください。貴方が助けてくれなければ僕は死んでいました。』
    メモを見せて、俺の血濡れた手を取りニコリと微笑むビクターに自分の中の罪の意識が少し軽くなった気がした。
    「…俺も何か手伝おう。せめて少しでも弔ってやりたい」
    ビクターは外にある奴が丁寧に育ててたであろう黄薔薇を指差した。あれをとってこいと言うことだろう。俺は部屋を出て外にある花をいくつか積んできた。摘む際に棘が指に刺ささり、痛みを感じたけれど償いなのだからと我慢した。
    「とってきたぞ」
    花を側に置くと、ビクターはなぜか俺の手をとった。心配そうに見つめると、奴の道具の中から包帯を取り出し、棘で傷ついた指先に丁寧に巻き始める。
    「別に気にしなくていいんだが……」
    ビクターは首を横に振って否定してくる。手当が終わるとビクターはまたメモを書いて俺に渡してくる。
    『僕を助けてくれた、貴方の優しい手がこれ以上傷つくのは見たくないから』
    少し怖いやつかと思っていたけど、ただ優しいだけだったのかと俺はビクターの認識を改めた。それから、随分と丁寧な手先で奴がやったのかと見間違えるくらいに遺体が納棺された。血塗られた部分も綺麗になり、触らなければ眠っているだけなのではとすら思ってしまう。
    「随分と上手いんだな……」
    『隣でずっと、彼の仕事を見ていましたから』
    見て真似できるようなモノなのだろうかと思ったけれど、俺も奴のことは遠巻きにしか見ていなかったのでわかるわけもない。ただ親しい奴に殺されそうになって、その親しい奴が死んで、それを弔ってやるビクターは本当に心が優しいのだろう。だから俺はこれ以上、こんなに優しい奴が傷つかないように守ってやりたいと強く思った。
    『ガンジさん、バラの棘は処理したのでどうか花を添えてもらえませんか?』
    俺はビクターに言われた通りにバラを添えてやる。綺麗にすることはあまり得意じゃないけれど、ビクターにばかりやらせるわけにはいかない。なんとか、詰め終わればビクターの代わりに棺の蓋を閉じた。きっと奴の遺体を見るのは辛いだろうなと思ったから。あとはいい場所に埋めてやれば奴も安らかに眠れるだろうか。俺みたいな奴にあっさり鈍器で殴られて死んで、自分が納棺するつもりだった相手に納棺される。死んだはずの奴に恨みから呪われそうだ。
    『イソップさん、きっとそんなことしませんよ。死の一番近くにいた彼ですから亡くなったことに対して受け入れてくれると僕は思います』
    心を読まれたようなビクターの返答に驚きを隠せない。口にでも出ていたのだろうか。するとビクターは視線が苦手なはずなのに俺の目を真っ直ぐ見てまるで聖母のようにニコリと微笑んだ。口を動かして何かを伝えているようにも感じたが、俺には何も分からなかった。

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