自分の担当しているアイドルに演劇の仕事が来た。グループの中でも抜群の演技力でドラマにも出演して人気うなぎ登り中の彼女には遅かれ早かれ来ると思っていた。実際に彼女には演技とそれに対する熱意という才能があり、それが生かせるようなプロデュースを行なってきんだ。
演劇は始めてであり、きちんと演じられるか不安を感じていた彼女だったが、最終的には受けてくれることになった。
叩けば叩くだけ伸びる彼女のことだ。心配は要らないだろう。自分ができることは仕事の調整と励ましくらいなもので、できる限り彼女の稽古場に顔を出していた。
「また来てくれたの?」と笑っている彼女が汗だくになりながらも満たされた表情をしていて、やっぱりこの仕事を受けて良かったと思った。
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