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    そのこ

    @banikawasonoko

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    文責 そのこ

    以下は公式ガイドラインに沿って表記しています。
    ⓒKonami Digital Entertainment

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    そのこ

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    マイクロトフとカミュー。昨日フリックがごちゃごちゃ思ってた事なんて、マイクロトフにもちゃんとわかっているよ、という話。

    #幻想水滸伝2
    theWaterMarginOfIllusion2

    2025-04-11


     マチルダから離れこの城に身を寄せて一週間程が経つ。朝の訓練は出来うる限り今まで通り続けていたが、今日は少しだけ勝手が違った。
     いつからいたのかは分からない。ふと気がついたときに彼はそこにいた。何もかもを見透かすような随分と凪いだ目をした男がミューズに雇われていた傭兵である事は分かっていた。
     この戦争に最初から参加し、ハイランドに一矢報いた時にも彼はここにいたと聞き及んでいる。寄せ集めもいいところだったこの新生同盟軍をなんとか形にして見せたのは彼の功績が大きいとも。
     成り立ちとそれゆえの脆弱さを知っているからこそ、マイクロトフとカミューが引き連れてきたマチルダ騎士の影響の大きさを正確に計っておかねばならないのだろう。
     朝の訓練をいつも通りに終えた青騎士にカミューは悠然と歩み寄った。頭からかぶった水を拭いながら、マイクロトフは首を傾げてみせた。
    「何を話していたんだ」
    「夕食のお誘いを少しね」
     カミューが悠然と微笑んで見せる。
     自分たちは新参者だ。だが大きな軍事力を持っている。それも元の主から引き裂いて得た力だ。
    「なるほど、いつだ?」
    「今週中には、と言っていたね。あちらも忙しそうだから」
     親交を深めるに否はなかった。
     あちらの懸念はよく分かる。この新同盟軍は脆い。元がミューズの傭兵部隊で、サウスウィンドウとトゥーリバーの武力を取り込み力を増した。だが、それはハイランドという共通の敵を、英雄ゲンカクの養子であるタイラギが打倒す、という物語の上に成り立つものだ。
     タイラギ自身の武力は弱い。だがそれを悟らせてはならない。タイラギのために持てる力を全て使おう、と皆が思わなければ簡単に瓦解する。
     例えばマイクロトフ自身が起つ、という選択肢とて存在はしている。青騎士団と赤騎士団の半数を一声でゴルドーから引き裂いたのはマイクロトフ自身。そこにあるだけで旗印となりえるのだと、自覚はしていた。
     ハイランドを追い出して、再びジョウストンが息を吹き返した時、武力でもって権力を奪い取るのではないか。そしてまた、あの不安定な国を作り出すのではないか。
     マイクロトフにその気はなくても、それが出来るという事実だけで十二分に脅威なのだ。
    「まずは信じてもらわねばな」
    「そうだな。まあ話の分からぬ人では無さそうだよ」
     カミューが言うのならばひとまずは安心だ。
    「話せば分かる、とせめて思ってほしいものだな」
     背筋を冷たい井戸の水が落ちていく。
     あの冴え冴えとした目を思い出した。何かあったら、どれだけ親交を深めようが遊戯をかわそうが剣を抜くことを躊躇いはしないのだろう。そうならないよう、尽くせる言葉があるのならば尽くすことに否はない。
     

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