黒ヒュ×ダ妄想を文にしてみた(また新月の夜が来る……)
ダイは茜色から群青色へと変わりつつある空を見上げると、溜息をついた。……きっとまた「彼」が現れる、そう思いながら。
夜の帳が下りて数刻。もう皆もそろそろ寝静まろうかという頃合いに、ダイはヒュンケルの部屋を訪れた。いつもであれば、まだ子供であるダイならばとっくに眠りについている時間。他の者に見つからぬよう、ダイはこっそりと向かう。
ほとほとと目的の扉を叩くと、すぐに扉が開かれる。部屋の主ヒュンケルは、訪ねて来たのがダイと分かると、ダイの腕を掴んで部屋に引き入れた。
いつもの彼らしくないその仕草に、ダイは確信する。目の前にいるのは「彼」なのだと。
「……来たな」
口の端を持ち上げながら、「彼」は言う。ダイを見下ろすその目には穏やかな慈しみの光はなく、代わりにぎらりとした劣情が浮かんでいた。そんな目で見つめられると、ダイの鼓動は否が応でも早まるのだ。
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