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    BORA99_

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    BORA99_

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    ドフ鰐(+ゾサ)
    現パロ・転生・記憶有り
    ⚠CP混在注意
    ※隣人パロ
    ※クリスマスケーキを買うかどうかもだもだする話
    ※友情出演:ゾサ(古巣)

    本音と建前"この時期"は、喧しくて嫌いだった。
    イルミネーションに明るく照らされた商店街を歩くクロコダイルは、悴む手のひらをポケットに突っ込んで、うんざりしたように眉を顰める。
    どこもかしこもクリスマスムード一色の街を後目に、取引先への訪問を終えたクロコダイルは、自宅兼事務所へさっさと戻ろうと、足早にキラキラと光る街を進む。

    (・・・ワインでも、買って帰るか。)

    その途中、レストランの店先で、クリスマスケーキとワインが並んで売られているのが視界に入り、何となくその気になるのだから、随分と自分も単純だ。
    ワインとクリスマスの因果は知らないが、それっぽく楽しむぐらい、別に良いだろう。

    「アー、そこの、ナイスミドル。クリスマスケーキはどうだい。・・・こうやって見ると売れ残りっぽいが、味は保証するぜ。」

    ボーッと、店先に設置されたショーケースの中を眺めていたら、後ろの方で煙草を吸っていたらしい若い男が、慌てたように手にした灰皿で煙草を揉み消しながら出てきて、取り繕うように言った。
    "バラティエ"と書かれた据置式の看板に一度躓いた"金髪"の青年は、一つだけ残ったケーキを指差す。
    お互いに、"何か見たことあるな"と思ったことは、誰も知らないし、クロコダイルはできるだけ、その感覚は無視する事にしていた。
    「・・・ワインの方だけ貰おうか。悪いが、一人じゃ食べ切れそうにねェ。」
    「・・・なんだ、独りか。勿体無ェな。あんた、イイ男なのに。」
    「"アテ"が無くもねェが。そいつが、"帰ってくる""道理"もねェ。」
    ガラは良くないが、人好きのする顔で笑った青年は、ショーケースに腕を掛けて社交辞令を吐く。
    クロコダイルの頭の中でチラついた"隣人"は、忘年会ラッシュで瀕死の状態だ。
    今日は取引先とのクリスマスパーティーらしいが、態々はやく切り上げて帰る理由もない。
    「・・・なんだ、クリスマスくらい一緒に過ごしてくれって言やァ良いじゃねェか。」
    「残念ながら、"そういう"間柄じゃァないもんでね。」

    (・・・結局。)

    結局、いつの"時代"でも、"奴"との関係は、曖昧なままだ。
    同僚、腐れ縁、"隣人"。その関係性にはいつも、"別"の名前がちゃんとある。
    それを、態々飛び越えるつもりもない。

    「・・・"それ"、楽だよなァ。」

    ポツリと、青年の溢した台詞に、クロコダイルはドキリと、心臓が妙な音を立てたように感じた。
    目の前の男は呆れた風でも無く、まるで、自嘲するかのように口元を歪める。
    「・・・売れ残ったケーキを"押し付けられた"って、泣きついてみれば?。案外、上手くいくかもしれねェぞ。・・・まァ、」
    一度言葉を切った青年は、頬杖をついてクロコダイルの瞳を覗き込む。
    彼にも、同じような"存在"がいるのだと、その時やっと、勘付いた。

    「まァ、それは、おれが使おうと思ってた"手"なんだけどな。」
    「"売れ残り"が無くなったら、その手は使えないが・・・いいのかね。」
    「・・・諦めて、"作るよ"。うちのは、"本音"と"建前"が分からねェアホなんだ。」

    "それはウチもそうだ"などと思いつつ、口には出さないクロコダイルは、諦めてケーキとワインを買い求める。
    この青年の、立派な"作戦"ごと頂いて、一体どうするつもりなのか、本人にも未だ不明だ。

    「・・・毎度。お幸せに。」

    意外と、幼い顔で言った青年は、ひらひらと手のひらを振って、最後のケーキを包んでくれる。
    その重みに、クロコダイルはやっと、"やってしまった"と、後悔をした。

    ######

    「寒ィ寒ィ・・・。オーイ、"クソコック"。メシ食わしてくれ。後でルフィも来るぜ。」
    「オイオイオイオイ、"クソマリモ"こら。閉店って書いてあんのが見えねェのか。毎回毎回"夜勤"だからってこんな時間に現れやがって・・・。」
    とっくに、"CLOSED"と書かれた札を出していたにも関わらず、ズカズカと"緑髪"の男が入ってきた。
    この街の交番に勤務する"お巡りさん"であるロロノア・ゾロは、言わずもがな、"前世"からの付き合いである。
    "消防士"の"元"船長と二人して、夜勤の休憩時間に現れては、サンジの働くレストランの食材を食い尽くしていく、傍迷惑な公務員共。
    「腹減った。何か作れ。」
    「せめてメニューから選べよ!!!」
    相変わらず、ウマの合わないゾロに怒鳴り返してから、一度脱いだエプロンを付けて、厨房へと向かう。
    その入口で、サンジはふと、ホールを振り返った。

    「アー、ケーキ。・・・あんま甘くない奴、"残ってんだ"。処理してけよ。」
    「・・・おー。・・・世間は、クリスマスだもんな。」

    妙に静かになった空間で、その返答だけが響く。
    何となく、気まずい気持ちでサンジは手持ち無沙汰にその金髪を掻いた。

    『残念ながら、"そういう"間柄じゃァないもんでね。』

    振り返りもしないゾロに、何となく、あの"ナイスミドル"を思い出す。
    別の"名前"がある関係は、いつだって、ずっとずっと"楽"だった。
    それを、"嫌"だと思ったら、それが、"潮時"なのだろうか。

    「・・・やっぱ、さっきの嘘!!。そんな都合よく甘くない一人分のケーキが余るかよ!!!
    てめーの為に作ってやったんだから心して食えよ!!!クソマリモ!!!!」

    勢いで、その振り返らない背中に怒鳴ったサンジは、真っ赤な顔で厨房へと引っ込んだ。
    バタン!!!と、大きな音を立てて扉が閉まった瞬間、ゴツン!と、ゾロの額がテーブルにぶつかる。

    「・・・いちいち、言わなくても分かるわ。・・・アホ。」

    ######

    この時代は随分と便利だ。
    自室のソファでちびちびとワインを舐めるクロコダイルは、ローテーブルに放置したスマートフォンをちらりと見遣る。
    あの"金髪"の作戦を、そっくり拝借したクロコダイルは、パーティー中であろうドフラミンゴに送ったショートメールの返信を待っているかのような素振りに嫌気が差して、誤魔化すようにテレビを点けた。
    その場ですぐに、書いた言葉を送れるのは、手軽で、怖い。
    こうやって、"勢い"で相手に何かを伝えられてしまうのだから、いつしか取り返しがつかない事態になりそうだ。

    (・・・そもそも、)

    そもそも自分は、あのメッセージで、あの馬鹿が尻尾を振りながら帰ってくるとでも思っているのか。
    ただの、"隣人"であり続ける方が"都合が良い"と、"お互いに"、思っている筈なのに。

    (・・・だせェなァ。)

    思った瞬間、鳴り響いたインターホンに、クロコダイルの両肩が跳ねる。
    まさかの事態にその画面を覗くと、見覚えのあるスーツの胸辺りが映った。
    思わず、息を呑んで、何も言わずに玄関へ向かう。
    その扉を開けた先には、件の"隣人"。

    「鰐野郎!お前、予定無いんなら言えよ!!てっきりお前も忘年会ラッシュかと思ったぜ!!」

    弾む息を隠しもせずに、赤くなった鼻先で、ドフラミンゴの瞳が上機嫌に大きく開いた。
    ああ、この"馬鹿"は、本当に、

    (尻尾振って来やがった・・・ッ!!!!)

    可愛いやら、馬鹿らしいやら、いろんな"疲労"を感じたクロコダイルが、壁にフラリと寄り掛かる。

    『余ったケーキを押し付けられた。明日にでも食いに来い。』

    そう送った筈なのに、既に目の前に現れた男は、キョトン、とクロコダイルを間の抜けた顔で眺めた。

    「・・・クリスマスパーティーはどうしたよ。」
    「あァ?付き合いで参加したまでだ。元々適当なところで切り上げて早く帰るつもりだったぜ。」

    靴箱の方に靴を揃えて置いたドフラミンゴは、その"律儀"な姿勢に反して、ズカズカと大股でクロコダイルの家に入り込む。
    その、広い背中を見送って、僅かに瞳を細めた。

    『・・・それ、楽だよなァ。』

    あの、金髪の青年は、諦めて、"建前"を譲ってくれた。
    それを、羨ましいと思うのは、些か酷いだろうか。

    「・・・フラミンゴ野郎。お前、"本当に"、早く切り上げるつもりだったのか。」

    リビングへ続く扉の前で、クロコダイルの口から滑り出た台詞に、ドフラミンゴはゆっくりと振り返る。
    そうやって、いつまでも、この"建前"に縋り付く"横着"に、いい加減うんざりとしていた。

    「・・・じゃァ、おれも聞くが、鰐野郎。
     ・・・お前、そのケーキ、本当に"押し付けられた"のか。」

    意外にも、困ったように笑ったドフラミンゴは、気まずそうに首筋を掻く。
    クロコダイルは一度、考えるように瞳を閉じた。
    この、愛しくも煩わしい"関係"を、捨てる時は、くるのだろうか。

    「・・・そう、言ってるだろうが。馬ァ鹿。」
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    recommended works

    kgkgjyujyu

    INFOマロ返信(03/26)
    ※禪院恵の野薔薇ちゃんについて
    このお話の野薔薇ちゃんは、禪院家の圧により高専には通わず、地元の高校に通っている設定なので、呪術師界隈のどす黒い風習や御三家の存在を知らぬまま、知らない男の嫁になりました。(恵との約束を思い出すのは暫く先です)

    最初の数ヶ月はおそらく死ぬほど暴れたし、離れからの脱走も何度も実行しておりましたが、離れの周りには恵が待機させた式神が野薔薇ちゃんの存在を感知した際に、即座に知らせる為、野薔薇ちゃんが離れから逃げられた試しはないです。
    なので、恵が訪ねてきても口はきかないし、おそらく目も合わせなかったとは思います。
    恵は、自分が愛を与え続けていれば、いずれは伝わるものと、思っている為、まったく動じません。

    ★幽閉〜1年くらいは
    恵に対する愛はない。けれど、野薔薇ちゃんが顔を合わせるのは恵だけなので、次第にどんどん諦めが生まれていきます。ちなみにRのやつは4年後なのでこの段階では身体に触れてすらいない。毎日、任務のない日は顔を見せて一緒に過ごす。最低限の会話もするし、寝る場所は一緒です。時間があるときは必ず野薔薇ちゃんの傍を離れません。


    2回目の春を迎えても、変わらない状況に野薔薇ちゃん 1202