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    BORA99_

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    BORA99_

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    新刊DQ本サンプル①
    DQファミリーがデービーバックファイトをするお話
    ⚠モブにしては主張が激しいモブ
    ⚠捏造&捏造
    ⚠CP要素も恋愛要素もありません

    Get Up『さァ!始まりました!海賊による海賊の為の奪い合い!海底のデービー聞いているか今日もまた、荒くれ共の狂騒が始まるぞオオオオ!』
    晴天。晴れたのは幸運だ。
    島の中心に設えた巨大ステージをぐるりと囲む観客達が、雇った司会の煽りに乗せられて、大きな歓声を上げる。
    「若様。ビールが足りないみたい。そこまで来てた飲料の輸送船がサイクロンでやられちゃったって」
    「あァ?情けねェなァ。若ェのに言って、島中の酒屋と飲食店から掻き集めさせろ」
    「はーい」
    「若!出店の連中がショバ代が高ェと騒いでる。一人二人、見せしめに破裂させて良いですか」
    「フフフフッ……!言わせておけ。騒ぎがデカくなるなら、トレーボルに行かせる」
    「分かりました」
    「ドフィ!世経の記者が来たぜ!映像も撮りたいらしいが……どうする」
    「相変わらず耳の早ェ奴らだな。撮るのは良いが、好きにはさせるな。流す先はこっちで決める」
    「はいよ」
    喧しいステージの裏側に立てた簡易テントの中で、ドフラミンゴは次々と現れ相談事を口にする幹部達に淀みなく答えた。

    『デ……デービーバックファイトだ!デービーバックファイトを申し込む!』
    『……あ?』

    グランドライン前半に位置するこのナワバリの島に、ドフラミンゴが幹部達を連れて上陸したのはつい昨日の事。
    経営しているヒューマンショップ専属の人攫いチームが、ドンキホーテファミリーを通さずに、人身売買を行っているという噂を耳にしたのだ。
    人攫いチームと言っても、傘下の海賊団にその仕事を与えていただけの事で、奴らにあるのは、それなりの腕っぷしと頭数だけ。
    重要なコネクションも商売の才能も持ち合わせてはいない馬鹿共の、代わりはいくらでも居るのだ。
    早々に裏切りの代償を払わせ、とっとと元の航路へ戻るつもりだったドフラミンゴの算段は、人攫いチームのリーダーが言い出したその台詞で、呆気なくご破算となったのである。
    真っ向勝負で皆殺しになるよりは、まだ生き残る可能性が高いと踏んだらしいその浅はかさに辟易としたドフラミンゴが、黙り込んだ末に放った言葉は「明日開催なら、良い」だった。
    そして翌日、島の中央にはイシイシの実謹製、巨大ステージが現れ、各所から掻き集められた出店が軒を連ね、裏切りの代償は、立派な興行に名を変えて開幕した。
    「オイ、集合だ」
    協賛団体から特急で届けられた花輪が並ぶテントの外へ顔を出したドフラミンゴは、バタバタと走り回る幹部達を中へ呼ぶと、一番早く入ってきたグラディウスに紙とペンを渡す。
    「グロッキーリング、ドーナツレース、コンバット……オーソドックスルールの三本勝負だ。出場メンバーを決めるぞ」
    「よォオオオし!野郎共!優先順位はイチから那由多の彼方まで全て若だ!心して決めろ!」
    「ハイハイ、ありがとよ」
    ペンを握り締め大声を上げたグラディウスの言動に、既に慣れている幹部達は何も言わず、各々パイプ椅子を引き寄せ円になって座った。
    セニョールが煙草に火を付けてから、ゆっくりと口を開く。
    「レースはバッファローが入った方が良いんじゃないか、若」
    「あァ。それと……飛び道具があった方が良いな。ベビー5、行けるか?」
    「行けるよ!」
    「あとは……ラオG、ベビー5とバッファローを頼むぞ。泳げる人間も居た方が安心だ」
    「ああ、そう思っていたところじゃ。わしが行こう」
    「ねー、わたしは?」
    「お前の能力はできるだけ隠しておきたい。すまんが今回はトレーボルと船で待機だ」
    順調に埋まる、出場メンバー申請用紙を覗いたシュガーは、ドフラミンゴの返答につまらなそうな相槌を打った。
    獲られる候補にすら上げたくない彼女の存在は、未だ明るみに出してはいないのである。
    「……コンバットは派手な殴り合いの方が良いよなァ。セニョール、お前行くか」
    「オイオイ、若を差し置いてそりゃァねェだろう」
    「ねェ、コンバットは最終種目よね。若様がコンバットに出れば、若様が取られる心配は無くなるんじゃない?ピーナツ戦法になるし」
    「天才。採用だ」
    「どうせ負けやしねェんだ。盛り上がる方を選べよ……」
    「いいや、若!おれは若が居ればいつでも最高潮だ!」
    「イヤ、お前じゃなくて」
    シュガーの言葉に光の速さで同意したグラディウスが、そう乗り気にも見えないドフラミンゴの名前を紙に書いて顔を上げた。
    嫌そうにため息を吐いたドフラミンゴは、申請用紙の空白を眺める。
    残る種目は、グロッキーリング。
    「バイスがボールマンになったら最悪ゴールされる事ァねェだろう。あとは…ディアマンテが居りゃァ、足場を崩せるか…となると、」
    相手ボールマンの運搬はセニョールか、と視線を上げた瞬間、明らかに名前を呼ばれるのを心待ちにしているような表情のグラディウスが視界に入った。
    ぐ、と言葉を噤んだドフラミンゴは、一度、沈黙する。
    「………………グラディウス。相手の顔面を破裂させてやれ。派手な大技は盛り上がる」
    「ああ!任せてくれ……!」
    「……大人って面倒」
    「シュガー……。イイ女ってのァ、思った事をそのまま口には出さねェもんだ」
    やっと埋まった項目を眺めてから、外の喧騒を満足気に聞いたドフラミンゴは、ゆっくりと立ち上がった。
    ファーコートを肩に掛けて、ネクタイを直す。
    釣られるように立ち上がった幹部達を振り返るその口元は、何時ものように、ニンマリと歪んでいた。

    「……行くぞ。海底のデービーにゃァ悪ィが……精々稼がせてもらうぜ」

    ******

    『お集まりの悪党共ォオオオオ!お待たせ致しました!本日のイベントは……もはや、事件である!北の海が生みし悪のカリスマ!懸賞金二億四千万ベリーの超大物ルーキー!天夜叉、ドンキホーテ・ドフラミンゴプレゼンツ!デービーバックファイト開幕ダァアアア!』
    「……あいつ良いな。今ン所、あいつが一番欲しいぜ、ドフィ」
    「フフフフッ……。スカウトして帰るか」
    『ありがとうございまーす!ワタクシ、普段は新世界のとある国で実況をしております、ギャッツと申しまーす!是非、お仕事くださーい!』
    「商魂逞しいな」

    相変わらず青い空の元、港に作ったステージに集合した出場者達に大きな歓声が上がる。
    景気の良い司会に、上機嫌のドフラミンゴは相対する人攫いチームに大きな体を向けた。
    「……よォ。良い感じに払えてるぜ、蝙蝠野郎。この調子でいけば裏切りの代償は、テメェの命一つ程度で足りそうだ」
    ドフラミンゴ達がこの島に到着してから、顔色の冴えないリーダーは、それでも勝算があるのか、苦し紛れとも取れる顔で笑みを見せる。
    憐れむように瞳を細めたドフラミンゴは、懐からコインを取り出した。
    『オーソドックスルールによるスリーコインズゲームを……デービー・ジョーンズに報告だァァァ!』
    促されるように、長い指が三枚のコインを弾く。
    まるで吸い込まれるように、海へと沈んだコインは、輝く間もなく消えてしまった。
    『初戦は……グロッキーリング!グロッキーリング!ステージをグロッキーリング仕様に変更しますので、ピーカ様以外は特別観覧席へご移動ください!』
    歓声と、実況の狭間で、妙に光る眼球を見つける。
    フードを深く被った小さな人間が、人攫いチームの半歩後ろでドフラミンゴを見上げていた。

    「……後悔するぜ。……なァ、ワカサマ」

    絞り出すように、リーダー格の男が言った台詞を、ドフラミンゴは聞き流して踵を返す。
    その広い背中を見つめるフードの奥で、その口角が人知れず、笑うように歪んだ。

    ******

    「ィヨォオオオオシ!おれは若に良いところを見せたい!おれは若に良いところを見せたい!」
    「欲望に忠実だイーン……」
    「……正直、羨ましい奴だぜ。色んな意味で」

    石で作られたステージに現れた、ディアマンテ率いる、マッハバイスとグラディウスは、相手陣地と味方陣地に設置された巨大な浮き輪を見る。
    そして、ステージに入る前に渡された球の付いた帽子を囲んだ。
    「ボールマンはバイスで良いよな。ドフィの指名だし」
    「そして何より、こんなダサいものを着けているところをおれは若に見られたくない」
    「それな」
    「……人のやる気を削ぐなイーン」

    『サァ出場者はステージへ!ドンキホーテファミリーバーサス!人攫いチーム!人攫いチームの出場者はァ……』

    突然、司会の声を掻き消す地響きが起きる。
    揺れた木々がざわめき、鳥の群れが追い立てられるように空へと飛び退った。
    ゆっくりと自分達を覆う影に、ディアマンテ達が恐る恐る見上げたのは、遥か、上空。
    『なんとーッ!人攫いチームは商品からメンバーを選出してきたぞーッ!』
    陰るステージに、巨大な影が三つ。
    ディアマンテ達を見下ろすその規格外は、奴隷らしい、簡素な衣服を身に着けていた。
    『奴隷ナンバー、二三〇、四八〇、六九〇!巨人族トリオが入場だァアアアア!』
    「「「フザケンナァアアア!」」」
    『あ、因みにこちらの巨人三名、既にヴィラの反乱軍と売買契約が成立しており、支払いも済んでいるそうです。本当なら明日の輸送船で納品予定となっております』
    「「「精神攻撃やめろ!」」」
    ドスン、ドスンと、歩くたびに揺れる地面でまさかの事態にディアマンテ達は分かりやすく狼狽える。
    観覧席でベビー5に焼きそばを食べさせてやっていたドフラミンゴを、三人は勢いよく振り返った。
    「オイオイ、ドフィ……!いいのか?!五体満足で済ませられねェかも知れねェぞ!」
    「つーかそれアリそれアリなのかよ仕事はちゃんとやれ!殺すぞ!」
    「今後出てくる出場者もヒューマンショップの商品か……困るイーン」
    『ヨォオオシ!それではグロッキーリング……!開始ーッ!』
    「「「ちょっと待てェエエエエ!」」」
    ドンキホーテファミリー側の事情は考慮されず、開始のゴングが鳴り響く。
    聳え立つ大き過ぎる図体がゆらりと動き、振り下ろされた拳が石のステージを砕いた。
    「ウオオオ!危ねェな!」
    『ドンキホーテファミリー、手も足も出ないのはサイズの違いかそれとも大人の事情か』
    「「「大人の事情だよ!」」」

    プルプルプルプル。

    一瞬の静寂を縫うように、間抜けな呼び出し音が響く。
    観覧席でゆったりと座ったドフラミンゴは、自前の電伝虫をベビー5に持たせ、その受話器を握った。
    「……おう、おれだ。巨人族の奴隷を三人、都合付けてくれ。フフフフッ……。あァ?そっちの倍額出すぜ。ああ、明日ヴィラへ向けて出してくれ。……分かった。助かるぜ」
    がちゃ、と、態とらしく鳴いた虫に、ポカンと辺りが静まり返る。
    嬉しそうに長い足を組んだドフラミンゴは、ベビー5の頭をなでた。
    「フフフフッ……どうした。その巨人族はお前らにやる。……グラディウス、がんばれよ」
    「……!」
    『スマァアアアトォオオオオ!これはスマートだ!流石は闇のブローカー!悪党なんて辞めて会社を作るべき!』
    「……ッ!おい!突っ立ってんなよ!来るぞ!」
    余裕綽々なその態度に、観客が大きな歓声を上げる。
    試合は再開したものの、動きを見せないグラディウスにディアマンテが怒鳴った。
    「……若が、」
    「あ何だよ」
    グラディウスの頭上に迫る大きな手のひら。
    それが太陽光を遮り、色濃い影を生み出す瞬間。
    陰る地面に立ったグラディウスの瞳が、ギラリと赤い光を放った。
    「若が、おれに、がんばれと言っている……!」
    「ああ、ウン。そうだな」
    「こいつホント人生楽しそうで羨ましイーン」
    呆れるディアマンテとマッハバイスなど視界に入っていないかのように、大き過ぎる独り言を叫んだグラディウスの手のひらの先で、巨人の足が弾け飛ぶ。
    突如失せた支柱に、痛みよりも先にその巨体がグラリと傾いた。
    破裂した右足の残骸が地面を滑り、肉の破片と、白い骨の欠片が宙を舞う。
    それを後目に、マッハバイスが空高く飛び上がった。
    「バイス!ボールマンは埋めるなよ!」
    「分かってるイーン!」
    右足を失った巨体が地面に倒れた瞬間、もう一人の巨人族の頭上へマッハバイスが落ちて行く。
    「キロキロの実か……聞いたことがある……!弾き返してくれるわ……!」
    呆気なく倒れた同胞の隣で呟く巨人族の腕が上がった。
    迎え撃つその巨大な拳にも、マッハバイスは怯まない。
    「……残念、桁が違う」
    およそ人体同士の衝突とは思えない轟音が響き、観客が悲鳴を上げた。
    巨人の腕がバキバキと不穏な音を上げ、その足が石の地面すら砕く。
    重みに耐え切れなかった腕がボキリと折れたその瞬間、巨体が石のステージにめり込んだ。
    「畳み掛けるぞ。とっとと終わらせようぜ」
    「了解だイーン!グラディウス!」
    「ああ……!」
    一人残された敵のボールマンが大きく腕を振りかぶり、その視界に針金のような銀髪が映る。
    振り下ろされた大き過ぎる拳を怯まぬ眼球が眺めた瞬間、耳を劈く破裂音と共にその小さな体が鮮やかに巨大な拳をすり抜け飛び上がった。

    「アァ……苛々するぜ……」

    あの男の目を盗めると思った、傘下の馬鹿共。一瞬でも、勝てると淡い夢を見たその頭と、そう思わせた不甲斐ない自分。
    そもそも、その存在自体、この男にとっては害悪だ。
    一瞬で、風船のように膨らんだグラディウスの体に、観客が沸き立つ。
    巨人の後頭部付近で破裂する瞬間、その足元がはためくようにうねった。
    「ウハハハハ!ゴールだ!バイス!」
    破裂の衝撃と覚束無い足元に、前のめりに傾いた巨体の首をマッハバイスが抱き込む。
    その重みに引っ張られ、間抜けな球を付けた大きな頭がゴールへ吸い込まれた。

    「デービー・ジョーンズに……よろしくな……!」

    降下しながらその様子を見ていたグラディウスの口角が、まるで誰かのように笑みを携え、低い声で唸る。
    そしてその一瞬後、巨人族の頭が轟音を上げ、リングへ叩きつけられるのを見た。
    『しょ……勝者!ドンキホーテファミリィイイイ!』
    会場を揺らす程の歓声の中、響く司会の煽りに、観客席で見ていたドフラミンゴは満足そうに笑みを浮かべる。
    あまりにも明確な力の差に、僅かにその緊張が緩んだ瞬間を、人知れず見逃さなかった小さな眼球。
    その妖しい光を含む両目が一度、ゆっくりと閉じた。

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    kgkgjyujyu

    INFOマロ返信(03/26)
    ※禪院恵の野薔薇ちゃんについて
    このお話の野薔薇ちゃんは、禪院家の圧により高専には通わず、地元の高校に通っている設定なので、呪術師界隈のどす黒い風習や御三家の存在を知らぬまま、知らない男の嫁になりました。(恵との約束を思い出すのは暫く先です)

    最初の数ヶ月はおそらく死ぬほど暴れたし、離れからの脱走も何度も実行しておりましたが、離れの周りには恵が待機させた式神が野薔薇ちゃんの存在を感知した際に、即座に知らせる為、野薔薇ちゃんが離れから逃げられた試しはないです。
    なので、恵が訪ねてきても口はきかないし、おそらく目も合わせなかったとは思います。
    恵は、自分が愛を与え続けていれば、いずれは伝わるものと、思っている為、まったく動じません。

    ★幽閉〜1年くらいは
    恵に対する愛はない。けれど、野薔薇ちゃんが顔を合わせるのは恵だけなので、次第にどんどん諦めが生まれていきます。ちなみにRのやつは4年後なのでこの段階では身体に触れてすらいない。毎日、任務のない日は顔を見せて一緒に過ごす。最低限の会話もするし、寝る場所は一緒です。時間があるときは必ず野薔薇ちゃんの傍を離れません。


    2回目の春を迎えても、変わらない状況に野薔薇ちゃん 1202