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    dn13ll

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    dn13ll

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    オカルトかファンタジー要素がちょびっと(?)入る予定の夜神月の話。
    メモ書きで短編できそうになったやつを混ぜてひとつの作品にしようと試みたやつでもある。

    タイトル未定  夜神月は社交能力の高さと裏腹に、さして周囲に対する興味を持たないきらいがある。
     無論相応以上に賢い子供であったので、それなりに合わせはする。月ほどのレベルともなると不思議なもので、それなり、であってもすんなりと馴染んでしまう。変に浮くこともなく、かといって目立ちすぎることもなく、クラスの中心でありながらリーダー的存在とも少し違う。頼られながらもリーダーにはならず、かといってそうした存在から疎まれることもない。人好きする方だというのも大きい。
     月のちぐはぐさは家庭のちぐはぐさでもあった。
     クラスが変わっても変わらず友人でいる相手でさえ家に呼び、外で遊ぶということもない。グループ交際じみたそれを数えるなら話は別だが、小学生の時分ですらそういう大勢との付き合いはあれど個人的な付き合いはなかったように思う。
     夜神家はいびつだ。不自然と言い換えてもいい。
     一般より裕福な家。そうだろう、中学生に携帯を持たせている時点で金銭面で不自由しているなんて誰も思わない。それが子供が二人いて、個人用のTVやPCまで所持しているならなおさらに。
     ──キャリアの、警察官僚が家長の家が、「一般より裕福な家庭」? おかしな話だ。
     だが育ちのよく裕福な家庭の子供とは見られども、警視監のご子息・ご令嬢とは思われないだろう。少なくとも、家長である総一郎の立場を思えばそうした表現は不相応ではない。
     不思議なことなら他にもいくつかある。
     親戚付き合いというものがまるで見えてこない。これは実際子供の月・粧裕が学校で言われたことだ。そうしたことを除いても、月は迎え盆や送り盆は知識として識ってはいても知りはしない。粧裕であればそんな言葉ですら危ういのではないかと思う。
     おとぎ話の住人のようだ、とらしくもない思考が頭をもたげる。
     お姫様や王子様がいて、王様はいるのに国の名前は分からない。けれど確かに王も国も存在する。姫や王子がいるのだから当然だが、ただそういう役割としてあるだけだ。なんとなく夜神家を想起させる。幸福な、おとぎ話の住人。不透明な善性と純粋さ。地に足の着いた、という表現が不相応なアンバランスさ。
     実際、家系図をひっくり返せば数代前には本家だ分家だのがある。遠くをたどって眺めれば親戚──遠戚、と言った方が近いか──の先祖には日本人なら覚えがあるだろうたいそうな御仁の名前もひとりふたりは見られる。だが実情としてはこうだ。おまけに日本でも最近流行りの核家族。
     
     例えば、生まれ育った生家のいびつさ、あるいは不自然さは、子供にどれほどの影響を及ぼすだろう?
     兄妹たる妹は分かりやすく箱入りらしさがある。兄は箱入りというよりも温室育ちか。


     ──いけないことは、不自然に見て見ぬふりをすることだ。

     脳裏に浮かんだ言葉は誰のものだったろう。誰に向けてのものだったろう。
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    dn13ll

    PROGRESS書いたら前書きを大幅に加筆修正することになりました。私は一体何を書いて……?(ここで正気に戻る)
    《前書き》
     近年、めっきりとキラの名を聞かなくなった。それも当然で、不審死などここ一、二年報道されていない。もうずっと、ずっとだ。永遠に続くと思われた神の世界は、突如として消え去った。一体誰が今日を迎えることを想像できただろう?
     いや、いや。そもそも不審死など、そうそうあるものではない。なかったのだ、キラが世界に君臨するまでは、人の死はどこか遠いものでしかなかった。画面の向こう側で起こる不幸。自分とは切り離された世界の出来事。そういうものであった。少なくとも、ここ日本では、間違いなくそういったものであった。戦争も死も、他人事だった。それが、他人事の死が、いつしか日常のものとなり、ついには他人事ではなくなった。キラが姿を消す少し前のことだ。罪人でなくとも、みなが平等に死を与えられる恐怖を己がものとした。怠け者に生きる価値はなく。優れた才を発揮しない者を生かす意味はなく。善良なる人々こそ生きる価値のある、至高のものである。そういう風に、キラは世界を作り替えた。その意識が人々に完全に根付く前に、キラの世界は崩れ去ったのだが。
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