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    nappa_fake

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    最初はショチャンを酔わせようかと思ったけど、ノさんがそんなこと許すわけないから止めに入りました。

    #pkmnノマカプ
    pkmnNomacap
    #ノボショ
    novosho

    甘えの代償 それはある夜のこと。彼は自身の属するシンジュ団の長と共にギンガ団、コンゴウ団との打ち合わせ……という名の宴会に参加していた。
    (まあ、こうなるのは承知の上ではありますが)
     飲めないわけではないが、別段酔うわけでも饒舌になるわけでもない彼は部屋の隅で静かに盃を傾ける。
     時折かけられる声に彼が如才なく答えられるのは言ってしまえば年の功だ。なにしろシンジュ団は閉鎖的な集団なので村八分は文字通り死んだ時以外はいないものと扱われる。ヒスイの極寒の大地でそうなることの恐ろしさは嫌というほど身に染みていた。
     ふと彼が部屋の反対側の隅に目をやると見覚えのある少女が、彼女の属するギンガ団の青年に飲み物を勧められていた。
    「ショウさん、これおいしいのでぜひ! シンジュ団の方の差し入れなんですよ」
    「そうなんですか。あー、えっとでもこれお酒ですよね?」
    「はい! ショウさんももう大人なんですしちょっとずつでも慣れていかないとこれから困りますよ」
    「いやー明日も調査あるんで」
     少女のやんわりとした断りを気にもせず、勧める青年は赤ら顔を少女に寄せる。
     彼の眉間にわずかに皺がより、誰も、それこそ本人すら気付かないくらい僅かに目が細められた。
    「ショウさま」
    「あ、ノボリさん!」
     彼が少女に声をかけると少女はあからさまにホッとした顔をして、逆に酒を勧めていた青年はわかりやすく口を曲げた。
    「ショウさま、先程とシマボシさまから受けた依頼の件でご相談が」
    「?——あ、あれですね! あしたの! はい、おうかがいします!」
     もちろん嘘だ。しかし彼が出したシマボシの名前に青年は一瞬で真顔になり、
    「あ、そうなんだ。行ってらっしゃいショウさん」
     なんて白々しい顔でへらりと手を振った。もちろん最後に彼をひと睨みすることは忘れないが。



    「助かりました」
     少女は彼と共に宴会場を出て浜へと歩きながら息を吐いた。
    「ご迷惑でなければ良かったのですが」
    「迷惑なんてとんでもない!」
     彼の発言に少女は振り向いた。
    「ほんとに! ほんとーーーに! 助かったんですよ! ありがとうございます」
    「お役に立ててなによりです」
     二人は浜辺をゆっくりと歩く。
     彼はこれからどうしたものかと悩む。彼女を宿舎へと送るのが正しいはずだ。先程までムベの店で宴会をしていたのだから、浜辺まで来ずに彼女の宿舎へと送れば良かった。なぜここまで来てしまったのか。
     酒の回りつつある頭で彼が考えていると、少女に手を引かれた。
    「ノボリさん、ちょっと休みませんか」
    「はい」
     少女に促されて彼は桟橋へと足を向ける。桟橋で二人並んで座ると冷たい秋の風が吹き抜けた。
    「もうすぐ冬ですね」
    「ええ。天冠山では冬支度を進めております」
    「コトブキムラもけっこう寒くなってきてるんですよ。布団が冷たくて」
    「たしかカイさまがもらいものだけど使わないとおっしゃって湯たんぽをシンジュ集落の倉庫に入れていました。今度お持ちしましょう」
    「ありがとうございます。いえ、そうではなく」
     彼は、なにがそうではないのかと首をかしげ少女の顔を見た。少女は困ったような照れたような顔で彼を見上げる。
    「そのう、ノボリさんも毎日雪の降り積もる天冠山に帰るのも大変でしょうし」
     少女がなにを言いたいのかわからず、彼は黙って先を待つ。
    「いえ、そういう言い訳はよくないですね。私のワガママです。私がそうしてほしいって話です。ノボリさん。冬の間、うちに泊まっていってください。私、寒くて寝られないんです」
    「はあ?」
     彼は目を見開いた。少女がなんと言ったのか理解が追いつかない。
    「いえそれは」
    「じゃあさっきの人が泊まるって言ったらどうですか」
    「ダメです却下です、それはなりませんよショウさま」
    「そうでしょ。じゃあ一緒に寝てくれるのはノボリさんしかいないじゃないですか」
    「いえですが、それは」
    「やーだー! やだやだ、ノボリさんが一緒に帰ってくれなきゃ嫌です!」
    「そんな子供みたいな」
    「子供ですが? だからノボリさんはさっきお酒を止めてくれたんですよね??」
     ああ言えばこう言う。少女の頑なな主張に彼は早々に負けそうになっていた。そもそも彼とて嫌なわけではないのだ。大人として論理的にダメだろうと思うだけだ。
    「ショウさまはいつからそのような甘えたになられたのか」
    「えっ、ノボリさんが甘やかしたからでは?」
     まさかの自分のせいだった。彼は思わず眉間を押さえた。
    「ショウさま」
    「はあい。冷えてきたしそろそろ行きましょうね。あ、さっきの人たぶんついてきてますから。ノボリさんが私の宿舎の前で立ち去ったら、また私にお酒を飲ませにくると思いますよ」
    「さようでございますか。では早めにお帰り願いましょう」
     彼は半分くらいヤケクソだった。彼は彼とてそれなりの量の酒を飲んでいて、それなりに酔っ払っているのだ。彼の論理感も理性もここまでけっこう頑張ってきたけど、そろそろ酔いと疲れで働きが鈍ってきている。そこにきて少女の甘えとワガママに陥落されつつあった。つまりここからの行動は概ねやけっぱちになってのものだった。
    「先に誘ったのはショウさまですよ」
     少女は文字通り噛み付かれた。少なくとも少女はそのように感じた。
     がぶりと、大きな口に喰われるかのような感覚。口の中に襲ってきたねとりとしたなにか。蛇のようなそれにねぶられて、吸われて、息も唾液もなんもかんもがごたまぜにされて、境界なんか無くなったようなそれが口づけだなんて少女には理解出来なかったし、砂を踏んでこけつまろびつ走り去る足音なんて耳に入らなかった。
    「さあ、宿舎に参りましょう。これ以上夜風に当たるのは体によくありません」
     彼は息一つ切らせることなくそう言って立ち上がった。少女の方は息も絶え絶え、口端から溢れる唾液を拭うこともできずにいる。
    「まだ序の口でございますよ」
     文字通りにね、と彼は少女にささやいて抱き上げる。少女はトロリとした目を彼に向けた。返された視線は鋭く少女を射抜く。
     手遅れだなと少女は悟り、それも悪くないかと彼に身を任せた。
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