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    shimanyan112

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    shimanyan112

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    明マ キスをさせたかっただけの産物
    早くくっつけばいいと思っているのに、どうしてもすれ違ってると言うか伝わってない感がすごい二人だと思ってる

    危険な口付け唇が触れる。

    細い指先が私の首に触れる。
    身長差ゆえに引き寄せられた顔は、見上げた彼へと近づいた。
    少しの呼吸でも感じるほどの距離感に、吐息から彼の体温を感じる。

    柔らかく軽く湿った薄い唇が重なる。
    言葉すらも吸い取られたまま、するりと入ってきた舌の感触。
    唾液を纏った舌先が重なり、ぬるりとした独特な感覚を堪能する様に擦りわせた。


    その瞬間、急激に体の力が抜けていく。
    唇を離せば済むことなのだが、与えられた口付けには抗えず。
    ぷはっ、と呼吸の合間を縫ってようやく唇を離したときには、何とか足は立っている状態で。
    血液を大量に失ったときの様な、軽い目眩が襲う。

    「明智さん大丈夫ですか?」

    サングラスのごしの瞳が心配そうに見上げる。



    お前が言うな。

    口にしそうになった言葉を飲み込んで、よろめく身体はソファへと沈んだ。



    そもそもこの彼、マックスウェルの悪魔が管理する研究室に来たのはつい先程のこと。
    食堂で美味しいクッキーを手に入れたので、どうせなら一緒にお茶でもと研究室の扉を叩いたのだった。
    その時には、彼は何やら大掛かりな実験をしているのか、こちらに一声だけ挨拶すると直ぐに研究対象へと向き直ってしまった。
    まぁ、ある程度終われば返答が来るだろうと思った矢先にこれである。

    『明智さん』と声を掛けられて、立ち上がったのはいいものの、気がつけば唇を奪われていて。
    いや、彼から口付けをもらう事なんて滅多にないので、嬉しさとかで目的を勘違いしていたなんて、そんなことは………あるのかもしれないが。
    とにかく、簡易的な魔力供給(一方通行)に、体を構成する魔力が足りなくなったのだった。
    霊体であるこの体は、カルデアからの魔力が常に満ちてはいるが、それが少なくなれば出血多量の様に不調が起きるのは必然で。

    当のやらかした本人は、一応心配はしてくれた様なのだが……

    これがすぐに研究対象に戻ってしまって。

    体のいい魔力タンクに使われた気がして、何とも荒んだ気持ちになるのだった。


    「ようやく出来ました!!」

    キラキラとした言葉に耳を傾けると、そこには何やら不思議な物を持って歓喜するマックスウェルがいて。
    そんないい笑顔を引き出すためには、何をプレゼントしても出ないだろうなぁと直感で感じるほど。
    私の魔力程度で、この笑顔が見れただけでも今回は許すべきなのだろうか。

    「……で、何が出来たんだ?」
    「あぁっ、すみません。先程は勝手に魔力を頂いてしまって」

    一応反省するポイントは弁えているんだな…

    「便利な燃料扱いされるのは困るんだが……」
    「用意してた補助魔力やアンプルが切れてしまってたのでつい…。でもおかげで完成しましたよ!」

    つい、で私の心を揺らがないで欲しい。
    でもその手にしているものは、ぱっと見何だかよく分からない。
    機械の様だが、側面にあるガラス窓からはうっすらと光が漏れていて。

    「これはですね…(別に読まなくてもいい)
     簡易的魔力炉の小型版でして、中心に魔力を込めた鉱石をぐるりと囲む様に炎の三重結界を施しまして、そこから配管を通してこちらの出力部分から外へとアクセスするための外部パーツがついてるんですよ。生成したエネルギーが漏れ出さない様に表面を封魔を施した銀で覆いまして、接合部には一部魔力結晶を使うことで限りなく遮断することに成功したんです。特にこのガラス部分が難しくて、燃料である鉱石の出力を確認するのにどうしても欲しかったので、ガラスに5重に遮断用の結界を施しまして。そのために銀との存在格差が酷かったので、魔力で補強してたんですが、私の魔力では全然足りなくて」

    「あ……もういいよマックスウェル…」

    ものすごく早く呼吸もどこで吸ってるのかわからないほどの口調で、捲し立てられて、魔力を失ったことでちょっと頭痛がするかな、と思っていたのがさらに増した気がした。

    生前の様な頭痛薬が欲しい所だが、メディカルルームに行ってもどうせ、『そんな症例面白くない』と追い返されるんだろうなぁ。
    カルデアの医療体制どうなってるんだホント。

    「ごめんなさい。私がうっかりしたばっかりに……」

    頭を抱えた理由は別のものだったが、かなり心配した彼が駆け寄ってくると隣に座った。
    うっかり?まぁ、今回はそう言うことにしておこう。
    足腰立たなくなるくらい魔力奪われたときもあった気がするぞ、口にしたかった自分はエライと思った。

    「大丈夫だ。少し休めばじきに回復するさ」
    「確かにそうですが……何か出来ることがあったら言ってくださいね」

    細い指先が頬に触れる。
    きっと他意は無いのだろうが、『彼からの』と言うなかなか無いものを経験した後には心のざわめきは抑えられるものではなく。

    ついその手を掴んでしまったのは、内にある欲望が体現してしまったから。
    だからそのままソファに押し倒してしまったのは、仕方なかった、と言う強い釈明。
    この状況でもキョトンとしたままの彼を見下ろして、漏れ出す感情はこっちだけかー…とすぐに理解してしまうのも想定内と言ったら寂しくなる訳で。

    「なら………もう一度口付けしてもいいかな…?」
    「あっ、はい、どうぞ」

    もう少し照れたりしてくれても……いや、許可が降りただけ嬉しいと思わねば。

    唇を重ねる。
    顎を指先で捉えもう片手は、彼の手を握ったまま。
    ソファに横たわる彼は、もう逃げ場が無くなったと言っても過言では無い。
    2度3度と小さく啄みながら、柔らかな唇に触れる。
    唇の形を確かめる様に角度を変えて触れ合わせると、彼もまた唇をすぼめて答えてくる。
    それが嬉しくて、口付けを深くするために舌を差し入れた。

    触れ合う舌先にピリッとしたものを感じた時にはすでに時遅し。

    身体中の力が抜け、私は彼に覆いかぶさる様に脱力したのだった。
    ダメだ………完全に四肢が動かなくなってる………

    「…明智さん、重い……」
    「魔力を根こそぎ奪ったのはどっちだ……」

    声を荒げる気も失せて、彼の肩口に顔を埋める様になってしまっている現状にため息をついた。

    「いやぁ、すみません。小型炉の変更点の考察をしていたので……」

    もっと私に集中してくれ!!
    本当に雰囲気だけは良かったんだから、もう少し夢みたって罰は当たらないと思うんだが………

    「私の計算では後30分くらいしたら機能回復が起きますから大丈夫ですよ」
    「………30分もこのままなのか…?」
    「まぁ、小休憩だと思えば!」

    いやいや、全然大丈夫じゃ無い。
    現に、彼の肩口に顔を埋めているせいで、何だかいい匂いとかしてきたし。
    この部屋は薬品の匂いだらけで、同じ匂いがすると思いきや違うとか理性壊しに来てないか?
    宥める様に髪を撫でないでくれ、ホント手足が動いたらこの場で襲う程度には膨れ上がった何かが破裂しそうなんだから。

    「明智さん」
    「ん、何んだ?」

    「…あの……今晩お部屋に行ってもいいですか……」

    肩口に埋まっているので、彼の表情は全く見えなくて。

    ………っ………そ、それって………


    「次の実験用のアンプルが足りないんですよ」
    「……そうだろうと思ったよ」

    結果は一緒だけど、目的がっ!!
    いや、魔力供給出来ることに喜ぶべきなのか!?

    「明智さんは理解が早くて助かります。本当にいつも助けてもらってばっかりで…」
    「……いいんだよ。マックスウェルの力添えが出来て私も嬉しいよ」

    きちんと半分は本心だ。
    半分は邪でいっぱいだって彼が知ったらどう思うだろうか?

    ……そうであっても何も変わらないんだろうな…と。

    柔らかな感触が額に落ちる。
    ん?と微かに頭をもたげれば、にこりと笑う彼の顔が。

    これは正真正銘『彼から』と言うこと。


    動かない体のまま彼に抱きしめられながら、早く抱きしめ返したいと切に思うのだった。


    終わり



    昨日なんだか疲れていた感じがしたのに、翌日はツヤッツヤな明智に、『あやつエステでも行ってきたのか?』と訝しげに思うノッブでした。

    説明箇所をオタク的早口かプレゼン風にするか悩んだww
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