うつくしい古傷少年はアオガミの左手に熱心に触れる。出会った時は間違いなく塗装が剥げていた指先。今では汚れ一つない、美しい白銀の指先。
「アオガミ」
半身を呼びつつ、少年はアオガミの指先に己の指を絡める。戸惑いも躊躇いもなくアオガミも応じ、肌色と白銀の指が絡まり合う。
――鈍色の輝き。
何時まで経っても鮮明に思い出せる、少年にとって掛け替えのない色。
記憶にだけ残された輝きを思い出しつつ、少年はアオガミの白い指先に唇を寄せるのであった。
「待っててくれて、ありがとう」
貴方に会えて本当に良かった、と。