未送信メール アオガミに連絡先はない。
そもそも俺とアオガミの間に“連絡手段”は必要ない。それはとても、便利なのだけれども。
(直接言う、か)
手元にある携帯端末のメモアプリに打ち込んだ2文字の言葉。
今で読んできた本に書かれていた未送信メールや送れぬ手紙を積もらせる描写に今更ながらの感情移入をして、俺はアプリを閉じる。
「恋愛小説、もっと読んでおくべきだったかなぁ」
ーー後日。
「少年が突然、恋愛小説を多く読むようになった。……想い人が、出来たのだろうか」
無自覚なまま、鎮痛な面持ちで近辺報告をするアオガミを前に何と答えるべきか戸惑う越水という光景が生み出されるのであった。