僕の居場所自分の居場所というものを意識したことは無かった。
読書を楽しめるのならば、何処でも良い。人付き合いも、日常生活に支障が出なければ十分過ぎる。
――そうだったのに、今は。
「少年?」
眠いわけではない。なんとなく、俺は隣に座るアオガミに身を預ける。
アオガミからの疑問の視線を頭部に感じるが、俺が応じないと察したのだろう。アオガミは何も言わずに僅かに俺に身を寄せてくれた。
(アオガミの隣は、俺だけの)
――俺にとって、何よりの。
俺よりも冷たい彼の体温を絶対に忘れないと、目を伏せながら誓うのであった。