ペイン×ベイン 真冬だっていうのに陽だまりみたいに暖房が効いた美術室で、座り心地抜群のソファに腰掛けていたんだ、眠るなって言われてもそれは無理な話だろう。
微睡みに落ちる直前、視線を感じた。
左隣へ目を向ける。
眉美がこちらを見ていた。――もっと正確にいえば、興味津々って顔であいつが見ていたのは俺の顔ではなく、手の甲だ。
「なに見てんだよ」
むふふ。
眉美が不気味に笑う。
「立派な血管だな~と思って」
「血管?」
わたしと全然違うからさー、と、俺の手の横に眉美が自分の手を並べる。
俺のそれとは、ひとまわりほど大きさが違う握りこぶし。皮膚の色も全然違う。ちゃんと陽に当たってんのか。ビタミンDが生成されねえぞ。
「ほら、わたしの手と違って、不良くんの手は血管がぷっくり浮き出ているでしょ? 同じ中二の手には見えないわ」
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