はなねこ
DONEアクセスありがとうございます!こちらは2023夏インテみちまゆ本のおまけSSです。短いですが少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
※パスワードは『彼女とわたしの猫時間』メッセージフォームをご参照ください。 1120
はなねこ
PROGRESS夏に出す予定のみちまゆ新刊サンプルです。眉美ちゃんと満くんと満くんに恋する猫ちゃんのおはなしです。みちまゆですが全体の1/5ほどをみちモブ(猫)シーンが占めてます。
先着でノベルティ小冊子(みちまゆミニ本)をお付けする予定です。
※小説の画像です。 13
はなねこ
TRAINING冬休みのみちまゆっぽいものです。っぽいものなので薄味です。Twitterに上げていたものをちょこっと修正しました。ひとは見た目が 非公式非公開非営利の自治組織に所属している構成員のひとりであっても、表の顔はただの中学生であるからには、冬休みの宿題というヤツは等しく容赦なく待ち構えているわけで。
新学期初日を明日に控えて、わたし瞳島眉美は数学の課題を終わらせていなかったことに気がついた。
決して忘れていたわけではないし、それだけが理由と言い切るつもりもないけれど、冬合宿に参加していたことも多少なりとも影響していると思う(意訳・責任を取ってほしい)。
そうリーダーに泣きついたら、
「ふむ。生憎僕には学がないのでね。美学をフル動員させても、中学二年生の数学を眉美くんに教えることはできないが――」
適任者を寄越すから今すぐ美少年探偵団事務所へ向かうといい、と、わたしに告げて、電話が切れた。
1616新学期初日を明日に控えて、わたし瞳島眉美は数学の課題を終わらせていなかったことに気がついた。
決して忘れていたわけではないし、それだけが理由と言い切るつもりもないけれど、冬合宿に参加していたことも多少なりとも影響していると思う(意訳・責任を取ってほしい)。
そうリーダーに泣きついたら、
「ふむ。生憎僕には学がないのでね。美学をフル動員させても、中学二年生の数学を眉美くんに教えることはできないが――」
適任者を寄越すから今すぐ美少年探偵団事務所へ向かうといい、と、わたしに告げて、電話が切れた。
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TRAINING中二の頃を思い出してみちまゆに当てはめてみました。蜥蜴以降のネタバレ含みます。ペイン×ベイン 真冬だっていうのに陽だまりみたいに暖房が効いた美術室で、座り心地抜群のソファに腰掛けていたんだ、眠るなって言われてもそれは無理な話だろう。
微睡みに落ちる直前、視線を感じた。
左隣へ目を向ける。
眉美がこちらを見ていた。――もっと正確にいえば、興味津々って顔であいつが見ていたのは俺の顔ではなく、手の甲だ。
「なに見てんだよ」
むふふ。
眉美が不気味に笑う。
「立派な血管だな~と思って」
「血管?」
わたしと全然違うからさー、と、俺の手の横に眉美が自分の手を並べる。
俺のそれとは、ひとまわりほど大きさが違う握りこぶし。皮膚の色も全然違う。ちゃんと陽に当たってんのか。ビタミンDが生成されねえぞ。
「ほら、わたしの手と違って、不良くんの手は血管がぷっくり浮き出ているでしょ? 同じ中二の手には見えないわ」
874微睡みに落ちる直前、視線を感じた。
左隣へ目を向ける。
眉美がこちらを見ていた。――もっと正確にいえば、興味津々って顔であいつが見ていたのは俺の顔ではなく、手の甲だ。
「なに見てんだよ」
むふふ。
眉美が不気味に笑う。
「立派な血管だな~と思って」
「血管?」
わたしと全然違うからさー、と、俺の手の横に眉美が自分の手を並べる。
俺のそれとは、ひとまわりほど大きさが違う握りこぶし。皮膚の色も全然違う。ちゃんと陽に当たってんのか。ビタミンDが生成されねえぞ。
「ほら、わたしの手と違って、不良くんの手は血管がぷっくり浮き出ているでしょ? 同じ中二の手には見えないわ」
はなねこ
DONE美茶謎展示のみちまゆっぽいSSその1です。「っぽいもの」くらいの距離感です。カリギュラ・ラララ カリギュラ効果、というらしい。
耳に馴染みのない言葉でも、誰しも一度は経験しているのではないだろうか。禁止されるほどやってみたくなる――例えば、「絶対に見てはいけない」と隠されれば隠されるほど、かえって見たくなる……あの心理現象のことだ。
「というわけで、不良くん! わたしにあなたの耳を見せてちょうだい!」
「何が『というわけ』だ、相変わらず脈絡の欠片もねえなあ」
「いいじゃない、耳くらい。見たからって減るものでもないし。わたしの空腹を満たしてくれるように、普段カーテンで覆い隠されている未知の世界の向こう側をのぞいてみたいと思うわたしの好奇心も満たしてよ。それに、猫をこよなく愛する某作家先生も『エロというものは出したら色気がなくなる、めくるんだよ』みたいなことを言ってたわよ。わたしに不良くんの髪をめくらせてよ」
1686耳に馴染みのない言葉でも、誰しも一度は経験しているのではないだろうか。禁止されるほどやってみたくなる――例えば、「絶対に見てはいけない」と隠されれば隠されるほど、かえって見たくなる……あの心理現象のことだ。
「というわけで、不良くん! わたしにあなたの耳を見せてちょうだい!」
「何が『というわけ』だ、相変わらず脈絡の欠片もねえなあ」
「いいじゃない、耳くらい。見たからって減るものでもないし。わたしの空腹を満たしてくれるように、普段カーテンで覆い隠されている未知の世界の向こう側をのぞいてみたいと思うわたしの好奇心も満たしてよ。それに、猫をこよなく愛する某作家先生も『エロというものは出したら色気がなくなる、めくるんだよ』みたいなことを言ってたわよ。わたしに不良くんの髪をめくらせてよ」
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DONE美茶謎展示のみちまゆっぽいSSその2です。みちまゆ推進委員会様のラジオを聴いている時に、某少年漫画の桜餅のエピソードをみちまゆでやってほしいなあと思い書いてみた、双方無自覚なみちまゆ小話です。恋する桜餅 今日も今日とて、〇・一秒も思い迷うことなく美術室の扉を開けたわたし瞳島眉美を持ち受けていたのは、季節外れの桜の香りと、世にも奇妙な光景だった――ソファに腰を下ろした美少年達が、そろいもそろってタオルで顔を覆っているのだ。
これが漫画なら、彼らの頭上に「しくしく」という擬音が踊っていたかもしれない。一瞬、涙を拭っているのかと思ったが、どうやら違う。よくよく見てみれば、洗顔を終えた後に濡れた顔をタオルで拭いている、という表現が近い。
「みんなそろって、どうしたっていうのよ?」
訊ねながら、わたしはテーブルの上に用意された本日のお茶請け――季節外れの桜の香りの正体――漆器の銘々皿にひとつだけ残っていた桜餅へ手を伸ばした。
4260これが漫画なら、彼らの頭上に「しくしく」という擬音が踊っていたかもしれない。一瞬、涙を拭っているのかと思ったが、どうやら違う。よくよく見てみれば、洗顔を終えた後に濡れた顔をタオルで拭いている、という表現が近い。
「みんなそろって、どうしたっていうのよ?」
訊ねながら、わたしはテーブルの上に用意された本日のお茶請け――季節外れの桜の香りの正体――漆器の銘々皿にひとつだけ残っていた桜餅へ手を伸ばした。
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TRAININGみちまゆっぽいもの。前日にこんなことあったのかなって妄想。ねえ?(サイド美食)「――だから、今のは、なし。全部なし。わたしは何も言わなかったし、不良くんも何も聞かなかったことにして」
そうよそうだよ、そういうことにしよう……と、まくし立てて、眉美は俺に背を向けた。――向けようとした。
できなかったのは、させなかったのは、俺が引き止めたからだ。ほぼ無意識に。
伸ばした手で眉美の肩をつかむ。俺の手を振り払うことなく、それでも戸惑いをにじませた目で、眉美が俺を見上げる。
小さな顔に覆い被さるように、俺はゆっくりと上体を傾けた。
「不良くん?」
ふざけたあだ名で俺を呼ぶ唇に、かすめるように触れた。とくん……と、俺のものなのか眉美のものなのか分からねえが、心臓が跳ねる音が聞こえた。
そっと、唇を離す。
1670そうよそうだよ、そういうことにしよう……と、まくし立てて、眉美は俺に背を向けた。――向けようとした。
できなかったのは、させなかったのは、俺が引き止めたからだ。ほぼ無意識に。
伸ばした手で眉美の肩をつかむ。俺の手を振り払うことなく、それでも戸惑いをにじませた目で、眉美が俺を見上げる。
小さな顔に覆い被さるように、俺はゆっくりと上体を傾けた。
「不良くん?」
ふざけたあだ名で俺を呼ぶ唇に、かすめるように触れた。とくん……と、俺のものなのか眉美のものなのか分からねえが、心臓が跳ねる音が聞こえた。
そっと、唇を離す。
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TRAININGみちまゆっぽいもの。わりと甘め。何かを越えたらしい。ねえ?(サイド美観) 真夜中の空を通り過ぎた雨は幻だったのではないかと思えるほど、美しい朝だった。
早朝の招集がかかっていたのに、わたしは寝坊してしまった。――だって、昨夜はいろいろあったから。
橋を渡りきったところで制服のポケットから携帯電話を取り出し、時間を確認する。集合時間から既に二十分は経過していた。
こんな時間に顔を出したら、「まったく、大遅刻ですよ」と、先輩くんに嫌味を言われちゃうかな。「おや、眉美くん。何かのっぴきならない事情でもあったのかね?」と、リーダーに心配されちゃうかな。
火照りを残したままの身体をひきずって、まだ眠たい目をこすりながら、わたしは朝の空気で冷やされた廊下を抜け、美術室へと向かう。
1864早朝の招集がかかっていたのに、わたしは寝坊してしまった。――だって、昨夜はいろいろあったから。
橋を渡りきったところで制服のポケットから携帯電話を取り出し、時間を確認する。集合時間から既に二十分は経過していた。
こんな時間に顔を出したら、「まったく、大遅刻ですよ」と、先輩くんに嫌味を言われちゃうかな。「おや、眉美くん。何かのっぴきならない事情でもあったのかね?」と、リーダーに心配されちゃうかな。
火照りを残したままの身体をひきずって、まだ眠たい目をこすりながら、わたしは朝の空気で冷やされた廊下を抜け、美術室へと向かう。