マニキュアもの(にしたかった)「あれ、傷男なにやっての?」
「あー?」
本日も快適なブラックジャック号の船内。最近仲間になった魔導士の血を引く天才画家の少女は三時のおやつとしてセリスが作ったパンゲーキを運ぶ役目を与えられ、各々時間を潰している面々に美味しいおやつを渡していた。そして、最後に辿り着いたのが飛空艇のオーナーがいるであろう、セッツアーの自室だ。扉を開くと、そこでとある作業をしていた主に疑問の声をあげた。
彼は少女の言葉に振り返る。彼が今しがた作業していた机の上には繊細な小瓶を数種並べられ、右手に筆を握り、左手の爪に作業している姿
「ああ、これか。これはマニキュアだ」
「そんなの知ってる!」
「じゃあ聞くなよ」
「そーじゃなくて!男であるあんたがなんで爪紅をひいてるかってこと!」
「へえ、爪紅だなんて、ガキのわりに古風なこと言うんだな」
「む、バカにしてる!?」
「そんなこと一言も言ってねえだろ」
「じゃあなんでよ!」
「あーうるせえなあ。」
「うるさくないもん!」
「それがうるせーんだよ。……あのなあ、お前は女がお洒落の為だけにマニキュアしてるって思ってんのか?」
「大体はそーじゃない!」
「確かに綺麗に着飾った女の爪は魅力的だぜ。だがな、オレにとってはこれも商売道具なんだよ」
「なにそれ?商売道具???」
「こっちは命をかけて『勝負』してんだぜ?相手に魅せる動きをしないとこっちが不利になることもあるからな。」
同じく机の上にはセッツァー愛用のカードが纏められて備えられていた。それを見たリルムは大きな目を更に大きくさせ
「うわっ!ずるい!!」
「大人の勝負は真っ向にいくだけじゃダメなんだぜ」
「むー!かっこつけてんじゃないわよ!!」
「オレは元からかっこいいんだよ」
「なにそれ色男みたいな台詞!」
「……あいつと一緒にするんじゃねえよ」
・ ・ ・
書きかけものですが投下~。みんなとわちゃわちゃしているエドセツが書きたかった(未完成)
これからの話の展開としては、
セッツァーとリルム、なんやかんやでみんながいるフロアに移動してセッツァーさん、リルムの小さな指にマニキュアを施す。お~ピカピカきれいだ~と自分の爪を見て感動する幼い少女は、折角だからパーティの花であるティナやセリスもやってみれば、と提案する。最初は遠慮する二人だが「たまには着飾ってもいいもんだろ」と、セッツァーさん、ティナとセリスの爪にも鮮やかな色のマニキュアを塗る。綺麗に彩られた爪先に、複雑な生い立ちをもつ少女二人も満更でもない様子。こそばゆそうに、だが嬉しそうに微笑む年頃らしい少女達がいた。
そしてセッツァーは次の標的をドマの侍に目をつけ、剣を握る彼の無骨な指にクリアなトップコートを塗りつけた。「いやいやっ!男である拙者が婦女子のように爪に色を塗るなどと…っ!?」「あのなぁ、剣を握ると爪も割れることもあるだろうが。マニキュアはそれをカバーするためもあるんだぜ」「しかし……!」「ちゃんと透明なやつで塗るから他から見ても気づかない。自分の爪の色になるから安心しな」「セッツァー殿……。……かたじけない」
出来上がりの爪をまじまじと眺めるカイエン。その処置が終了すると、セッツァーさん近くで干し肉食べてたガウの姿を見つけ、更についで、とばかりに少年の鋭すぎる爪を切ってあげたりして。「ガウガウ!!爪短いと不便!!」「戦いに必要な分は残してやるよ。長すぎるとメシ食う時邪魔になるし自分を傷つけることになるだろーが」「ううゥ…」唸りながらも大人しくするガウであった。
で、それを見ていたマッシュやロックも、「「じゃあついでに俺らも!」」なんて言って、「ああ?てめーらは自分でやりやがれ」、とすげなく返され、ブーブー文句を言ったらいい(笑)
なんだか騒がしくなったフロア内にやれやれとセッツァーは今まで使っていた道具を持って自室に退散する。と、何故かエドガーがついてきた。こいつも女口説く一貫で爪先を飾り付けたいとぬかすのだろうか…?
「なんだ?お前も塗ってほしいのか?…だったら自分でやってくれ。道具は渡すから」の一言に、「いや、私はいいんだ。」「ああ?じゃあなんだよ…?」「私じゃなくて、君の爪を塗らせてもらえないだろうか」「はあ?」突拍子のない頼みごとに、つい素っ頓狂な声をあげてしまう。それに意を介さず、「君のネイル、まだ不完全だよね。きっとリルムの対処を優先したんだろう?」「さあな」「ふふっ、右手の薬指と小指、色が抜けているよ」
「…チッ」目ざといフィガロの王様に小さく舌打ちを返すセッツァーさん。
で、そのまま艦長室に二人っきりで向かい合って椅子に座る。エドガーが施すマニキュアにまかせていたら「君の手はきれいだね」「まあ…商売道具の一つ、でもあるしな」「なるほど、このきれいな手が相手を翻弄するんだね」しみじみ呟くエドガー。エドガーの日に焼けた、意外に肉厚な手の中にあるセッツァーの手は随分小さく見える。婦女子のように嫋やかさはないが、常に手入れされた白くあまり節が目立たないスラっとした長い指は男女関係なく美しいと、目に映るだろう。
そして、「ああ、本当に綺麗だ……」惚れ惚れと呟いたエドガーは塗り終わった右手に唇を寄せようとしたが、セッツァーさん、すげなく右手を取り返す。
傷ついた顔をするエドガーにセッツァーは「薬液乾いてねー爪に口を寄せんなよ。……………『こっち』はちょうど今あいてるんだが?」
ニィと意地悪そうな、それでいて蠱惑的な笑みを浮かべ、左手で自分の薄い口元を指すセッツァー。それにエドガーは、「………どうやら私は一番素敵な場所を見逃していたようだね」
とってもイイ笑みを浮かべて唇を重ね合わせる二人がいた、と。
マニキュアもの書きたい~と思ったけど、よくよく考えてみたらわたくし、おしゃれ偏差値が標準値どころかマイナスなので無理ゲーでした(滝汗)ただ、セッツァーさんの世話焼きっぷりが書きてーなと思った代物、になる予定のものでした(爆死)