僕達は親友ではないけれど(略) 僕は僕について、ここに記そうと思う。僕は政府権限により顕現され、放棄された天保江戸へ先行調査員として派遣される───はずだった。
けれど重大な欠陥が見つかり、僕は部隊から外された。僕は始めからインプットされている情報以上の記憶を翌日に引き継げない、らしい。僕自身、特に不都合は感じていないし、その方が扱う側としても好都合なのではと思うが、今回の任務においては不適合だとみなされたようだ。だからといって、それに何の感情も沸かず、近いうちに僕は刀解されるのだろうなと漠然と思う程度だった。
他の個体が先行調査員として派遣されていく中、僕は別の任務を与えられていた。果たしてその頃の僕が何をしていたのか、僕自身は覚えていないし、正直そこまで興味も沸かない。おそらくそれなりの任務を任されていたのだろうな、とは思うけれど。
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