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    zabznak

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    レティ→ネビのレティの愚痴を聞くアガっち
    レティのキャラ崩壊注意。ガチ恋中将。感情が激しい

    ネビ→てし前提

    同担拒否ガチ恋中将 地獄のアガリアレプトの私室。何人たりとも立ち入れないよう、結界と隠蔽を施したそこに飲んだくれた男が二人。いや、一人。

    「やっってられませんよ! まったく!!」

     ダァンッ! と乱暴にグラスを机に叩きつける男は驚くなかれ、常に冷静沈着冷酷無比、友達いない悪魔No.1疑惑の仕事デキ赤き竜第四柱、フルーレティ中将だった。
     ちびちびと酔わない程度に酒を舐める部屋の主のアガリアレプトと違い、フルーレティはらしくもなく既に泥酔している様子だった。口調も普段の彼からはあり得んくらいに乱れている。

    「ま、まあまあ。何があったのさ、レティっち」

     半笑いで部下を宥めるアガリアレプトに対して、フルーレティは叩きつけたグラスの酒を呷り、即座にドポドポと酒を注ぐ。
     グッバイ俺のコレクション。いつも真面目に懸命に働いてくれているレティっちへの報酬には安い支払いさ…。と内心ちょっと泣いているアガリアレプトに構わず、フルーレティは愚痴を零す。

    「あいつですよ! 左門召介! あの男…! いつもいつも少将に迷惑をかけて…、少将に気にかけられて……、私の少将に……!」

     いや、君の少将ではない。
     と、アガリアレプトは思ったが口には出さなかった。何を隠そう、フルーレティ、ネビロスに惚れていた。それも千年単位でのガチ恋である。ちなみにネビロスからの脈はない。アガリアレプト調べなのでマジでない。

     『秘密をあばく』というアガリアレプトの性質によってフルーレティが隠しに隠していたネビロスへの恋情を知ってしまい、しかもそのことがフルーレティ本人にバレた時のフルーレティはそれはもう恐ろしかった。絶対に誰にも吹聴するな。とただでさえ悪い目つきを極悪にして詰め寄るフルーレティに、勿論誰にも言わない。と約束したのだ。
     アガリアレプトとしては、人の秘密を、しかも繊細な秘めた恋情なんかをベラベラ喋る趣味はなかったし、当時の(というか今現在も)アガリアレプトはむしろフルーレティの恋を応援していた。

     二人の人格の良さは承知の上だったし、ネビロスからの感情は恋情ゼロの上司への敬愛のみだとしても真面目な気風の二人はきっと相性も悪くないだろう。司令は恋バナとか大好きだった。
     恋の仲立ちとか、しようか? と提案したら、またも極悪な目つきで絶対止めろ。と断られてしまったが。

     それ以来、時たまアガリアレプトは誰にも聞かれない二人きりの場所でフルーレティの恋バナを聞く役目をしていた。
     実らず秘めた想いはフルーレティにしても些か重く、既にバレてしまっているアガリアレプト相手になら多少こぼしてしまってもいいだろうという、一種のストレス発散だった。
     それも可愛らしいものだったのだ。「この間少将と目があって嬉しかった」「部下に手を焼いている様子が心配で、でも生真面目な少将らしくて好ましい」とかの本当に可愛らしい恋心をぽつぽつと告げてくるだけの会だったのだ。……数年前までは。

    「左門……。あのクソガキが、カス虫が……」

     左門召介の出現でフルーレティは変わった。正確にいえば、ネビロスの環境が変わった。
     左門がネビロスを召喚し、ネビロスが左門を庇護し導くと決めた。度重なる召喚により魔界を留守にしがちなネビロス。そこまではまあ、召喚士と悪魔の関係とはそういうものだ。とフルーレティも鷹揚に構えていた。

     しかし、なんとネビロス、左門の召喚を拒否するために受肉。地獄から完全にいなくなる。
     そして対する左門。チャリパクに始まり、下っ端悪魔を次々に召喚。地獄の秩序を乱すばかりか総監督ネビロスに迷惑をかける。
     ここらで若干フルーレティはキレていた。

     親代わりの師に挑発を繰り返す左門。それでもなお左門を裏で庇い立て、心を砕くネビロス。

     その繰り返しとネビロスになかなか出会えなくなったストレスは、フルーレティの恋心の逆鱗に触れた。


     アガリアレプトにとって、左門召介はかわいい子どもである。それこそ幼少の頃から見守っていたこと、本質的に純粋で潔癖な質は悪魔としてもアガリアレプト個人としても好ましい。
     やたらめったら召喚されて命令を下されている下っ端悪魔たちには悪いが、アガリアレプトから見れば左門も大人ぶってはいるがまだまだ子どもなのだ。可愛がる対象としてみていた。

     だからこそ、フルーレティが嫉妬全開で左門をみていると知ったときは、危害を加える気ではないかとハラハラしたものだが、フルーレティにそんな気はないらしい。
     フルーレティにとっては、『左門召介』も『天使ヶ原桜』も等しくちっぽけな人間。いくら嫉妬の対象であっても、恨みに思えども、たかが百年も生きられぬ生き物をわざわざ害する、という発想がフルーレティには生まれない。ある意味悪魔らしい考えだ。
     アガリアレプトとしても、可愛い彼らが害されないなら文句はない。そもそも短命の人間に情をうつすこと自体が悪魔全体では少数派だ。フルーレティの考えに言う事などない。

    「まあまあ、ほら、ネビくんにとっては左門くんは自分の子供みたいなところあるからさ……」
    「私は継子は苛め殺す派です」

     白雪姫の継母かこいつは。


    「ほ、ほら! レティっちこないだ仕事のついでにネビくんの働いてるカフェに行ったんでしょ? ネビくんの様子とか俺聞きたいな!」

     ギリギリと悪魔としてもアウトな顔面で左門への恨みを呟くフルーレティを軌道修正すべく、違う話題を提供した。

    「ええ。てっしーさんのブロマイド販売と宰相の人見知り克服の為のキュバクラ出勤のお願いのためにお邪魔しましたね。てっしーさんにコーヒーを褒められて嬉しそうな少将は眼福でした」

     寿命が延びる。と限界オタクみたいなことを言っているフルーレティを横目に、『地雷踏んだか…?』と焦るアガリアレプト。

     フルーレティの正統な恋敵といえば、左門よりもむしろ天使ヶ原桜である。アガリアレプトとしてはネビロスの片想いも等しく応援していた。恋は戦争、早い者勝ちとかないというのが持論なので。
     しかしてフルーレティはなぜ恋敵である天使ヶ原とネビロスをわざわざ接触させたのだろうか? 商談なら別の場所で、ネビロスに会いたかったのなら、その後何食わぬ顔で『一仕事終えた休憩に来た』とでも言えばよかったのだから。

    「レティっちはさ、てっしーに思うところ、とか無いの?」
    「あまり無いですね。彼女を前にした少将は数百年見たことのない顔をしてくれます。特にアイドルを推している時の少将のデータは宝物です。なのに、左門のせいで…!」

     全ての話題が左門への恨みに収束していく。ブラックホールかあいつは。
     
     というか、なんで観客のデータを撮ってあるんだ。ギリギリストーカー通り越してバッチリストーカー案件だ。
     深堀りしたくないのでスルーするが。

    「ふーん、レティっちって好きな人の恋は応援出来る派なんだ。なんか意外、」
    「いえ、万が一少将の恋が実ったら天使ヶ原桜は殺しますが」

     怖いよこいつ。

     そっかー。とフルーレティの空いたグラスに酒を注ぎながら、ネビロスの恋が叶ったときは天使ヶ原共々逃がしてやろう…。と心に決めるアガリアレプトであった。恋に盲目な部下がこんなに怖い。


    「本当に…早く帰ってくればいいのに……」

     がくり、と酔い潰れて寝落ちたフルーレティの顔は、いつもの鉄面皮より少しばかり幸せそうに綻んでいる。
     可哀想なフルーレティ。理性的で合理主義な彼は、左門と天使ヶ原が死ねば以前の生活が戻って来ると盲目的に信じている。
     情に厚いネビロスは、我が子のように教え導いた弟子も、燃えるような初恋の少女もけして色褪せた思い出などにはしないだろうに。

     永遠に気が付かなければいい。悲劇が生まれるのも、フルーレティの絶望もアガリアレプトの望むことろではない。あるいは長い年月の末、フルーレティの恋がネビロスを再び変えることもあるかもしれないのだから。
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