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    なかた

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    綴至/ゴミ捨て場で見知らぬ男を拾うリーマン

    #綴至
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    ##A3!

    出不精な至にとって部屋から一歩も出ずに買い物ができるネット通販は渡に船、日照りに雨といえるようなサービスだった。しかし、困ったことが一つだけある。頻繁に注文すれば、その分だけ梱包用の段ボールが溜まっていく。そしてそれらの存在は、物が多く散らかった部屋をさらに無秩序にするのだ。ピザソースがついた口を拭くのに使ったティシュや飲み終わったコーラのボトルのように簡単には捨てられない分、面倒だが流石にいつまでも見て見ぬ振りはできない。同じ大手通販サイトのロゴが入った段ボールを解体し、紐でまとめるとそれを脇に抱えて至はマンションのエレベーターに乗り込んだ。
     ゴミ出しの曜日は確認した。あとは手にした段ボールをゴミ捨て場に置き、部屋に戻ればいい。その頃にはケトルに入れた水も沸騰して熱いお湯になっているだろう。食べ慣れた味のカップ麺で腹ごしらえを済ませたらあとは好きなだけゲームができる。そんなことを考えながらエレベーターを降り、マンションを出たところで至は我が目を疑った。ゴミ捨て場に人が捨てられているのだ。思わず、意識的に瞬きしてみたがコンタクトに異常はなく、目に見える景色にも変化はなかった。相変わらずゴミ捨て場に人が捨てられている。
     漫画や小説のようなフィクションの出来事としてなら何度か出くわしたことのある状況だ。現実でそんな場面に居合わせて、正直なところわくわくはしているがそれと同じくらい面倒なことになったなと思う。だだゴミを捨てるだけのデイリーミッションの難易度が一気に跳ね上がってしまった。
     とはいえ、至が暮らしているマンションは同世代の若者にはなかなか家賃が払えないような価格帯の物件で、おかげで至が希望した防音も含め快適な生活が保障されている。管理者に連絡すればあとはどうにでもなるだろう。念のためすぐに救急車を呼ぶ必要があるか確認しようと至が側に行くと、うつ伏せに横たわっている男の指がぴくりと動いた。
    「あー、生きてる?」
     頭の近くにしゃがみ声をかける。カラーをしてから時間が経っているらしく茶髪のてっぺんは地毛が見えていた。自分もそろそろヘアサロンに行かなければいけない頃かとぼんやり考えながら至が毛先をいじっていると男が顔を上げる。
    「なんとか」
     服に付いた砂を払い落としながら立ち上がる男と一緒に腰を上げながら至はどうしてこんなところに?と尋ねる。
     身なりからして高校生か大学生くらいの男は特別訳ありといった風には見えなかった。そもそも、あからさまに事件性が感じられれば、至も不用意に距離を詰めてはいないだろう。見た目は人の良さそうな青年だ。だからこそ、このゴミ捨て場に横たわってるた理由が気になったのだ。
    「えーっと、昨日は大学のフットサルサークルの試合に助っ人として参加して、打ち上げが終わった後、店の前で具合が悪そうにしてた女の人をタクシーに乗て、そのあと駅で酔っ払いのおっさんに捕まって……」
    「なんとなくわかった。全然わかんないけど」
     至だったらフットサルの助っ人を頼まれた時点で断っている。人の良さそうな青年は次々に面倒ごとを引き受けてここに行き着いたらしい。
    「見た感じ大きな怪我はなさそうだし、救急車も管理人を呼ぶ必要も必要もないかな。一人で帰れる」
    「そうすっすね。迷惑かけかけてすみませんでした」
     身体の下敷きになっていたバッグを拾って青年は至に背を向ける。その瞬間にぐうと気の抜けるような音が響いた。
    「あの……迷惑かけたついでに何か食べ物もらえたりしないっすか? 食パン一枚でもなんでもいいんで」
    「カップラーメンでいい? とっくにお湯沸いてると思うから」
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    TIRED綴至/ゴミ捨て場で見知らぬ男を拾うリーマン出不精な至にとって部屋から一歩も出ずに買い物ができるネット通販は渡に船、日照りに雨といえるようなサービスだった。しかし、困ったことが一つだけある。頻繁に注文すれば、その分だけ梱包用の段ボールが溜まっていく。そしてそれらの存在は、物が多く散らかった部屋をさらに無秩序にするのだ。ピザソースがついた口を拭くのに使ったティシュや飲み終わったコーラのボトルのように簡単には捨てられない分、面倒だが流石にいつまでも見て見ぬ振りはできない。同じ大手通販サイトのロゴが入った段ボールを解体し、紐でまとめるとそれを脇に抱えて至はマンションのエレベーターに乗り込んだ。
     ゴミ出しの曜日は確認した。あとは手にした段ボールをゴミ捨て場に置き、部屋に戻ればいい。その頃にはケトルに入れた水も沸騰して熱いお湯になっているだろう。食べ慣れた味のカップ麺で腹ごしらえを済ませたらあとは好きなだけゲームができる。そんなことを考えながらエレベーターを降り、マンションを出たところで至は我が目を疑った。ゴミ捨て場に人が捨てられているのだ。思わず、意識的に瞬きしてみたがコンタクトに異常はなく、目に見える景色にも変化はなかった。相変わら 1510

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