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    呪いで逆さ言葉しか喋れなくなったあきとくんの話

    「暁人!」
    マレビトの攻撃を食らい吹っ飛ばされる暁人。俺はコアを引き抜き、マレビトを消滅させる。俺は急いで暁人のもとに駆け寄り、無事を確認する。
    「大丈夫か?」
    「KK、ん・・・んう」
    意識を取り戻して立ち上がろうとするが姿勢を崩す。
    「手貸すぞ」
    だが、暁人の口から出た言葉に耳を疑った。
    「KK、うとがりあ」
    「え?」
    「のたっいてんなくぼ、れあ?」
    暁人の口から意味不明な単語が次々と出てくる。何だ? どうしたんだ? 様子がおかしい。明らかに変だ。
    「のるてっなうど!?」
    「暁人、俺の名前言ってみろ」
    「るえいにうつふはれこ、KK」
    「妹の名前は」
    「りま」
    「凛子のフルネームは?」
    「こんりもくや」
    暁人の口から出る単語を聞いていく内にある法則が出てきた。
    「こんりもくや・・・八雲凛子」
    暁人は頷く。つまり
    「逆さ言葉?」
    「ああ、暁人が何らかの呪いで逆さ言葉しか喋れない状態になっている」
    「んせまみすてっなにうふなんこ。すでいたうょじいなきでがわいか、がんせまりあはいだんもはにだらかうょじんげ」
    「は、はあ・・・」
    流石の凛子もこんなこと初めてなので戸惑っている。俺もだ。
    「しいなれしもかるれわらわ。なかのいいばえいてんなにりま」
    「お邪魔しまーす」
    「KK、来たよ!」
    噂をすれば麻里と絵梨佳がアジトに入ってきた。
    「でまんゃちかりえにりま」
    「お兄ちゃん?」
    「暁人さん?」
    麻里と絵梨佳に暁人に起きた異変を伝えたのだが、予想外なことに目には好奇心が宿っていた。
    「面白そう! ちょっと私にも試させて!」
    「待て待て待て! 何言ってんだよお前ら」
    「だって気になるじゃん! ね、絵梨佳ちゃん?」
    「うん、ちょっと興味あるかも」
    「てっまとっょちてっまとっょち」
    おいおいおいおい、暁人が困ってるじゃねえか。
    「KK、てけすた・・・」
    俺の方を見ながら助けを求めるが、俺は目を逸らすしかなかった。すまない暁人。
    「よし、じゃあさっそくやってみよう!」
    「お、おい。あんまり無理強いするんじゃないぞ」
    「大丈夫だよ」
    「いなゃじぶうょじいだがくぼ」
    「僕が大丈夫じゃない?」
    暁人は頷く。すると麻里は早速実行に移した。
    「るぞばんが」
    「がんばるぞ」
    暁人の話す単語を逆から読んでいく。
    「わちにんこ」
    「こんにちわ」
    「ばそみきつ」
    「月見そば」
    「くふいだおし」
    「塩大福」
    「にだくつのごない」
    「イナゴの佃煮」
    「んじんえ」
    「塩神」
    「くむろし」
    「白無垢」
    「しうぼたわ」
    「綿帽子」
    「んさじおけっろこいかうよ」
    「うーん・・・妖怪コロッケおじさん?」
    「デイルのことじゃねぇか」
    「呼んだ?」
    「呼んでない」
    「いたべたんどうおどけいいもでうど」
    「どうでもいいけどおうどん食べたい」
    「楽しんでねえか?」
    「よいなとこなんそ」
    「そんなことないよ」
    「今のは俺でもわかった」
    逆さ言葉で喋る暁人を麻里が翻訳しているようだ。麻里も楽しそうだな。だが、暁人も嫌そうな顔をしていない。
    「KK、さのあ」
    「何だ?」
    「てしととびいこ。ねらかだKKはんばちいどけだせわあしものるれらいとなんみてっやうこはまいどけ、したっかなれしもかたっかなえあにとうもいでんしはくぼらたっかないがKKきとのあてっだ。よだきすとこのKKはくぼ、さどけるえいらかだいたうょじなんこ。だからさ、あ。戻ってる」
    暁人の口から正常な言葉が出てくる。どうやら呪いは解けたらしい。
    「やっと元に戻ったよ!」
    「よかったな」
    「もうちょっと楽しみたかった」
    何が元で暁人の言葉が正常になったのかわからない。だが、とりあえず一件落着した。でも
    ──てしととびいこ
    「恋人として、か・・・」
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    32honeymoon

    DONE #2023年初めK暁ワンライ
    (盛大に遅刻遅刻ゥ~!!!)
    もうすっかり専売特許になりつつある、あの夜を超えて戻ってきた二心同体K暁でお送りいたします。
    しかし結局今回もワンライどころか3時間かかってしまいました・・・これがポンコツたる所以・・・!
    でも書くのは楽しかったのでこれで良しとしてくださいませ!
    白雀さま、いつも素敵な機会を作ってくださりありがとうございます😊
    雪と兎とおみくじと。ーちらちらと舞い散る、白い雪。
    窓の外、視界を覆うその白さにほう、と息を吐けば、まだ温まり切っていない部屋の空気が暁人の吐いた息のかたちを煙のように可視化してみせた。

    『ー今日は都内でもそれなりに積もるらしいぜ』
    今日が休みでよかったな、と呟くその声にそうだね、と返して、そっと揺れるカーテンを閉める。ぺたぺたとスリッパの足音が、ちいさなワンルームの部屋に響いた。

    「・・・KKはさ、雪って・・・好き?」
    『あ?・・・・まあ、雨よかはマシだな』
    「・・・そうなんだ」

    どこか浮かない顔で、誰にともなく呟くその表情。
    もしKKが目の前に居たなら、きっと「オマエなんて顔してんだ」とでも言われただろうが、暁人の表情を映すものがない今、彼の体の中に居るKKがその顔色を知ることは叶わない。
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