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    kmmr_ota

    @kmmr_ota

    いま好きなものを書きます / ジャンル不定の雑食

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    絶対共鳴の暁人とKKのスケッチ

    ##習作
    ##GWT

     マレビトのコアを抜き出した右手をゆっくりと戦慄かせた暁人が、なにも言い出さないままに走り出しても、KKはおどろかなかった。むしろ、おさまらぬ衝動にエーテルをたぐりよせたいと思った瞬間、身体が動いていたので、おのれが主導権を取っているのかと錯覚した。
     でも違った。暁人のからだはKKの手の内にはない。暁人は自分の意思で駆け出していた。でも、両手両足をかろやかになげだして、肺を弾ませて走る暁人の足の親指の、地面をけるくせは、風のエーテルを呼ぶゆびさきが空を引っ掻くやりかたは、あまりにも覚えがあり、寸分のくるいもない。KKはわらう。おまえ、すっかりオレのかたちになっちまって。
     しかし、KKは自覚していた。オレの『いつも』も、また変わっている。わかくのびやかな筋肉に任せて衝撃をいなすやりかたは、すくなくとも前の自分にはなかったものだ。ふたりにあったはずのあたりまえの差異は、いまは違和なくまじりあって、境界線なく身体が動く。
     だけど、身のうちにあふれる力だけは違った。共鳴して、より大きくなっていく。暁人の身体に満ちる豊かなエーテルは、KKのどこかにある芯みたいなものを、かあんと打つ。それはKKに響きわたり、より大きくなって、暁人に返され、またうちかえされて、大きくなる。ふたりのあいだをぐるぐると力がはねまわる。このまま二人ぐるぐる回ってたら、バターになってとけちまうかもな。KKは浮かれた頭でわらった。暁人の口があわせて笑みをうかべたのもわかった。
     ふたりは仔犬みたいに渋谷の空をはねまわり、すべりおち、駆け上がった。いまこの明けぬ夜に沈む街はふたりの庭だった。風景がめまぐるしく変わる、音に気づいたマレビトが、わずか空を見上げて首を捻る。地面にへばりつく人々を笑う。
     ああ、寒い。しかし燃えるように熱い。冷えた頭が指令を出す、次の屋根は三歩。からだは応えて叫ぶ、もっと早く、高く!
     頭と身体を意思で繋ぎとめて、夜を、夜を駆ける。ひろげた腕に風を受けて、走る!
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    kmmr_ota

    PROGRESSGWT / K暁 / エンディング後の話(書ききれるといいな)
    チープ・スリル(仮題)- 8 さまざまなマレビトと切った張ったの戦いを繰り広げてきた暁人でも、その門前に立ったときにはさすがに尻込みした。両手をいっぱいに広げても三人ぐらいは並べそうだ。高くもモダンなつくりの塀と木々で、屋敷の全容は外から把握できない。
    「どこまで続いてるんだろう」
     からだを乗り出して塀のさきを覗こうとした暁人の右手が、パントマイムみたいにぐい、と引っ張られた。KKの声がぼそりと呟いた。
    「やめとけ、知らんほうがいいこともある」
    「……それもそうだね」
     ひっぱられるままに任せて、暁人はもういちど身体を門の前に据えなおした。駅からここまでの道のりに立ち並ぶ家のなかでも、飛び抜けて立派な豪邸が本日の目的地である。
     あたりまえではあるが、東京に住まう妖怪たちについて、世間は認知していない。最後の関係者である娘にアポを取るにしても、どのように話を持っていくべきかと暁人は悩んだ。が、ええいままよ、と電話を掛けてみれば、あっけないくらいに電話のアポイントは快諾された。暁人が身分を名乗り、事情説明が隣家の主人と座敷わらしにまでおよんだ途端、あっけらかんと言われたのだ。
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