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    siroinari

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    siroinari

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    ポセこじポセ、ハデ始ハデ前提でこじと始がコイバナするくらい仲良し。
    大食らいな神様にビビる人類側の話を書こうとしたら別物になった。
    ちゃんと恋人してる三回戦組に対して身体の関係だけな七回戦組の始が危機感を覚えて突撃したら付き合ってなかった。佐々木視点?なのでハデ様は出ない。
    ハデ様が自己肯定感低かったらな話。左右は決めてないけどこの流れだと始ハデかな。

    #ポセこじ
    #こじポセ
    #ハデ始
    beginningOfTheDecade
    #始ハデ
    first-halfLength

    我愛你カチャカチャと僅かに食器の触れ合う音がする。
    優雅な気品に溢れるそれは当神の見た目も相まって一枚の絵画のようだ。伏せ気味の瞼を彩る長いまつ毛が目元に影を落とし、より神秘的な雰囲気を纏わせている。美しい所作でフォークを操り、小さく開かれた口に食物を運ぶ姿は完成されていた。じっと注がれる視線に、青い宝石が訝しげに細められる。
    「なんだ」
    「えっあ、いや〜綺麗だなと思ってな」
    慌てて取り繕って自分の食事を再開するも、ガチャガチャと耳障りな音を立ててしまい縮こまる。個室なので他の客の姿はないが、店の者の眼はある。こんな格式高い場所は初めてでマナーもわからない。恥をかかせやしないかとひやひやする。
    「余が連れてきたのだ。公の場でもあるまいし、好きに食せば良い」
    まさかのフォローをされ、またもやポカンと静止してしまった佐々木に対し、ポセイドンは片眉を少し上げたが何も言わずにフォークを口に運んだ。気品にあふれているのだが、先程からフォークを運ぶ手は一向に止まらない。もはや感嘆の溜め息しか出なかった。
    フォークが置かれたと同時に給仕がすかさず皿を下げ、入れ替わりに新たな皿が置かれる。
    これで何度目だろう。少なくとも佐々木が皿一枚に四苦八苦している間に五、六枚は交換されていた。
    そして佐々木の皿は今ようやく二枚目である。己もよく食う方だと自覚していた佐々木だが、上には上がいるもんだと素直に感心した。戦乙女が聞けばそうじゃないと盛大にツッコミが入っただろうが、悲しいかなこの場に彼女はいない。
    度々手の止まる佐々木に何を思ったのか、ポセイドンが給仕に何やら言いつけると美しい細工の施された箸が出てきた。
    「その方が食べやすかろう」
    「・・・ありがとう」
    「いつものように美味そうに食え。作法なんぞ気にせずともよい」
    ぶっきらぼうだが気遣いの篭ったそれに佐々木の胸が温かくなる。
    箸を手に口にした食事は先ほどまでとは比べようがないくらいに美味かった。
    「うまい」
    パクパクと食べ始めた佐々木にポセイドンが眼を細める。だが何も言わずに食事を口に運んだ。佐々木が話しかけるのに時たま相槌を打つ程度だが、食事のスピードは緩まない。だが卑しさは感じなかった。厳かな食事が一転して賑やかなものに変わっていくが、洗練された所作はそのままだ。
    美しいものは何しても美しいのだなとズレた感想を抱きながら、通算十数枚目の皿が下げられていくのを見送った。

    ーーーと、いう話をしたのだが、目の前の御仁が話が進むにつれて肘をついて手を組み、そのまま額を当てて項垂れたのに佐々木は首を傾げる。
    「どうしたんだい始皇帝殿?」
    「嗯・・・」
    ひらひらと手を振り問題ないという意思を伝えてくるが、声には覇気がない。
    「冥府の神様と何かあったのかい?」
    「否・・・」
    始皇帝が何事かを口の中で呟いた。聞き取れなかった佐々木が問い返すとゆるゆると顔を上げて一言。
    「何も、ない」
    「うん?」
    「冥府のとは交合はするが、食事だの外出だの、その他のことはしたことがない」
    「へ・・ぇ?」
    「いつも朕が押し掛けて、なし崩しに事に及ぶばかりだ。誘われたことなど一度もない。あの海神ですらデエトをする甲斐性があるというにあ奴は・・!!」
    初めての恋に浮かれていちゃつくだけで満足していたが、他所の話を聞いて愕然とした。怒りが湧いてきたのかふるふると肩が震えてくる。ポセイドンがどう思われているかが垣間見えたが、兼ねがね間違ってはいないのでまあ良いかと聞き流した。重要視すべきは他のことだ。
    「あー・・つまりお前さん方はデエトというか食事したり外で会ったり出掛けたりとかをしたことがないってことかい?」
    「是的・・・」
    再びがっくりと項垂れた始皇帝に慰めの言葉が見つからない。だが同時に意外だった。
    「あの神様はそういうとこ大事にしそうだと思ったんだがねぇ」
    時たまポセイドンから兄の話は聞くが、大体が他の兄弟が如何に迷惑を掛けたかだのどれほど兄が優秀なのかという自慢のようなものばかりだ。最初のうちは兄の話ばかりするものだから微笑ましさを通り越して悋気すら滲んだものだが、それが仕事以外の雑談が苦手であるが故。いつも佐々木の話に相槌を打つばかりでは芸がないと弟に指摘されたが故の苦し紛れの話題だったのだと知れた時には申し訳なさで一杯になったものだ。どうにか佐々木が楽しめる話題を探し、兄の武勇伝ならばと佐々木の好みと兄への信頼が織り混ざった結果であった。それほどまでにポセイドンが信頼を寄せる兄が恋人にそんなぞんざいな扱いをするだろうか。
    「とにかく、一度話し合ってみたらどうだい?ただでさえあの神様は普段冥府にいて会いづらいんだ。そういったところが関係しているのかもしれないぞ?」
    「うむ・・・」
    しょんぼりとした始皇帝は見かけ相応で可愛らしく、思わず頭を撫でてしまった。
    「おっと、すまんね。つい・・・」
    ぽかんとしていた始皇帝だが、パッと表情を明るくさせると離れかけた佐々木の手を取り押さえつける。
    「好!良い、許す!もっと撫でよ!」
    にこにこと笑う始皇帝の姿にほっこりしつつ、もし本当に彼をぞんざいに扱っていて平然としているのならば、冥府に殴り込みに行こうと佐々木はひっそりと誓った。
    後日、どんよりとした始皇帝が「恋仲じゃなかった・・・」と佐々木に打ち明けたことで海神を巻き込んでの有言実行となるのだが、そこで彼は己の恋人の完璧な兄唯一の欠点を知ることとなる。
    「兄上は恐ろしく自己肯定感が低いのだ」
    行った先で問いただせば不思議そうに首を傾げられた。
    曰く、かの皇帝が共寝を求めたのは単なる好奇心だろう、と。
    あんぐりと口を開いた佐々木があれこれ言い募っても、終ぞ解せないという顔を崩さなかった。事態を把握したポセイドンが早々に撤退させて、始皇帝も呼び出しとつとつと語る。
    「兄上は色恋沙汰に疎い。ゼウスや余のせいがあるのも否めないが、とにかく他人事として捉えている。我ら兄弟からの好意は伝わっているが、あくまで家族愛で、それ以外はてんでダメだ。未だに己が他者に求められることがあると思っていない。部下にしても冥王としての価値以外があると思っていない。実際、利権に纏わるハニートラップなんぞ日常茶飯事だった。そんなだから利権や興味以外で、ましてや心を求められるなど考えもしない」
    故に始皇帝が求めてきたのは身体の関係だけと思っていたのだろう。
    「貴様、兄上にしっかり愛を伝えたか?」
    暴君の口から出ると何とも言えない破壊力があるが、聞いた本人はそれどころではなく。
    海神から通行証を奪い取ると全速力で冥府へと消えていった。
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    siroinari

    TRAININGポセこじポセ、ハデ始ハデ前提でこじと始がコイバナするくらい仲良し。
    大食らいな神様にビビる人類側の話を書こうとしたら別物になった。
    ちゃんと恋人してる三回戦組に対して身体の関係だけな七回戦組の始が危機感を覚えて突撃したら付き合ってなかった。佐々木視点?なのでハデ様は出ない。
    ハデ様が自己肯定感低かったらな話。左右は決めてないけどこの流れだと始ハデかな。
    我愛你カチャカチャと僅かに食器の触れ合う音がする。
    優雅な気品に溢れるそれは当神の見た目も相まって一枚の絵画のようだ。伏せ気味の瞼を彩る長いまつ毛が目元に影を落とし、より神秘的な雰囲気を纏わせている。美しい所作でフォークを操り、小さく開かれた口に食物を運ぶ姿は完成されていた。じっと注がれる視線に、青い宝石が訝しげに細められる。
    「なんだ」
    「えっあ、いや〜綺麗だなと思ってな」
    慌てて取り繕って自分の食事を再開するも、ガチャガチャと耳障りな音を立ててしまい縮こまる。個室なので他の客の姿はないが、店の者の眼はある。こんな格式高い場所は初めてでマナーもわからない。恥をかかせやしないかとひやひやする。
    「余が連れてきたのだ。公の場でもあるまいし、好きに食せば良い」
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