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    まみや

    @mami100_94

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    まみや

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    【12月31日】
    霊体エクボと霊幻の二人で年越し。

    #エク霊
    EkuRei

    「だから、こっちは大丈夫だって!そっちこそ、あんまり出歩くなよ!」
    「そうねぇ…せっかくのお正月なのにねぇ…」
     パソコン画面の向こうでは霊幻と同じ眠そうな二重まぶたの女が、さっきから何度も同じ話を繰り返している。俺様は霊幻のつむじを見下ろしながら、肩越しにその画面を盗み見た。
     これが霊幻の母ちゃんか…。なかなか美人じゃねぇか。そりゃ、歳はいってるが若い頃はモテただろうな。霊幻の顔がいいのだけは納得出来る。
     今年の冬は例の伝染病があるから帰らないと霊幻が電話したら、向こうからパソコンでテレビ電話しようと言ってきた。最近では年寄りも機械には強いらしい。
    「大体、ちゃんと食べてるの?お節も無いなんて何だか不憫で…」
    「いや、あれはそもそも保存食として作られた物で、今は元旦でもコンビニが開いてるから必ず必要というものでもな…」
    「そうやって!あんたはまたコンビニのものばかり食べて!!!」
    「そういうわけじゃねえよ!」
     えらいとばっちりだ。台所には俺様が材料を吟味して選んだ正月料理の具材が並んでるというのに!
     止まらない話のループに、霊幻の目が斜め上に浮かぶ俺様を助けを求める。
     オンラインではやった事がないが、試してみるか。
     俺様は画面と霊幻の間に割り込むと、じっとカメラを見つめた。
    「あんたの息子は一人じゃねえよ。正月休みの間は俺様が美味いものをたらふく食わせてやる。俺様にはウィルスは移らねぇからな。それより、そっちも気をつけろよ。餅は小さく切って食え。散歩は風通しのいい野外だけにしろ。三が日に初詣に行かなくたって神さんは逃げねぇよ。分かったか?」
    「分カッタ…出歩カナイヨウニスル…」
     ぽうっと目の奥に緑の光が灯り、霊幻のおふくろはこくり、と頷いた。
    「え、エクボ。洗脳したのか?」
    「ああ、軽くな。画面越しでも効くか心配だったが…こりゃ、案外いけるな」
    「後遺症とか無いんだろうな?」
    「俺様の洗脳の腕はその体で知ってんだろ?」
     俺様たちがコソコソ話している間に、 画面の向こうでしばらくぼうっとしていた母親はだんだんと正気を取り戻してきた。けれど、深層意識に俺様が言った言葉は残っているはずだ。
    「新隆ハ…一人ジャナイ…。美味シイモノ…食ベテル……」
    「そ、そう、だから心配すんなって!母ちゃん!」
    「そっか…いつの間にかそんないい人が出来たのね!!!会えるようになったらいつでも連れてらっしゃいね!じゃあ、元気でね!」
     何か若干の誤解が残ったようだが、まあ瑣末なことだ。
    「さ、じゃあ、お節の用意始めるか」
    「いやいやいや!ちょっと待て!なんか母ちゃん盛大に誤解して無かったか!?」
    「はぁ?別に誤解じゃないだろ?俺様はお前さんの…いい人、じゃねえのかよ?」
     ぶわり、と霊力を膨らませて人型になり、霊幻を腕に閉じ込める。パソコンを畳む霊幻の耳の上がほんの少しだけ赤く彩られているのを俺様は見逃さない。
    「じゃあ…今度うちに挨拶に来るか…?」
    「お前ん家の家族、俺様が見えんのかよ?」
    「俺と同じ零能力だから、たぶん見えないだろうな。あ、だからって変な洗脳すんなよ!」
    「なんだよ、今のはお前さんが何とかしてくれって言うからしたんだろ!」
     けど、そうか。お前さん、俺様を家族に紹介してくれんのかよ。悪霊を何だと思ってんだ。
     可笑しくて、なんか少しだけ切なくて、ギュッと抱いた腕に力を込めた。
    「ん…エクボ…苦し…」
    「わり…。じゃ、今から作るか。お節」
    「頼むぜ?こんないっぱい買って、俺には作り方なんて分かんないからな!?責任取って全部作れよ?」
     そう言って霊幻は自分の体を俺様に明け渡す。
     霊幻の体に憑依した俺様は手を握ったり首を回したりして、リンク率を確認する。ん、今日も良好だ。
    「じゃあ、数の子から下準備するかぁ…。まずは水に晒して…」
    『え、それってそのまま食えるんじゃねぇの!?』
     霊幻の意識は頭の中にちゃんと残っている。
     見た目は一人でも、俺たちは二人。寝正月上等、誰にも会わない方が好都合。
     すっかり、我がもののように操れるようになった霊幻の腕をまくって、俺様は台所に向かった。




     三が日編に続く…のか??
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    まみや

    PROGRESSシン花スミイサin長野、の続きです。
    前回重めなお話でしたが、こちらはファミリーでゲレンデに行く話。かっこいいスミスはいません。

    10月になってしまった…!
    ブレバザで出せるよう、頑張る!!!
    ルル、スノボを始める とうとうこの年最初の雪が降った。
     夕方からちらちらと白いものが混じるようになったと思ったら、翌朝には辺り一面が真っ白だ。庭のベンチもトレーニングをした芝生もみんな雪に覆われている。
    「あれ、なに!?」
    「雪だよ。そうか、ルルは初めて見るのか」
     初めて見る雪にルルは興味津々だった。
    「雪だるま、作れないかな!?」
     スミスですら興奮気味である。雪を見るのが初めてというわけでもない、ましてや雪ではしゃぐような年でもなかろうにスミスは子供のようにワクワクしていた。そんな二人の様子にイサミは笑いを禁じ得ない。
    「このくらいの雪じゃ、雪だるまはまだ無理だ。それはもう少し後だな」
     こんな風にうっすらと積もる程度の雪ではすぐに溶けてしまう。こんな雪があと何回か繰り返され、やがてこの辺りは溶けることのない雪で一面真っ白に覆われる。イサミが子供の頃から繰り返されてきた光景だ。楽しいだけじゃなく、家の雪下ろしなど苦労も多い雪国の冬。けれど今年は今までの冬とは違う。そんな予感がイサミの胸にふつふつと湧いてくるのだった。
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     今年の冬は例の伝染病があるから帰らないと霊幻が電話したら、向こうからパソコンでテレビ電話しようと言ってきた。最近では年寄りも機械には強いらしい。
    「大体、ちゃんと食べてるの?お節も無いなんて何だか不憫で…」
    「いや、あれはそもそも保存食として作られた物で、今は元旦でもコンビニが開いてるから必ず必要というものでもな…」
    「そうやって!あんたはまたコンビニのものばかり食べて!!!」
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    DONEピクシブにあげてたのと同じやつです

    夏休みの間だけ田舎に住んでいたロナルド少年が、「病弱な男子に女装をさせて育てる」という人間の風習にあやかり、ネタ半分で女装をしていたドラルク(外見年齢10代前半)に初恋を奪われる話です
    ドラルクは死にやすい上に外見的年齢が育ちにくい体質という設定です
    ロナルド少年が女装をしていたドラルク少年に初恋を奪われる話 ロナルドの初恋は年上の笑顔が可愛い女の子だった。
     ほっそりとした子で、ふわふわのフリルが溢れんばかりについた可愛らしいドレスから頼りない腕や足が見え隠れし、顔色も悪かったが、大きなリボンのついた帽子がその表情のほとんどを隠していた。それでも見える口元はいつも微笑んでいた。

    「ねえ、いつかきっと会いに来てね」

     少女は花のように笑ってロナルドにそう言った。その笑顔にロナルドは撃ち抜かれ、それからずっと、恋に落ちたままでいるのだった。

     ロナルドは小学生低学年くらいの時に埼玉の田舎で過ごしたことがある。遠縁の親戚の家で過ごしたのだが、それがどういった事情だったのかは覚えていない。一時的なものだったし、その親戚もそれから数年のうちに亡くなってしまい、ロナルドはその地との縁を失ったのだった。ともあれロナルドは一時的にその田舎で夏休みを過ごした。
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