忘れ難い好敵手「…おや、大分上手になりましたね…鄧艾殿」
「いえ、当然ですが…やはり、郭淮殿はお強い」
共に過ごせる時、リビングに将棋盤を置いて愉しむのも一興。貴方と向き合うのは、人生を将棋に捧げてきた私にとり大切なものだった。勝敗はどうより、貴方のことが手に取る様に解るから。
「ふふ、けっほ…貴方の盤石に固めた差し方をするところ…とても、好きですよ」
「はは…どうも、無作為に飛び出す勇気は無く…見事に隙を突かれてしまいます」
「将棋は、性格が現れますからね」
盤の上を眺め、相手がどの様な考えかを読み解き降すのが棋士。重厚な守備と揺るぎない実直さを感じ、何時までも差して居たかった。
「今更ですが、郭淮殿は棋士として様々な方と差しておられますよね…何方か、印象深い方はいらっしゃいますか?」
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