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    izayoi601

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    izayoi601

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    二年前に書いた艾淮本の番外編。
    現パロで定軍山の関係性を書いてみたくて、棋士淮殿の好敵手ならほせかなと試し書きしたものです。いざ書いたら艾淮が少なく、はまったばかりの超法を入れ込み過ぎ誰得なのか解らない話になってしまった…と仕舞っていましたが折角書いていたので此処にあげておきます。書いた私だけが楽しかった話(大体そう)ですがもしご興味ありましたらお暇な時にでも。

    #艾淮
    aiHuai
    #超法
    superLaw

    忘れ難い好敵手「…おや、大分上手になりましたね…鄧艾殿」
    「いえ、当然ですが…やはり、郭淮殿はお強い」
    共に過ごせる時、リビングに将棋盤を置いて愉しむのも一興。貴方と向き合うのは、人生を将棋に捧げてきた私にとり大切なものだった。勝敗はどうより、貴方のことが手に取る様に解るから。
    「ふふ、けっほ…貴方の盤石に固めた差し方をするところ…とても、好きですよ」
    「はは…どうも、無作為に飛び出す勇気は無く…見事に隙を突かれてしまいます」
    「将棋は、性格が現れますからね」
    盤の上を眺め、相手がどの様な考えかを読み解き降すのが棋士。重厚な守備と揺るぎない実直さを感じ、何時までも差して居たかった。
    「今更ですが、郭淮殿は棋士として様々な方と差しておられますよね…何方か、印象深い方はいらっしゃいますか?」
    その言葉で様々な方が過ったが、一番私の脳裏を占める人物が鮮明に蘇ってくる。もう随分前の、若い頃。それでも今の私に重なる、大切な記憶。
    「…そうですね、二十代前半くらいでしたか…ずっと、競い合っていた者がおりまして」
    「何と、その様な方が…相当、お強いのですね」
    「ええ…執拗で油断ならない差し手ばかり…何度騙され、何度嘲笑われたことか…負けた日は、本当に口惜しくて…げっほえっほ…性格が悪いとは、まさにこのこと…妙に艶がある容姿なのも…」
    思い出すままに呟いてしまうと、鄧艾殿は見たことの無い程瞳を見開き硬直していた。
    「…郭淮殿が、そこまで何方かを強く仰るとは」
    「え…はは、げっほ…失礼致しました…ですが、それ程凌ぎを削った者だったのですよ…法正は」
    言った途端、私の眼前にまで身を乗り出されてしまう。視線には好奇心と疑心が入り混じっており、息を呑みながら制した。
    「けほ、あ…あの、鄧艾殿…どうしました?」
    「あ、申し訳無い…郭淮殿が呼び捨てになさるのを初めて見ましたので、つい…どの様な方か、詳しくお聞かせ願いたく…」
    そう言えば、私が棋士で呼び捨てにした人間など殆どおりませんね。彼くらいでしょう。それ程に強かった、恐らく認め合っていたのかもしれない。そして何処か、魅了された。
    「…ふふ、そうですね…鄧艾殿には、お話しておきたいかもしれません」
    貴方が知らない私を、知って貰いたい。心底に刻まれる程深く残る、彼という存在を。



    「…お前の『参りました』は、心地好いな」
    対局後の反省会で、決まって勝利すると口元を緩め囁かれる。私の敗北する姿を、心から愉しんでいた。
    「…それだから、性格が悪いと言われるのですよ」
    「それの何が悪い、俺が勝利したことに変わりないだろう」
    艶やかに光る黒髪を掻き上げ、長い睫毛を瞬かせれば冷ややかな視線を投げる。彼との実力は変わらず、五分だった。対局の度互いの勝敗を繰り返し、切磋琢磨しているとも言える。彼と向き合うのは緊張の連続で、差し方にも恐怖を覚えた。相手を誘い込み、油断させて絡め取る。
    「げっほ…卑劣な手ばかり使って、人が負けるのを愉しんで…それで良いのです?」
    「それが、この世界だ…単純なことだろう?お前も勝つ為に捨て身の手を使う…それを打ち砕くのは、愉快でぞくぞくするに決まっている」
    盤に頬杖を突き、不敵に笑う。何時も黒のスーツを着ていたが、直ぐネクタイを緩めワイシャツを肌蹴けさせれば褐色の胸元が垣間見えていた。確かに棋士は勝敗が全て、それは事実だ。ただ私は、どうしても解せなくて。
    「お前の慌てふためく顔も、今俺を見て悔しがるその眼も…見たかったからな、郭淮」
    吸い込まれそうな美しい紺青の瞳で、その様なことしか言わないなんて。
    「十分、解りました…けっほ、次は負けませんよ…法正」
    「はは…それまで精々、生きているんだな」
    「げっほ…何が何でも、生きますよ!」
    苛立ってつい、貴方とだけは呼び捨て合っていましたね。自らを嫌いな人間が悔しがるのが一番見たいのだと、人を嘲笑う表情は今も忘れ難い。
    「タイトル戦は和装って決まっているのですからね!きちんと着てきて下さい」
    「お前が勝ち上がってこれるならな」
    「貴方もですよ!」
    このやり取りを、何度繰り返したでしょうか。負た相手とは必ず残忍な程の手で勝利する、報復の悪党と呼ばれていた。何時か、貴方だけは完膚無きまでに倒さねば。私のやり方で、彼に勝ち越したいと闘志を燃やしたものです。

    しかし突然、その日々が変わる事態が訪れた。

    「え…?」
    法正が、対局後急に倒れたと聞いた。先輩棋士達によれば、元から身体が丈夫では無く無茶が重なったのだという。居ても立っても、いられなくなった。気付けば入院先を聞き、見舞いの品を持って歩き出してしまう。そこまで陥れるのを愉しみたかったのか、それとも。理由は違えど、その様な身体と知っていても差したかったなら。私と、同じだった。今なら、貴方と違う距離で話せそうな気がする。その様なことを考えながら、病室のドアを引いてみた。
    「…?」
    将棋盤を差す音で、手を止めた。一番手前のベッドから姿が見えたので、様子を伺う。交互に違う響きだ。一つは聞き慣れた周到さを感じる慎重な音、もう一つは明白な意志があるのか非常に力強い。良く見れば、点滴を腕に巻き付けられた法正と盤を挟み、体躯の良い青年の眩い金髪が揺れる。
    「…馬超殿、もう詰みです」
    「何?!何処がだ」
    「ほら、がら空き」
    「な、ま…待ってくれ法正殿?!」
    「ふ、通用するとお思いですか」
    頭を抱える様子を見ると、対局の相手は棋士で無いのだろう。ただその時の私は、法正の表情へ釘付けになった。愉しそうなのは、変わりない。ただ対局している時や普段の彼からも知り得ない、見たことが無いものだった。柔らかな眼差し、童心に返ったような微笑み。驚く程純心な、喜びに溢れていた。
    「法正殿、俺はまだ貴方に勝つことが出来ないようだ」
    「この分だと、一生無理ですが」
    「それでもだ」
    決意に満ちた眼差しが、法正を射抜いている。
    「法正殿に応えて貰えるまで、俺は何度でも挑む」
    瞳を見開き、微動だにしなかった。私はあの方を知りませんが、これだけは解る。貴方を、何よりも大切にしているのだろう。法正は静かに前髪を掬い、瞼を伏せた。
    「…何度言われても、同じです」
    「それなら、また明日来よう…息災にな」
    拒否されたと言うのに、彼は落ち込む様子も無くドア前へ来たので思わず隠れてしまった。一瞬擦れ違った黄金の瞳は、見惚れる程の輝きを放つ。一呼吸置いて再び開ければ、法正は私を確認した途端何時も見る冷徹な顔に戻ってしまっていた。
    「…何時から居た」
    「あ、げっほえっほ…つい、今しがた…」
    言っても、誤魔化されてくれる人じゃないですがね。用件は果たそうと、先程まで将棋の相手が座っていたらしき椅子に腰掛け見舞いの品を突き付けた。
    「…何だ、俺を笑いにでも来たか」
    「げほ…お見舞いです、こう見えても心配したのですよ…私も、病弱ですので…これ、美味しいですから」
    「一緒にするな…まぁ、受け取ってはおく」
    此方が真摯に話せば、案外素直に聞いてくれる。菓子を好むところも、意外だった。
    「…素敵な人ですね、あの方」
    品を置く手が一瞬止まり、艶やかに睫毛を瞬かせる。
    「…何故、そんなこと」
    「けほ…解りますよ、それで」
    盤に残った彼の陣地で、瞭然だった。小細工など一切感じられない、正面突破の真っ直ぐな差し方。棋士としては、とても怖くて出来ませんね。純粋で清々しい程の力強さに、笑みが溢れてしまいそうになる。
    「…学生時代の、同級生で…暑苦しくて、大嫌いだが…何度拒否しても話し掛けて来て、負かしても挑んで来るから相手してやるしかない」
    眉を顰めながら呟くが、先程の表情が物語っている。貴方にもきっと、盤から伝わるのでしょう。そして貴方の陣地も、何時もと手法が違っていた。それを眺め、思い起こす。此方が貴方の、本質だとしたら。常に彼の盤から、違和感があったことに。
    「…あの…一度聞いてみたかったのですが…どうして、棋士になったのですか」
    素朴な疑問を口にすると、法正は溜息を吐き淡々と話し始めた。
    「…祖父に預けられて、将棋に出会った…俺に才があり、棋士になると大層喜んでくれてな…育てて貰った、報恩の為に尽くす」
    身体への負荷も、勝利への執念もその為とは。彼は報復だけで無く、報いそのものに生きる人間だった。あの差し方が、そのせいなら。唇を噛み締め、冷淡な視線から逃げず眼を見つめた。
    「…それなら、十分ではありませんか」
    思わず微笑むと、驚愕した様に瞳が揺らぐ。
    「貴方が命を削ろうとしてまで成し遂げてきた道ですから、嬉しかったと思います…それでも、本当に望まれているのは貴方の幸福ではないかと…お祖父様も、あの方も」
    才はある、でも貴方の将棋にあるのは『執着』だけ。勝利以外の何も、感じられない。棋士は私も例外では無く、実力の為身を削る。執念深い貴方ですから、棋譜や研究に没頭し対局に備える壮絶な日々でしょう。まるで自らの意志は無いのに、身を滅ぼすのを厭わない様で。それは、違う。この盤の貴方なら、歓喜や願いが滲み出てくるのに。
    「お前に何が解る」
    「確かに詳しくは、知りませんよ…ですが…私は、命を粗末にする人間が許せません」
    望まれた道があるのに放棄するなら、絶対に。強く声を張ると、瞼を閉じながら不意に口元を緩めた。
    「ふ…常に死にかけたお前に言われたくないがな」
    「げっほ…それはそうですが、貴方は場所が違うということです」
    盤を差したあの方は、ずっとそれを彼に伝えたかったのだろう。手遅れに、なる前に。将棋しか無い私であっても、まだ未熟だった。
    「…あの方は棋士より余程、貴方をお解りになる人ですね」
    貴方自身が、望んでいることも。最も理解していることを素直に突き付けるからこそ、嫌いだったのでしょう。法正は再び睫毛を瞬かせ、色香の漂う唇を動かした。
    「…お前の悔しがる顔を、見たかったがな」
    初めて見る柔和な笑みは、眩い程美しい。時を経ても鮮明に映る程、忘れられなかった。
    「ほ、法正殿!!倒れたって本当かい?!」
    笑みを返した途端、勢い良くドアが開き慌てた無精髭の表情が飛び込んで来る。黒髪を跳ねさせ、眉を下げながら法正殿の肩を掴んだ。
    「また無茶をして、本当に君は…」
    「煩いな、大したこと無いだろ」
    「あるよ!入院したって聞けば心配するの当たり前じゃないか…痛っ!」
    「良いから、離せ」
    必死な訴えに呆れ、眉を吊り上げながら握る手を叩く。続いて今度はゆっくりとドアが開き、孔雀色の帽子を被った白藍の眼が特徴的な青年が明るく覗いた。
    「法正殿、大丈夫?徐庶殿すっごく慌てちゃってね…これ俺達からお見舞い、さっき若も来たでしょ…楽しかった?」
    「別に…面倒なだけです」
    「もー…いい加減応えてあげてくれないと、俺と徐庶殿安心して行けないよー」
    三人で戯れながら一頻り話した後、椅子に座った私を見て同時に飛び退かれる。か細く存在感の無いこの身体では反応に慣れていますから、深々とした一礼に両手を振った。聞けば彼らも同級生で、仕事で海外へ発つ前に顔を見に来たという。彼等へも垣間見せる感情の起伏に、此方の胸にも温もりが伝わり瞼を閉じた。病室を出ていく背を見て、漸く解った気がする。
    「…私も、精進します」
    「何だ、いきなり」
    「貴方のこと、見抜けませんでしたから」
    自らの意志には非常に素直で、純粋だった。性根から悪党では、あれ程の方達に囲まれていません。盤を挟んだ相手と、真摯に向き合いたい。そう、誓わせてくれた。
    「…勘違いするな、俺は好きに生きているだけだ」
    「ええ、良く解りました」
    やはり貴方の生き方は私と似ていない様で、似ている。自らの力を尽くせる道を、これからも選ぶのだろう。
    「貴方に出会えて良かった、法正…どうか、息災で」
    道は、違えていく。私はまた、此処で強くなれそうだ。
    「慌てふためく顔を、見に行ってやる…それまで、お前が生きていればな」
    「げっほ…生きますよ!」


    「…それで、今はお見掛けしないのですか」
    「ええ、すぐ新たな仕事を見つけたみたいです…信頼出来る方らしくて」
    年間成績が出た後、法正は将棋から去ってしまった。元々聡明で優秀だ、職も引く手数多だったらしい。社長がお人好し過ぎて見てられなかった、棋士などより面白くて堪らないと口角を上げるのが浮かぶ。
    「それ程ご存知とは…仲が宜しくなった様で」
    「それは違います」
    二年前、取材を受けていた喫茶店で偶然再会したからだ。此方は白髪が増えたというのに時を経ても艶の消えない美貌、人を食った様な笑み。そして見事に、彼の思い通りになった。私は左手を翳し、鄧艾殿の眼前で薬指を光らせる。
    「…私の驚く顔を、見たかっただけなんですよ」
    スマホへ伸ばした薬指を見つけ硬直した私に、口元を緩めていたのが悔しかった。執念深い悪党にも、負けを認める人間は居た様です。
    「そうですか…それなら、喜ばしいです」
    「…ふふ、そうですね…きっと」
    ああ、貴方はそう仰れる人でしたね。自然と、笑みが溢れる。だからこそ私は、惹かれたのですから。貴方と盤を差す程に心地好く、温かな光さえ溢れる。経験を積んだ今なら、大分解ります。彼もあの人と盤を挟む時は、この様な感情だったのでしょう。
    「…鄧艾殿」
    「何でしょうか」
    一泡吹かされた分を盤で返せないのは、口惜しいですが。棋士としても、人間としても大切なことに気付かせてくれたことには感謝しておきます。理解し、支え合える方が居るということ。何処かでまたこの姿を見てくれるなら、全身全霊で伝えましょう。
    「本当に…貴方で、良かったです」
    彼が幸福で、在るのなら。この道を選んだ私も、誇らしいと。
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    izayoi601

    DONE桜の季節の話が久々に書きたくて、かくわい先生としょうかいくんがただ話してる学パロになりました
    この二人の親子みたいな関係性が好きで…ずっと温かい関係で居て欲しい
    青春しているしょうかいくんが先生には素直に本音を話せるところを書きたかっただけですがもし宜しければ
    ぶんおうくんは出てきませんがほんのり鴦鍾です
    私の先生「何なんだ、あの女……」
     今日は進路相談の筈だろう。天命館学園では二年生の春に行われる、担任からの個別面談。一年から引き続いての辛憲英先生と向かい合い、肝心の進路の話はほんの数分。まぁ私程優秀ならば口を挟まれる様なことも無いのだが、切り替わった話題が実に下らない。
    『文鴦君とは、その後如何ですか?』
    やれ『仲良くなられたのでしょう?』だの『ご友人との旨は胸を張って話すべきですわ』だの、駄洒落混じりに満面の笑みを浮かべながら根掘り葉掘り。ここ最近では最も疲弊した、もう何も話したく無い。
    「……それで、此方に居らしたのですね」
    気が付くと化学準備室の方向へ足を進め、まだ旧式とあいつが揃っていないことを見計らい扉を開ける。ローテーブルに緑茶を置かれ、少しずつ啜れば動かしたくなかった口でも言葉が奥底から湧き出て来た。
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    izayoi601

    DONE公式さんのエイプリルフールから妄想して勢いで書いた、まんちょうどのが開発したARデバイスを付けるほせどのの現パロ超法小話
    二直とまんちょうどのは同じ工科大に通っている設定です…試作品で色々振り回されてほしい
    まんちょうどの久々に書いたので温かい目で見てやってください
    ちなみにじょしょどのはばたいどのの姿が見えた途端名前を呼びながら抱き締めました
    映るのは「……と言う訳で、早速着けてみてくれるかな」
     その訳を説明されても、俺に着ける義理は無いのだが。高校を卒業して工科大生活が始まってからというもの、徐庶と学部が同じことで出会った一癖ある彼の行動には呆れさせられた。流石教授から、創学以来の変わり者と言われるだけはある。大学部まである筈の名門鳳凰学院から、自由に発明へ没頭したいだけで此方を選んだという経緯だけでも納得したが。
    ゼミ棟の一室に篭っていたかと思えば、今も翡翠に光るサングラスの様な電子機器を否応無しに持たされてしまった。
    「ですから、何で俺まで」
    「ははっ、何事もデータは多いに越したことないじゃないか」
    要は趣味で作った発明品の実験台だろ。無邪気に至極当然という表情で答えられ、溜息を吐く。
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