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    玖堂らいか@SD再燃中

    ダイ大やスラダン絵を気の向くままに。顔ありの三井夢主がいます!

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    #長編夢小説
    #夢小説
    dreamNovel
    #三井夢
    #SD夢

    第三話季節は流れ、赤木達は高校三年生に進級した。
    桜の花の時期は終わり、ツツジや藤の時期にさしかかる。
    陵南高校での練習試合の課題を持ち帰り、気持ち新たに湘北高校バスケ部は練習に励んでいた。
     
    「よぉし、今日の練習はここまで!」
    「あざっしたっ!」
    体育館中に部員たちの張りのある声が響く。
    「お疲れ様でしたー!みんな頑張ったね紅白戦!」
    体育館の扉付近にいた赤木晴子を始めとした見物客からパチパチと拍手が溢れる。
    「桜木君、日に日に成長していくね、レイアップものにしてきてる感じするわよ!」
    「さすがはハルコさん、話がわかる!!」
    ✿も赤木と木暮に話しかけた。
    「どうにかまとまりそうでよかったね、バスケ部。」
    「ああ、そうだな。宮城も退院して無事に戻ってこられたしな。」
    「まずはそれだよね、はー、よかった、本当によかった。」
    ✿は大袈裟に胸を撫で下ろした。
    「宮城は1年生たちとも早く打ち解けられそうで、よかったな、赤木。」
    「まったく、昨日はどうなることかと思ったが…宮城と桜木、昨日の今日で一体何があったんだか。」
    昨日は復帰早々宮城リョータが、入部一ヶ月の初心者である桜木花道に、「彩子と二人で部活に向かっていた」というだけで逆上して殴りかかるという珍事件があったのだ。
    「下旬からIH地区予選だっけ。今年は熱くなりそうだよね!」
    ぐっと、拳を握りガッツポーズを取る✿に、赤木ははぁ、とため息をついた。
    「うちばっかり見にきてないで、お前も剣道部のほうも頑張れよ✿。主将の黒河が泣いてるぞ。」
    「私だってサボってないよ。ただ、万年次鋒どまりの弱小部員ですから私。黒河君からも期待されてないと思うけどね。そっちもちゃんと頑張ります。」
    「そうしろそうしろ。あとは、女バスのほうは1年入る見込みねぇのか。」
    「うーん、そこは頭の痛い問題なのよね…。赤木君だって、妹さん勧誘してよね。経験者なんでしょ?」
    去年の十月に活動を再開した女子バスケ部は結局のところ、三年生二人と男バスマネージャーの彩子の三人で、不定期のゆるい活動をしていた。
    すると、無事に二年に進級した宮城が、タオルで汗をぬぐいながら✿のほうへ近寄ってきた。
    「お疲れ様っす、✿先輩」
    「お疲れ様。復帰、間に合ってよかったね、宮城君。」
    「っす。ホント、いろいろ心配かけてすんませんした。」
    「もー、やんちゃもほどほどにしてよね。」
    「すんません、先輩の前だとだせえとこばっかっすね。」
    「まぁ、そこは想い人の前で格好がつけば良いんじゃない?」
    「あーまたそうやって。俺のことからかってるでしょ!」
    「そんなことはないって…あれ?」
     ふと、✿は振り返ると、体育館の外を見た。
    「どしたんすか?」
    「いや、なんか誰かの視線を感じた気がして。ごめんね、気のせいだった。」

    その後、体育館を後にした✿は四月末に終えた新入生歓迎活動のポスターやチラシ、装飾などを校舎内ではがして回り、処分していた。新歓の季節が終わると、各部活にとってはやっと新年度開始の空気になる。
    (剣道部は何人か入ったからいいとして、女バス、年度途中でもいいから部員増やさないとなぁ。)
     いろいろと考えているうちに、最終下校の時刻が迫っていた。
    「やばいやばい、後片付け手間取っちゃった。」
    駆け足で教室に戻ると、日の傾きかけて赤く染まった窓のそばに一人の人影があった。
    高い背に、肩に届くような黒髪。その男はゆっくりとこちらを振り返った。
    「…三井。」
    「よぉ、✿サン。」
    「何、私になんか用、三井クン。」
    「なきゃお前、こんなとこにいねぇよ。」
    声の相手、三井寿ははっ、と気怠そうに笑い、✿に近寄ってくる。
    「おまえよぉ、最近バスケ部うろちょろしてるみてぇじゃねぇか」
    記憶の中の三井寿との違いに思わず面食らうが、それを顔に出すわけにもいかず、✿は平静を装った。
    「ええ、応援に行ってますが?ご存知の通り、バスケ好きですし、あたし。」
    そういうと、三井は不機嫌そうに、目を細めた。
    「あっそう。」
    「何よ、バスケ部観に行くのがそんなに気に食わないわけ?いちいち三井の許可がいるの?」
    「…大体なんでテメェが湘北にいるのかは知らねえが、うちにゃ女バスがねぇの、知らねえのかデカ女。とっくの昔につぶれてんだよ。マネでもねぇのにバスケ部に我が物顔で入り浸ってんじゃねぇよ。」
    「はぁ?何それ。応援してるだけなら自由じゃない。それに、潰れてなんかいない。小さいけど有志でやってるわよ、女バス。」
    見下ろしてくる冷たい視線に、二年前の面影はなかった。
     
    ✿が湘北高校に転校して、半年ほど経つが、目の前の男、三井寿とは本当に中学の卒業式ぶりのまともな会話だった。

    『愛知?』
    『そうそう。親の転勤についてくことになって。愛和学院女子。お嬢様学校なんだって』
    そういったとたん、三井は腹を抱えて笑い出した。
    『ぎゃはははは!お前がおじょーさまとか、絶対似合わねー!王子様じゃねぇの!』
    『失礼な!!全然いけるでしょ!春から大和撫子キャラでいくんだからね!』
    ✿がお嬢様っぽい、しゃらーんとすました顔をしてみせると、ないない、と手を振りながらゲラゲラ笑う三井。
    『お前そー言うキャラじゃねぇだろ!気ぃ強くてよ!俺どんだけお前に蹴られたか…』
    『なにおー!そんなの、三井が部長の仕事さぼってるから悪いんじゃん!』
    そんな馬鹿な話をしながら、桜の下を歩いて。覚えているのは、別れ際の最後の約束。
    『バスケさ、絶対やめんなよ!✿!』
    『アンタもだからね!三井ー!』
    二人でごつ、と拳をぶつけるエール。口げんかしたり、ぶつかることも多かったけれど、やはり最後は大団円。
    きっと自分たちは最高で最強のコンビだったと思っている。
    『言われなくても辞めねぇよばぁか!またな!インターハイ、俺は絶対神奈川代表で行くからよ、お前見に来いよ!絶対だかんな!また会おうぜ!』
    桜吹雪の中、びっとこちらを指さして、得意げな三井の笑顔がまぶしかった。
    それはいまや見る影もない。きっと三井からすれば、当時は快活としていた✿も随分と変わり果てたように見えているだろうけれど。

    あの時から考えると、結果的には、その数ヶ月後に皮肉にも2人ともがバスケットを辞めていたことになる。三井は怪我で、✿は部内の人間関係で。
    ✿を見下ろす三井は、眉間に深い皺を寄せ、
    「部員でもマネでもねぇくせにチョロチョロ目障りなんだよ、失せろ。バスケ部にかかわるんじゃねぇ。」
    もう一度、脅すようなトーンで言い放つ。
    「…じゃあアンタが、もう男バスと関わらないなら、手を出さないなら、良いよ。」

    『三井は、足を怪我して、それきり…』
    転校して早々に見た、言い淀んだ木暮の暗い顔を思い出す。
    あの中学バスケ部の主将まで務め上げた三井が、高校入学早々怪我で、部活に来なくなって、グレた、という話を✿は同じ武石中卒の友人から聞いた。だが正直、転校による環境の変化についていくのが精一杯だった✿は「そういうこともあるのかな」くらいに考えていた。とても、三井を追いかけ、むかしのよしみだと話を聞いて、親身になって説得して、バスケ部に戻れるように励ましてあげたい、という気持ちにはなれなかった。のらりくらりと木暮からの男バスのマネージャー入部をかわしていたのは、三井のことをいまだに心配する木暮からそういうプレッシャーをかけられていたからだ。
    「大体自分の方が部活逃げ出したくせに何言ってんのよ。失せるのはお前のほうだろ、三井。チキン野郎。」
    「…てめぇ今なんつった。」
    凄んでくる三井にひるむまいと、震える声で、最低な言葉で煽る✿。
    「あんた、何で宮城くんを殴ったの。」
    「あ?……てめぇに関係ねぇだろ」
    「関係あるよ。宮城君は、私の大事な友達だもん。」
    「は?」

    『よく言われるんすよね、生意気だって。中学の時も、そんな感じでうまくやれないこと多くて。』
    病院のベッドの上でそうやって笑って、その後少し寂しそうな顔をする宮城を思い出した。
    (わかるよ、宮城君。私も昔そうだったから。)
    「嫉妬してたの?宮城君に。」
    「…んだと。」
    男バスの部活を見に行くようになって、✿は三井が「帰ってこない」理由について思いを巡らす時があった。
    1年で早々に実力を認められ、ユニフォームをもらった宮城。そこはかつて「三井が夢を描いていた」場所だったのかもしれない。
    (私も宮城とワンオンワンをやったからわかる。彼の判断力、パスのセンスと精度。ドライブの速さはすごい。)
    赤木も言っていた。素直じゃねぇが、あいつは、宮城は大したもんだと。
    宮城の話を出した途端、三井には動揺の色が見えた。
    「お前…何言って…。」
    「宮城君が、赤木君に、バスケ部に必要とされてる新人だったから。」
    (…少し当たり、なのかな。)
    だが、帰ってきた答えは、✿の予想とはすこし違っていた。
    「…お前まで、宮城宮城って、言うのかよ…✿…。」
    「え…どういうこと…?」
    答えず、三井は✿をにらみつけた。
    その圧にひるむまいと小さく深呼吸をし、✿は続けた。
    「…恥ずかしくないの、三井」
    「何?」
    「入学早々怪我して、居た堪れなくて逃げ出したって?責めてるのはそんなことじゃない。バスケが嫌いになったっていい、逃げ出すのは良い、戻るのには勇気がいることだってわかる。だけど、その苛立ちを、居場所のなさを後輩に当たるな!」
    「…っ!」
    「この二年間、赤木君や木暮君はあんたが帰ってくるって信じてた。二人はあきらめてなんていなかった!全国制覇を夢見て、バスケ部を懸命に支えてきてた!その努力とか、苦労とか、キャプテンだったお前にわからないはずないよね!もしそんな想いすら汲めないんなら、お前こそ二度とボールに触るな!」
    「なっ…」
    「期待されてる後輩に因縁つけて暴力を振るって、怪我させて、バスケを奪って、お前がしたいのはこんなことなわけ!?みんな自分がバスケが好きだからやってんだ。バスケが生き甲斐だから!自分のためにやってるんだ!それを逃げ出したお前がどうこう言うなよ!」
    「……るせぇ…。」
    「ダセェんだよ、三井寿!!」

    「うるっせぇえぇっ!!」
     
    三井が右手を振りかぶった。
    (やばい!!)
    ✿はその眼光に足がすくみ、初動が遅れた。
    その一瞬は本当にスローモーションのようで、次の瞬間左の頬にばちん!と鈍い衝撃があった。振り抜いた右手越しに見える、✿を射抜くように睨む眼差しと、綺麗な黒髪がゆれていた。
    (三井、怒ってるのに、どうしてそんな顔してるんだろう…?まるで、泣いているみたいな…)

    がしゃぁあん!!!
     
    殴られた勢いが殺せず、✿はそのままの勢いで後ろの机の列に頭から突っ込み倒れこんだ。
    (痛い…。)
    全身を大きく打ちつけた✿が起き上がれずにいると、上から錯乱した三井の怒号が降ってきた。

     「黙れ黙れ黙れ!!偉そうなこと言いやがって、このくそアマ!わかったようなこと言ってんじゃねぇぞ!ぶっ殺されてぇか!!」

    叫び声がわんわん響いているのに、頭に入らない。何を言っているのかわからない。

    (みつい…のばか…)

    そのまま目の前がブラックアウトしていき、✿の意識は、そこで途切れた。
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