幕間閑話- 幕間閑話 -
季節は8月の半ば、まだまだ秋の気配には遠そうだ。
湘北高校への2学期編入手続書類を提出した帰り、新品の制服を着て歩く。パフスリーブに襟のライン。ふわりと揺れる赤いリボンが可愛らしい。ベストも腰のラインがキュッとしていてスタイルよく見せてくれる。だれもいないのをいいことに、くるりくるりと、ステップを踏んで回ってみたり。
校則もゆるいみたいだし、ソックスはどんなのにしようかな?この長くて邪魔な髪もこの際思い切ってバッサリ切っちゃおうかな。そんなことを考えながら細い道を歩いていく。この住宅街を抜ければ駅までの近道らしい。
すると、突然男の人の慌てた声がした。
「親父!親父!しっかりしろ!親父ー!!」
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