Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    羽神弓槻

    @u_ga_yuzuki_miz
    封神(楊太)魔道祖師(忘羨)その他色々らくがきしております。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 18

    羽神弓槻

    ☆quiet follow

    pixivの方で投稿していた忘羨小説です。
    7月26日は幽霊の日という事なので、それっぽい話を書いていたのでこちらで加筆修正したのをあげてみました。

    #魔道祖師忘羨

    君と歩いて行く未来君と歩いて行く未来

     夷陵老祖の魂を封じて十二年目が経った時仙門一同が恐れる事態が起こった。
     その日は天候が悪くあちこちで雷が落ち森が火災や崖が崩れるなど様々な自然災害が起こっていた、そして皆考えない様にしていたあの雷が封じているあの禁忌の場所に落ちないかと、その不安は的中し封じている陣が少し崩され慌てて五大世家数名が集まった。「少し陣が緩んだだけみたいだ、この程度なら修復可能だが強化もしておくか。今なら中で眠っている夷陵老祖の魂が出てくる事はなかろう」
    「もし出てきたとしても、今度は魂を完全に消滅させればいいだけの事だ、その方が皆怯えずに安心して暮らせるだろう」
    「江宗主、彼の魂はここ十二年暴れる事もなく静かに眠っているのだからそのような事は言わないで欲しい」
    「沢蕪君、一つお聞きしたい何故ここに含光君はおられないのですか?」
    「江宗主、弟は叔父上から謹慎を命じられている身の上なので私が藍氏の代表として来ています、あの子に何か用があったのですか」
    「また勝手に何かをやらかしたのですか含光君は、夷陵老祖が魏 無羨が甦るかもしれないという時にいないのか、あいつに毒されたかあいつ共々どこまでも勝手な奴らだ」
    「弟と魏公子を悪く言うのは・・」
     このままでは周りの門下達への空気が悪くなってしまうと止めようとするのだが悪い言葉は江澄の口から次々と出てくる沢蕪君は困り果てて少し遠くにいる二人の方へ顔を向けると軽く頭を下げた。
     沢蕪君の困り果てた顔を見て聶明玦と金光瑤が黙って見つめていたが困る義兄弟を助けるため口を開く。
    「お前らいい加減にしろ、結界の修復の方が最優先だ。さっさと終わらせてから話せ」
    「そうですよ、我々が喧嘩をしてたら寝た子が起きてしまいますよ」
     江澄は不機嫌そうな態度のまま大人しく従った、そうして再び強固な陣がひかれ結界は強固な物になった。
     そして大事をとり周辺地域にも新たな監察寮が建設されることになり人々は安堵した。
     数か月後
    「含光君、この間の夜狩りのご報告と一つお伝えしたいことがありまして」
     藍思追が藍景義と並んで藍湛の前に来ると一礼して話を始めた。
    「分かった聞こう」
     謹慎を解かれた後私は小さく些細な怪異が起こった場所でも足を運ぶようにした、彼が戻ってくるとかそういうのではなく彼ならそうするであろうという行動をしていた。
    「野犬に追いかけられている子供の霊?」
    「はい、出現条件は良く分かっていないみたいなのですが、夜中に子供の助けを求める声がして家の扉を開くと子供が野犬に追いかけれていたと」
    「何故霊だと」
    「助けようとして外を出た時薄くなって消えてしまったという事です」
    「そうか、何か周辺に被害は」
    「兎に角犬に子供が追われている以外は・・なぁ思追」
    「はい。特にはないみたいですが、あの結界が崩された事もあって、皆さん不安みたいなのです。後は霊とはいえ子供を助けてあげたいという方も数名おられて」
    「そうそう、含光君に助けて欲しいって声のが多かったな」
     二人が顔を見合わせて頷いた後再び藍湛の様子を伺った。
     藍湛は少し目を瞑って考えた後静かに頷くと
    「わかった。私が行こう」
     犬に追われる子供を考えた時何故か彼の事をぼんやりと思い出して空を見上げた。
    「後、含光君、これは御内密にお願いします」
    「うん」
    「くれぐれも江宗主にはお伝えしないことを」
     場所的に雲夢江氏の管轄に近い場所であったが依頼してきた者は藍氏にと願いをだしてきた。
    「わざわざ来てくださりありがとうございます」
     依頼人の代表者が含光君に深々と礼をする。
    「詳しい内容を聞きたい」
    「ではご用意した宿屋でお話したいと思います」
     話を聞き終えて用意された部屋へ一人入ると寝台に腰をかけた。
     夷陵老祖の封印いている場所付近に雷が落ちた後位から出る様になった。
     もしかしたら元々彷徨っていて気づかなかったがその影響で見えるように・・。
     その子供の霊はただ逃げているだけの繰り返しだが夜中に大きな助けを求める声がして眠れない。
     今の江宗主殿は怪異は夷陵老祖と繋がっていると思う事が多いのであの子供の霊は強制的に排除されて浮かばれず消えてしまうのでは?
     ごく少数の者はあの追いかけている犬は怨念の一部でいつか大漁に増えてこの街を崩壊させるのではと思っている者もいた。
    「一度見て見ないと解らないな」
     こんな時彼ならどう思うのだろうか、多分助けてやろうと言うだろう、そんな人だ。
     その夜、運が良いのかその子供の霊と遭遇する事ができた、その時私は天に感謝した。
     ワンワンと犬の声が聞こえて含光君は静かに宿屋から出てくると声が聞こえてくる暗闇を見つめる。
     子供が自分の前を横切るのだが声が聞こえない、涙目で必死な顔をして逃げていた・・犬の声は聴こえるのに何故子供の声が聞こえないのだ。
     まるで問霊しても答えてくれない君のようだった。
     含光君はその子供の霊を追う事にした、もしかしたらあの子供に気づいてくれたら会話できるかもしれない。子供の足もあってか追いつく事はたやすかった並走した時子供が私に気づいたのか立ち止まって私の背後に小さく縮こまって隠れた。
    「あの犬は私がなんとかするから安心しなさい」
     クイと羽織を掴まれる感触を感じると顔だけを子供に向けた時涙交じりの顔を向け静かに頷いた。
     ポンと琴の音が暗闇に鳴り響くと犬の声が消え去ってその姿と声はその後聞こえてくることはなかった。
     忘機琴で向かってくる犬の霊達を消滅させていた。
    「もうこれで大丈夫だ」
     振り向いて子供に声をかけるがやはり声は聴こえないのだが私の声は届いているみたいだ、ひとまず鎖霊嚢でこの魂を保護しなければと思った矢先紫色の雷をまとった鞭が二人に襲ってきた。
     瞬時に避塵で紫雷応対するが足元の子供は青い顔をして震えてしがみついていた。
    「藍の二の若様その悪霊をこちらへ引き渡してもらいたい。後何故貴様がここにいる」
    「依頼されたからだ。それにこの子供は悪霊ではない」
    「ではなんだと?その顔に見覚えがないとは言わせないやはりあの時逃げていたんだ」
    「もうこの件は解決した、この魂は私が連れて帰って浄化させるのでお引き取り願いたい」
    「黙れ、大人しくこちらへ渡せ。それか今ここで俺がそのガキの魂を消滅させる」
    紫電を握りしめる手に力が入っているのが解り藍湛は子供守る体勢をとった。
    「お待ちください江宗主。含光君に依頼したのは我々です。勝手した我々を罰してください」
     数名の人々が出てきてその場で膝をついた。
    「・・・何故俺ではなく含光君に相談した」
    「それは、あの泣いている子供の霊を救いたかっただけでございます」
    「騙しているかもしれんぞ、泣いているふりをして取り殺すか呪い殺そうとも思ってるかもしれんぞ」
    「この子は霊ではなく思念です」
    「はぁ?」
    「良く見てみなさい。おそらくここでもしくはここに似た場所で野犬に追いかけられ怖い思いをした記憶が残って今回現れたのでしょう」
    「江宗主、この場は含光君にお任せしましょう。これ以上騒ぎになれば色々と面倒な事になります」
     部下の一人が周りを見回し青い顔をしながら江澄に小声で話した。
     ふんと鼻で返事をして紫電を指輪の形に戻して
    「今度私の管轄で勝手な真似をしたら訴えるからな含光君。せいぜいあの男に似たガキの霊に取り殺されろ」
     そう言って部下を引き連れその場から去っていった。
    「申し訳ありません含光君」
    「子供の霊の方も怖かったろうに」
     含光君にしがみついている子供がひょこっと顔を出して周りを見回すと
    「すこし・・でもこの白いお兄さんがいたから平気だった」
    「そうかい良かった。このお方が坊やを助けてくれるよ」
     藍湛は子供と住人の顔を交互に見て
    「貴方たちはこの子供の声が届いているのですか」
    「はい、とても可愛らしい声ですよ、えっ含光君には聴こえてないのですか」
     無言で頷いて子供の方を向いて
    「私の声は届いているか」
     子供は大きく頷いた後ニコリと笑った。
    「君を助けたい、少し狭いし居心地が悪いかもしれないがこの袋の中に入って貰えないか」
     袖から鎖霊嚢を出して少し開くと子供は不思議そうな顔した後コクコクと頷いて大人しく袋の中に入っていく。
    「明朝にここを立ちます、皆さんこの子は私に任せてください。必ず帰るべき場所へ送ります」
    宿屋に戻ると店主がホッとした顔で出迎えてくれたので軽めの食事とお菓子と飲み物後
    「子供用の服ですか」
    「はいお代は支払う、その子供の霊に・・と」
    「お代はいりませんよ、そうですよね。とても寒そうな恰好をしてましたしね、喜んでご用意しますよ」
    「かたじけない」
     一礼して部屋に戻ると室内の壁に結界の札を貼る。
     店主から用意された食事と服を受け取ると静かに扉をしめてまた札を貼った。
     再び袖から鎖霊嚢を出すと
    「出てきても良い」
     ポンと子供が出てきて周りを見回す。
    「まずは食事にしよう、味はわかると思うが・・・」
     子供は机の上の食事を見て鼻をくんくんさせるとうんうんを大きく頷いて身振り手振りで教えてくれた。
    「後これを」
     小さな黒色の着物を椅子の上に置いて
    「おそらく君なら着れるだろう」
     着物に触れるとボロボロだった服が入れ替わったかのように着替えられて子供がクルクル回って喜んでいた。
    「君の名前を教えてほしいのだがまだ通じ合えていないみたいなんだ」
     寝台に腰をかけた藍湛が小さく問いかける。
     子供はスタスタを藍湛の前まで来ると大きな手を掴んで掌に文字を書いた。
     その文字は自分がずっとずっとこの十三年間呼び続けた名前と同じだった。
    「魏嬰」
     そう呼んだ時あの時見た笑顔を再び見られた夜になった。

     数年後
    「あっ、逃がした。悪いそっちでくい止めてくれ」
    「何やってるんだよお嬢様」
     今夜は若い修士達が夜狩をしていたが数が多かったのか数匹逃げられてしまっていた。
    「うるさい、結界は張ってるんだからこの周辺からはでられないだろう」
    「二人共言い争ってないで今目の前の妖魔達を退治しようよ・・思追こっちは僕達に任せて」
    「私も手伝います、逃げた屍の方は・・すいませんが足止めをお任せしてもよろしいですか」
     思追が上を見上げて声をかけた。
     黒い羽織と白い手が見え思追の頭をふわりと頭を撫でた後
    「任せろ」
     そう声がした後つむじ風が吹いた。
    「直ぐに追いつきます、魏先輩」
     傷だらけの屍数体が結界が弱い場所を探して走り回っていた、ようやく一か所のほころびを見つけて無理矢理こじ開けようとした時目の前にゆらりと黒い人影が浮かんだ。
    「お前らは大人しくあの子達に退治されろよ」
     ぎゃぎゃあと言葉にならない声を出して威嚇するが怯えもしなかった。
    「お・・まえも・・同類なら・・たすけろ」
    「おや一匹は言葉を話せるのか、すごいすごい」
     魏 無羨は腕を組んで小馬鹿にするように返事した。
    「そこを・・どけ・・おれのいうこと、きけ」
     ぴリっと軽い静電気のような物を感じて首を左右にふって目を細めた。
    『ほぅ、俺を金縛りにさせようとはいい度胸だな』
    「どっち・・が各上か身の程をしれ」
    屍達が動かない魏嬰の横を通りすぎようとした時、その場の空気が一瞬にして凍りついた・・魏嬰の周りに黒と緑の煙の様な炎が沸きあがって姿が少しずつ変わっていく。
    「う・ご・く・な」
     低い声で囁いて開かれた瞳は血の色のように紅く染まっていた。
     夷陵老祖と呼ばれていた時の姿になっている魏嬰が右手を上げると一枚の葉っぱが風にのって降りてくる。
    「笛以外なら吹いても良いって言われてるんでな」
     葉っぱで音を奏でると薄暗い闇からチャリチャリと鎖を引きずるような音が聞こえてきた。
    「魏公子」
    「足止めだけで良いぞ温寧」
    「はい」
     俺、魏 無羨はあの後まだ記憶があちこちに残っているのではないかと藍湛に言われ探す旅に出た。
     何個か集めた時藍湛と会話が出来る様になり記憶も取り戻すこともできた、肉体はもう八つ裂きにされてしまったから霊体に近いようなものになって現世にとどまり続けている。
    「貴様、同類のくせに裏切るのか」
    「同じにしてもらったら困るんだけどな」
    両手を上げてやれやれと愚痴を零した。
    「魏先輩、鬼将軍。ありがとうございます後は私達で」
    「鬼将軍・・・魏・・・まさか貴様らまさか・・・」
     屍達は魏嬰の顔を見て恐怖した、あの夷陵老祖。
    「お前らよくやったぞーでも反省文ものだからな」
    「金凌が油断するから」
    「景義もだろ」
    「喧嘩はやめようよー二人とも」
    「まぁまぁ、皆さんお怪我も無く良かったです」
    温寧がのんびりとした声で場を和ませている。
     魏嬰がその様子を見てホッと息を吐き出しいつもの姿に戻り空を見上がると
    「藍湛」
     ふわりとその場を蹴り上げると夜の空へ上がって行った。
     避塵に乗った藍湛が空を浮かんでいる魏嬰の両手を掴んで静かに微笑んだ。
    「藍湛、俺頑張った」
    「うん」
     下ではその二人の仲睦まじい様子を見て皆顔を赤くしていた。
    「しかし霊体と触れ合えるとかすごいよな含光君は」
    「魏先輩もすごいですよ」
    「これもお二人の絆の力でしょう」
     そう藍湛の霊力が上がったのと俺の霊格・・に近い物が上がったのか霊体の身体でも触れ合えるようになっていたんだ、ちなみにお互いの体温もわかる。
    「先に戻ってるからな~」
    「皆気をつけるように」
     藍湛は魏嬰を横抱きにして戻っていった。
    「なぁあいつ飛べるんだから別に含光君が抱っこしなくていいと思うんだが」
    金凌が眉間に皺を寄せながら呟いた
    「愛ってすごいね」
     二人のやりとりにあてられ疲れが出たのか帰る道のりの足取りは重かった。
    「先に戻ってなさい」
    「わかった」
     そうそうに藍湛は報告を終わらせ静室に戻ると
    「藍湛おかえり」
    「ただいま魏嬰」
     抱きしめ合ってゆっくりと唇を重ねた。
    「もう少し頑張ればこの先も進めるのかな」
     無言の藍湛にしがみついて目を閉じる。
    「今は君がこの腕の中にいる事が分るだけで十分だ」
    「そうだな」
     お互いおでこをこつんと重ね静かに笑い合い再び口づけをした・・先ほどとは違う深く長い口づけを。
    「今夜もお前の胸の上で寝ても良いか」
    「かまわない」
    「息苦しくならない」
    「問題無い」
     いつもの会話をしながら寝台へ向かうそして
    「おやすみ魏嬰良い夢を」
    「おやすみ藍湛、また明日」

    これからもこの先も明日が続く限り二人で歩いていこう。

    おわり

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works