コーヒー「そろそろ休憩にしろエンジェル」
声をかけられて顔を上げるとクロウリーがコーヒーショップの紙袋をこちらに掲げてみせる。……悪魔としては正しい行いなのだろうが、毎度ドアを開けてから声をかけるのはやめてほしい。これを言うと「お前もやってるだろ」とふっかけられるので口には出さないが。
半地下の倉庫は陽の光が入らず、ただでさえ鈍い時間感覚がますます狂う。掃除に取りかかったのは夕方のはずだったが、懐中時計を確認するとすっかり夜も更けていい時間になってしまっている。
「あれ?コーヒーショップまだ開いてたのか?」
「ああ。最近は遅くまで開けてる日もある……知らないのか?」
「知らなかった。ニーナ明日も早いだろうにね」
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