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    keram00s_05

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    アイドルになってない世界線の雨玄♀かつ、絡みもすくないです。

    #雨玄
    yuXuan

    店員目当てに喫茶店に通う30歳の独身男性最近出来た喫茶店は本屋も兼ねていて買ったばかりの本を淹れたてのコーヒーと共に楽しめるというのが売りだ。しかし、何も知らない俺がそれを知ったのは店を入ってからで、一瞬少しの気まずさはあったが、まあコーヒーを買いに来たので間違ってはいないだろうと思い直し、カウンターの前に立った。

    「いらっしゃいませ」

    店の雰囲気にあつらえたような黒い髪をポニーテールにした眼鏡の賢そうな女店員がすぐに来て俺の注文を待つ。

    「アイスコーヒー1つ。持ち帰りで」
    「畏まりました。ミルクとシロップはいかが致しますか?」
    「無しで。あ、あと、氷少なめってできるかい」
    「はい。畏まりました」

    そう言って彼女はレジスターに注文を打ち込むと金額を伝えたので、俺はポケットから釣り銭がないように小銭を取り出して渡す。

    「それでは奥のカウンターでお待ちください」

    そう言われたので、俺は店の奥のカウンター端に行った。コーヒーが出てくる間何もすることがなくて、俺は何気なく彼女を見ていることにした。
    彼女は女性にしては背が高く、額に傷跡があった。元々肌が綺麗で整った顔立ちなのか、化粧は最低限しかしていないようだ。歳は20代に入ったばかりだろう。青いシャツに黒いエプロンという制服のおかげで第一印象は大人っぽいがどこかあどけない。恐らく近くの大学に通う女子大生だろう。

    「お待たせしました。アイスコーヒーです」

    そういって彼女はちゃんと両手でアイスコーヒーの入ったプラカップを渡してくれた。

    「ありがとう」

    そう伝えて受け取り、俺は店を出た。ちらりと見えた胸の名札は「黒野」と書いてあった。
    車に戻った俺は発車させる前に一口そのコーヒーを飲んだ。
    うん、あの手頃な値段しては十分本格的な味がする。下手に小洒落ていて高いコーヒーを飲むよりここで買った方が良さそうだ。駐車場もあるしな。
    俺はそう思って少し上機嫌になって車のサイドブレーキに手をかけた。



    「いらっしゃいませ」

    いつものように彼女がカウンター越しに来てくれる。彼女以外に店員がいないわけではないが、彼女がこの店一番の働き者のようだ。カウンターでレジをし、手際よくコーヒーを淹れ、軽食を温めて客に渡す。レジに客がいないときは、本を楽しむ客の邪魔にならないようにタイミングよく声をかけて空いているカップを下げたり水を注いだりしている。

    「アイスコーヒー、氷少なめでよろしいですか?」

    すっかり顔を覚えられてしまい少し気恥ずかしい。確かにこの喫茶店に足繁く来るのに本棚に目を向けない珍しい客だから覚えやすいだろうという自負はある。

    「あぁ。支払いはチケットで。あと、腹が空いているんだが、何か直ぐに出せるものは無いかい」

    彼女にそう尋ねると、カウンターに貼り付けられているメニューから一つ選んでくれた。

    「でしたら、ツナメルトサンドはいかがですか?」
    「じゃあ、それを一つ」
    「畏まりました」

    勧められたままにサンドウィッチを買った自分に内心苦笑しつつ、これまた少し前に彼女に勧められて買った10枚綴りのコーヒーチケットを出した。1枚あたり50円引きで飲める上に実は20枚綴りの方より割引き率が良いとこっそり教えてもらって買ったのだから、これはちゃんと意味のある買い物だ。

    「お待たせしました。アイスコーヒーとツナメルトサンドです」
    「ありがとう」

    最初に会った時よりも自然な笑顔で渡してくれる彼女に思わず口元が綻ぶ。
    次の清掃現場に行く前に食べたツナメルトサンドは温かくてちょうど良い塩気があり美味かった。お手拭きを2個入れてくれたのもありがたかった。


    今日は確か彼女はいない曜日だ。俺は店の近くの交差点でそんなことを思った。通い過ぎたのかいつの間にか、彼女のシフトを把握してしまっていた。彼女が知ったらさすがに引くだろうなと苦笑していると、向こうの交差点で見覚えのある顔があった。
    信号待ちをしているのは間違いなく、彼女、黒野だった。
    嬉しくなってしまった俺だったがその背格好に開いた口が塞がらなくなる。
    彼女はセーラー服を着ているのだ。
    しかも、この近辺では有名な不良高校「オウケン」の制服で間違いなかった。
    そして隣には赤と黄色が混じった炎のような色合いの派手な髪色でお揃いの制服を着た女子がいる。
    2人は仲が良さそうに話していることが、彼女が高校生であるという決定的な証拠だ。
    信号が青になり横断歩道を渡り始めた彼女だったが、向かいから来た同じオウケンの男子学生は彼女を見ると立ち止まり、なんと礼儀正しく脚を閉じ深く頭を下げて礼をした。
    それに特に驚く様子もなく彼女はすっと手をあげて彼に挨拶を返すと、男子学生は嬉しそうにもう一度頭を下げた。

    「なんだありゃ…」

    まるで一前昔の硬派なヤンキー漫画のやりとりそのものに俺は唖然としてしまい、後ろからクラクションを鳴らされるまで信号が変わったことに気付かなかった。
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