Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    haru_ni_ebi

    @haru_ni_ebi

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    haru_ni_ebi

    ☆quiet follow

    「誰にも言わないでくれ」

    #鍾蛍
    zhonglumi

    秘密の話 この世の中には秘密だからいいものというのが、確かにある。
     例えば、誰と誰がどういう関係だとか。
     そういうものは秘密だから、余計に何かを搔き立てたりするのだ。
    「…………うわ」
     思わず、声を漏らしたのは見てしまったからだ。
     家庭教師であるところの鍾離と、自分の妹の蛍がキスをしていたのである。
     確かにすぐに部屋へ戻ってこないとは伝えたものの、だからといってまさか、そんな関係だったとは思いもよらなかった。それに――声を漏らしたことで、どう考えても鍾離には気づかれてしまった気がする。
     とはいえ、なかったことにするしかないだろう。
     二人の接触が終わってから、少し経って空は部屋の中に入った。部屋の中ではなんとも言えない空気が漂っている。
     その空気には、先ほどの二人を見ていなければ、喧嘩でもしたのかと思ってしまうようなよそよそしさがあった。空は蛍に話しかける。
    「ごめん、どこまで進んだのか教えてくれるか?」
    「あ、うん。えっと、このページの……」
     蛍が教えてくれるのを聞いていると何やら視線を感じ、空は顔を上げた。
     ひ、と声が出なかったのは褒めてほしい。こちらを見ている鍾離の瞳が黄金色に輝いていたのである。
     何も言わないまま、こちらを見ていた鍾離は暫くすると視線を下げた。心臓が妙に早く脈打って、正直、少しだけ居心地が悪い。
     だが、空は一つ息を吐くと鍾離をにらみ返した。その行動に彼は驚いたようで目を瞬かせ、肩を竦める。
     そんなやりとりをしている間に説明を終えたらしい蛍は、空を見上げた。
    「聞いてた?」
    「そこそこ」
    「それは聞いてないってことじゃない? もう……」
     呆れる蛍はため息をつき――ふと、彼女のスマートフォンが着信を受けて震え始める。ちらりとそれをみた蛍は、電話に出てくるねと二人に告げて部屋を後にした。
     残された鍾離と空はしばしの無言の後、鍾離の方が先に口を開く。
    「頼みがある」
    「なに?」
    「誰にも言わないでくれ」
     その声は言葉の弱弱しさの割に覇気があって、ずいぶんと本気であることがうかがえる。空は肩を竦めた。
    「蛍のためだから、そのつもり」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    ゆき📚

    DONE【sngk】【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅷ
    今回で一応最終回という風になっております。
    決めたら早いよ会社員、純粋猪突だ大学生、なんやかんやはなんやかんやです!な感じなっています。
    こんなに続くと思って無かったし書いている間に本編はえらい事になってて、いやはや…
    相変わらず諸々雑な感じですが
    大丈夫、どんなものでもどんとこい!な方よかったら読んでやってください
    【ジェリーフィッシュが解ける頃】Ⅷ 「約束です。どんな形でもいいから守ってくださいね」
     そう言って笑ったあいつは結局俺を置いていった。
     初めからわかっていた結末なのに変わる事無く迎えたその事実に心はひどく冷え込んだ。
     みんなそうだと思って
     その考えは違うとすぐに否定し
     誰を責めればいいと思って
     誰を責める事などできない事だと言い聞かす。
     「約束ですよ」
     どうして俺を置いていく、置いて行かないでくれ
     
     *******
     
     「あれ?リヴァイさん?」
     自分の名前を呼ぶ声に顔を横に向ければ見慣れた人物と目が合って「やっぱりリヴァイさんだ」と改めて確認すると笑顔を向けてきた。
     「おぉペトラじゃないか」
     「どうしたんですか?あ、待ち合わせですか?」
    8611