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    紫雨(shigure)

    @shigure_cbl

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    紫雨(shigure)

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    魔法使い藍湛と、モス羨を元ネタに西洋ファンタジー風のお話を書き途中…!
    もう少しまとまったらpixivにもおきますが、ひとまずポイピクに。
    プロローグです。

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #魏無羨
    WeiWuXian
    #藍忘機
    blueForgottenMachine
    #モス羨
    mossEnvy

    君と久遠の夢をみる〜プロローグ〜

     夜霧が立ち込める、鬱蒼とした森の奥。
     ひっそりとした佇まいの小屋から、竪琴が紡ぎだすやわらかな音色が流れて、夜闇に広がっていく。
     薄い藤色の翅をもつ小さな生き物が、その優しい旋律に惹かれたかのように、ひらひらと飛んで小屋の窓へと降り立った。
     演奏が途切れるのを待って、その生き物は奏者へと話しかけた。
    「こんばんは、お兄さん」
    「誰だ」
     竪琴を抱いた男――――ラン・ワンジーが、短く誰何する。
    「シェンシェンだよ!」
     シェンシェンと名乗った夜の来訪者は、窓枠からぴょんと跳びあがって、竪琴の上に座った。
     ――――それは、小さな妖精だった。
     大きさは、手のひらに載るくらい。ふんわりとひらめく桃色のケープをまとって、首元には赤いリボンを結んでいる。まるで少女のような風貌だが、悪戯めいた笑顔は少年のようにも見える。
     その背で燐光をはなつ、薄藤色のふわふわとした翅に、ラン・ワンジーは見覚えがあった。
    「朝、蜘蛛の巣にかかっていた俺を助けてくれただろ。あの時はありがとう!」
     朝方に通りがかった木の洞に、この妙に目を引く薄藤の翅をした蛾が囚われていた。
     最初は珍しい色彩に気を取られて視線をやっただけだったが、助けを求める声が聞こえたような気がして、網から放してやったのだ。
    「いつもなら寝てる時間だったから、あんまり前が見えてなくてさ。蛾の姿のままうっかりあそこに突っ込んじゃったんだよ。日が沈み始める時間にならないと、人型は取れないし、巣の主に見つかる前にお兄さんに見つけてもらえて、本当に助かった。感謝してるよ! あ、お兄さん名前はなんていうんだ?」
    「……ラン・ワンジー」
     滔々と、流れるようにしゃべる妖精に呆れつつ、ラン・ワンジーは名乗った。
    「ラン・ワンジーだな! さっきも名乗ったけど、俺はシェンシェンだ。このシェンシェン、恩には恩で報いる! 何か力になれることはないか?」
    「ない」
     にべもない返答に、シェンシェンは肩を落とした。
    「即答かよ。そうだな…………例えば、森の奥にある貴重な薬草を取ってくるとかはどうだ?」
     シェンシェンの提案に、ラン・ワンジーは視線を横にずらす。シェンシェンがその視線の先をたどると、そこには薬品棚があり、大量の薬草が干されていた。かなり希少な薬草も多く、それ以上に価値のある薬草を採取することは、この森ではできないことを、シェンシェンは悟った。
    「えーと、じゃあ、失せもの探しは? 見つからなくて困っているものがあったら、大抵のものは探し出せるぞ。人探しも得意だ」
    「……必要ない」
    「ふーん。まあ確かに、あんたってきっちり物は整頓する性格に見えるし、うっかり物を無くしたりして困るなんてことなさそうだな」
     シェンシェンは、無駄のない室内の調度をぐるりと見回して納得した。
    「なあ、何かないか? このままじゃ俺もおさまりがつかないよ」
     じっと、懇願するようにラン・ワンジーを見つめるシェンシェンだったが、対するラン・ワンジーはつれなかった。シェンシェンが乗ったままの竪琴を長椅子の横に置いて、そっと彼を掴んだ。
    「もう就寝の時間だ。君も帰りなさい」
    「ええー。まだ月が、森で一番高い樹にも隠れていない時間じゃないか……」
     窓枠に返されて、シェンシェンは口をとがらせる。
     しかし、ラン・ワンジーはシェンシェンの苦情を受け流し、そのままベッドに横になってしまった。
     シェンシェンは、しばらくベッドの横でふわふわと飛び回って、本当にラン・ワンジーがこんなに早い時間に寝るのか様子をうかがっていたが、すぐに規則正しい寝息が聞こえだしたため、名残惜し気に鱗粉を窓辺に残し、ラン・ワンジーの家を去っていった。
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    遭難者

    MOURNINGネタバレです、暴走した妄想です!
    以前、魏無羨なんで魂壊れなかったの?って不思議から妄想。
    テキストも上げられるんだ!ということでベッタにあった初文章を
    藍湛誕生日に…内容関係ないけれど!!
    ーーーーーーー

     不可解なことがあった。

     何故、自分の魂はここにあるのか。


     自分が死んだ時、その時のことはあまり覚えてはいない。残っているのは魘されても醒めることなく泥沼でもがいているような嫌な感覚だけだ。
     反噬により肉体がなくなったとしても、魂はどうして今まで持ちこたえていたのか…

     鬼道で纏った陰湿な怨気が動力となり魂を存続させていたのだとしたら、恐らく大暴走しているはずだが、巷に流れる夷陵老祖が起こした事件はあまりにも小さい。…まったく、開祖に失礼なほど小さい。とすると…外に放出されていない怨気は内に籠り、魂を蝕んでいた可能性が高い。

     あの時、甦らせたい人はたくさん居たけれど、自分が今生に戻りたいは思ってはいなかったと思う。来世に生まれ変わりたいとも考えてはいなかっただろう。
     残してきた温家の人々のことさえ頭になかった。
     自分が招いたことではあるが…いや、自分が招いたことだと思いたくなかったから更に意識を狂わせていった。
    …金丹は長いこと無く、霊力は存在すらしない。

     魂は蝕まれ、この世に留まる気は一切なく、精神は傷付き、微々たる霊力すらない。

     魂は 1306

    sgm

    DONEジェイド・ダイナスティの冒頭の御剣の術を見てたら、あれ、割と剣の上でいろいろできるでは?てなりました。
    夜空でかち合う曦澄。
     思い立ってしまってから行動に移すのは自分でも驚くほどに早かった。それほどまでに切羽詰まっていたということか、と三毒の先を姑蘇の方面へと向け、空高く飛びながら江澄は自嘲した。
     ここのところ忙しくて、三か月ほど藍曦臣に会えていない。仕事でも私事でも。文は交わしているし、三か月会えないことなど珍しくもない。そもそも金丹の力によって加齢は一般の人間よりも緩やかなのだから高々三か月会えない程度大したことではない。けれど、色々と重なった結果、江澄は疲れてしまった。
     金凌が蓮花塢に訪れていないため、手軽な癒しである仙子も吸えない。かといって仙子で癒しを取りたいから蓮花塢まで来い、などと金凌を呼び出すわけにもいかない。
     ならばせめて、顔見知りの商家で飼っている犬で癒しを得ようと視察ついでによれば、ちょうど今発情期で誰彼構わず足にしがみついて腰を振るので、頼むからそっとしてやってくれ。宗主の足に自分の犬がしがみついているのなど申し訳なくて見ていられない、と泣きつかれてしまっては無理に近づいて撫で繰り回すわけにはいかない。
     手頃な癒しを取り上げられ、仕事は山済みで、ついでに今日の夕餉で愛用の茶杯 3687