やっぱり曙サンさ、今日ちょっと元気なくない?
そう顔を覗き込まれて、涼は目をぱちくりとさせた。公園の噴水の縁に並んで腰掛けて、いつもと同じように奏のその兄である遥との出来事を聞いていただけなのに、どうしてわかったんだろうと思う。
奏の目はじっと真っ直ぐに自分の目を見てきていて、涼は笑った。本当に心配してくれてるんだなと思って、誤魔化せないなあと思った。
「ありがとう。実はケンケンと深幸くんが、朝から揉めちゃって」
すると奏は頬を膨らませて、やっぱり涼は目を細めた。
「あのさ、そういう気になることがあるなら言ってよ。そりゃぼーのがいつも俺の兄貴の話に付き合ってくれてるのは知ってるよ? でも俺だって、ぼーのが落ち込んでたら気になるんだからさ」
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