赤縄繋足 外気に輪郭が融けて、思考が拡散してゆく。細かな細かな粒子になって、俺の存在は大気に四散する。
カチリ。
悲しみと恐怖に握り込んだ手の中で、小さく悲鳴を上げた金属音がここに居ると叫んで自分を取り戻す。
目一杯開けてもだらだらと固まり落ちる水流のシャワーを浴びて、ミスタ・リアスは汗と悪夢を洗い流した。
グレイッシュピンクの柔らかな髪を乱雑にタオルで擦って、シャツを羽織ると認識票の付いたチョーカーを締める。
指輪と、最近入手した艶光りするオニキスのブレスレットを付けて、俺を固定する。
アクセサリーの緩い拘束感が好きだ。
挨拶をする為にボイス・チャットに繋いだリストに、アイツが居ない。
「おっはよーぉ!」
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