射的銃口にコルクを詰めて狙いを付ける。最初の一発は捨てみたいなもんだから期待はしないけど、せめてかっこいいとこを見せたいという欲はどうしたって湧いてくる。
ぐっと引き金を引けば、軽い反動と同時に、ぱきゃん、と音がしてラムネ菓子のボトルが揺れる。…だが当たりどころが悪かったのか、一瞬ぐらっと傾いただけで落ちてはくれなかった。
「あっくそ、惜しかったな…」
「当たりはしたんだがな…です。」
「…次は落としてやる!」
先程の感覚を頼りに狙いを調整して、もう一発。
今度は無事にキャラメルのタワーを崩し、下まで落ちた箱が俺たちの前に積まれる。
「はいおめでとさん!」
「っしゃ」
「上手いな。おめでとう…です。」
「おう。…こういうのって、あんたんとこだと
誰が一番上手いんだ?クースカもジャロップも
そつなく当てそうだけど…」
「ウララギだな。」
意外な返答に手元が狂った。コルク弾は狙っていた菓子から大きく外れて、斜め上のトランプを台から弾き落とした。
「え、マジか。しかも即答かよ。意外だわ…」
「あ、いや、…これ以上はやめておく。
黙秘権を使わせてもらう…です。」
「あは、何慌ててんだよ、気になんだろうが。
でもまあ、背高えからなぁ…双じゅ、いや。
たぶん…ジョウと同じくらいか?」
再度発射。
狙ったポッチーは倒れただけだったが、巻き込まれたガムが運良く落ちた。…まあ落ちれば何でも良いんだよ。
「手が長え分、有利だしなぁ」
「…………まあ、そうだな……です。」
「うーん…当たるけど上手く落とせねえな…。
…なあ、あんたも撃ってみろよ。あと3発」
「良いのか?回し撃ちになってしまうが…。」
「…おっちゃん的にはどうなんだ?」
「全然平気。うちはそういうの気にしてねえよ」
「そうか。では少し借りるぞ…です。」
無事おっちゃんの許可も出て、リカオは俺が差し出した銃を素直に受け取る。自分がやるのは子供の頃以来だなんて言いながら、リカオが弾を込める。
狙いを定めて構える姿から目が逸らせなくて、やっぱり好きだなと改めて実感した。
ぐっとリカオの人差し指に力が入る。その直後。
あの絶妙に締まらない発砲音が響いた。
……ぱきょん!