【突発!お蔵入り忘羨】冷たい洞穴の中。二人は熱を分かちあうように寄り添って座っていた。
「寒いよ…俺、死んじゃうのかな」
体温が下がっている彼の体を藍忘機がさする。魏無羨の手は氷のように冷えていた。その手を両手で温めてやると、魏無羨がピッタリと藍忘機の胸に頭を預けてくる。
「私が死なせない」
そんな二人を少し離れた場所から眺める二人の少年がいた。
「思追…含光君、ずっと同じこと言ってるけど飽きないのかな」
「ふふ、魏先輩に合わせているんだと思う」
藍景儀はフーンと目をすがめ、熱々な道侶たちから目をはずす。姑蘇の方が寒いというのにと思った事はあえて黙っておいた。この場にいる全員が知っている。魏無羨が自分の呪符で火を起こせる事を。夜狩りの帰りに突然雪嵐に見舞われてしまい、急遽見つけたこの洞穴に避難する事になったのだ。
「あーあ、早く嵐がおさまったらいいのに」
そうすればこの無駄なやりとりを聞く事なく帰って修練に集中できる。
藍忘機から瞑想も霊力を上げる効果的な方法だと言われ実践していたのだが、魏無羨が「藍湛、藍湛」と甘えた声を出していて、集中力が続かない。
「慣れればいいんだ。景儀ならきっとできるよ」
「この会話に慣れてるお前はすごいよ。早く晴れてくれ~」
藍景儀の独り言が聞こえたかのように嵐は静まり
晴れやかな空が顔を出したのだった。
~fin.~