蒼い鳥は幸せを謳い続ける レオナ、ありがとう。みんなにおれのことを手紙で知らせておいてくれて。おかげで、みんなもちゃんとわかってくれてる。ポップのことをそっとしておいてくれる。うん、そうだね、あの時は少し大変だった。マァムが「ダイのことをちゃんと見てあげて」って言った時。ポップが「わかってる、だからおれはダイを探している」って静かに言い返してさ。マァム、最後はおれたちのことが可哀相って泣いてたっけ。やっぱり、そう見えちゃうのかな。レオナ、あの後でマァムと話をした?そう、色々とフォローしてくれてありがとう。マァムもわかってくれたんだ。良かった。手紙だけだとわからないよね、おれが隣にいるのにおれのことがわからないなんて。おれだって、いまだに信じられないもの。人間の心とか頭って凄いよ。
実はあの日からしばらく夜も大変だったんだ。ポップはダイを探す旅に備えてちゃんと眠ろうとするんだけど。ずっとうなされてさ。うなされて目が覚めては自分に呪文をかけて眠って、またうなされて起きての繰り返しで。いつもは、おれが手を握って声をかけると落ち着いて眠ってくれるんだけど。それもなかなか効かなくて。あ、今は落ち着いているから大丈夫。でもおれ、またそんな夜がきた時のために、よく眠るためのお茶とか香りをメルルに教わったよ。一緒にポップの心も診てもらったけど、心の中はダイでいっぱいってことしか視えなかったみたい。それ以上は入り込めないって。
ジャンクさんたちのところにも行ったよ。ポップのいないところで「旅を続けるときは、無理をしないようにみておきます」と「ごめんなさい」と伝えて。おじさんたちは、おれが謝ることじゃないって言ってくれたんだけど。やっぱりどうしてもさ。
その日、おれはポップの家には泊まらずに、ルーラでじいちゃんのところに行って泊まったんだ。邪魔しちゃいけないかなって思って。そのまま、ポップがおじさんたちのところにいるならそうなってもいいと思って。でも次の日の朝、ポップがおれを迎えに来てくれてさ。嬉しかったよ。ポップ、おれがダイだってわかんなくても、ちゃんとおれを迎えに来てくれるんだって。おれを迎えに来てくれるのはいつだってあいつなんだ。
じいちゃんといる時はね、おれがダイって呼ばれてもポップは大丈夫みたい。たぶん、最初にじいちゃんが「この子はダイに似ているから、ダイと呼んでも構わんか」ってポップに優しく言ってくれたからだと思う。ポップも、じいちゃんの前ではダイを探すってあまり言わないし。ぼんやりと、じいちゃんとおれを眺めているんだ。眺めているうちにすとんと眠っちゃうから、頭の中で色々と考えて動いて疲れちゃうのかな。
ポップが「おまえ、じいさんのところに残るか?」って聞いてくれたんだけど。でもポップはダイを探す旅を続けるっていうから。おれはポップと旅を続けるんだ。ポップって凄いんだよ、あの頃のおれのことをよく覚えていて、何かあると「あのときダイは」って教えてくれるんだ。おれはもうおれのことを忘れていることも多いのに。ポップにとってのダイは、ちっこくて恰好よくて可愛くて本当に頼れる相棒なんだね。いつかおれもそうなるといいな。
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