雨の日 例えば雲一つない空から太陽の光が己に向かってどれだけ降り注いでいようとも、はたまた、分厚い雲に覆われ昼なのか夜なのか判別できない程の暗闇の中で、痛い程の大粒の雨に打たれていようとも、降魔を休むという選択肢はない。
天気など気にしない。それは魔物も己も同じだ。いざ戦闘になれば、どちらが悪鬼なのかもわからないと言えるだろう。
今日は雨だった。視界は悪いが気配は追える。こういう時は方士もあまり見かけないゆえ、魈の役割、己の意味を今一度胸に刻みつつ、いつもと同じように空へと飛び立った。
雨だからといって利点がない訳ではない。凡人が出歩いていることが少ないので戦いやすい。泥を蹴れば目潰しにもなる。欠点と言えば、水分を吸って、いくらか衣服が重たく感じるくらいだろうか。
2306