アサシン&チェリッシュ×2『あらしのよるに』
『今夜、遅くから雷雨になるでしょう』という予報の通り、窓の向こうから度々、低い雷音が聞こえていた。
深夜過ぎ、迅はベッドの上でまだ起きていたが、ふと室内の照明が手元のスマホのバックライトを残してすべて消える。
ああ、停電か──。
雨は激しさを増すばかり。昨今の大雨は非常事態をもたらすことしばしばだが、まあ、すぐに復旧するだろう、と迅は楽観していた。
『暗くて怖い』にかこつけて嵐山がベッドに突撃してくるのでもなければ、後はもう寝るだけだし。
窓の外で稲妻が光った。まるで昼間のような白い光がフラッシュして、遅れて雷鳴がした。空気を震わす重低音が広い部屋の中にまで響く。雷はいつの間にかすぐ近くに来ていたらしい。
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