【弟子バロ】バロック・バンジークスと大いなる謎 決して見ようとして見たわけではない。
それは確かであるし、夜に書斎に行こうとしたのも、元をたどれば亜双義のせいである。
慣れ親しんだ廊下にて、バンジークスは混乱と共に立ち尽くしながら、どうしてこうなったのかを静かに考えていた。
――またグラスを置きっぱなしにして……。普段から物はあるべき場所に戻すべきだ。神の雫は管理できるのに、どうして他はてんでダメダメなのか理解に苦しみます。そんなだから支給の銃すら紛失するのです。
ことあるごとに口付けを求める相手だというのに決して甘やかさないあの態度。好ましいとは思うが、あまりの切れ味に、その場にいた執事の顔色がものすごいことになっていたのが昨日のことだった。
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