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    20210731 ギャグ セックスしないと出られない部屋VS自分自身の意思以外に従う気は一切無い男 そして数秒後開いた穴にぽかんとする子供

    ##明るい
    ##全年齢

    実録都市伝説完勝ルポ ノブに手を掛けるは元我が運命の伴侶現生涯ただ一人の本命たる少年。まずは適当にそのまま手首を振ったり回したり。ガチャガチャと鳴るもののあくまでそれだけのノブに対し覚悟を決めたように頷くと、少年は手を、身体を後退させることでドアから離す。そしてある程度間隔が取れるや否や勢いよく気合いの入ったタックルを仕掛けたが。
     いて、と叫ぶと同時に、反動かふらふら数歩後ろに下がった身をとりあえず確保。なるべく優しく背中からシーツの上に落とす。続けて自分も隣に腰掛けるがこれは仕方のないことだ。このミニマリストも真っ青な部屋には腰を据えて話せる場所などこのやたら巨大なベッドだけなのだから。
    「お疲れ様。これで分かっただろう?」
    「わかったけど……どうしよう」
     腕を組む少年の表情は言葉と裏腹に一切変わらないが、その実この異常事態に混乱しきっているようで物は試しと散らばる中からひとつ持たせたクッションをおそらく無意識にぎゅっと抱きしめ続けている。ああ今すぐカメラが欲しい。軒並みさっさと見付けて破壊してしまったのが悔やまれる。 
    「俺たちもう出られないのかな」 
    「まさか。僕はこんなつまらないところで終わる人間では無いし、君も終わらせない」
     ただの慰めではなかった。自分達に終わりが来るとして、その最も楽しかろう瞬間を見知らぬ他人がどうして決められようか。 
     それに心配せずとも――これは少年の知らない事実だが――これを仕組んだ何者かの目的は自分達を閉じ込めることではない。 
     条件を満たすと開く小部屋。少年より先に目覚めた自分は速やかに状況把握に動き、扉の上に掲げられた指示看板にそうであると確信を得た。
     では何故少年はいつまでも察せられずに出られないかもと怯えているのかといえば――簡単だ。指示看板はもう無い。壊した。彼が目覚め視認する前に自分がそれはもう丁寧にボキボキバキバキと折り潰したのだ。もちろんそれ用の道具やら何やらも一切潰して目につかないところへ隠してある。その際隠し端末で通信も行ったのでほどなくアレが尻尾を振って駆け付けるだろう。こういった物は空間外からの攻撃には案外弱いのがセオリーだ、問題はない。
     迎えが来るよと言えば半信半疑ながら少年は頷く。この素直さを利用すれば指示通りの展開へ容易く誘導できたに違いない。しかしそれはあまりに卑怯な行為であり、最終手段だ。
     あとそちらに走ったが最後間違いなく自分と彼が真に結ばれる未来は消える。しかし逆に、指示はこうあるが僕らはしないでおこうと言ってもそれはそれで一生その認識から変わってくれない可能性が高い。
     ゴシック体で書かれた阿呆な指示を見た瞬間感じたのは間違いなく怒りだった。誰だか知らないが勝手なことを言ってくれる。彼の事を何も知らないくせに。自分がいかに慎重にことを進めているか知らないくせに。 
     終わりも始まりも過去も未来も、あらゆる二人の権利は自分にある。そんな事も察知できなかった愚かな壁に今穴が開こうとしていた。
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