手に纏わる現パロ2編【右手】
先生の車は左ハンドルなので、先生の車に乗せてもらう時は自然と先生の右隣に座っている。
ボクは先生の車に乗せてもらうのが好きだ。
運転してる先生はこの上なく格好いい、いや何をしてても恰好いいけど。
他愛もない話をしながら先生に見惚れていたら、先生が右手で胸のポケットの煙草を探りかけてすぐ止めた。
先生はチェーンスモーカーなんだけど、ボクが初めて車に乗せてもらった時にその匂いにすごく嫌な顔をしたのを見て察したのだろう、車で煙草を吸っているのはその1回しか見たことがない。
そんな気遣いがまた格好いいんだよな~とニヤけていたら
「ん…」
急にその右手をボクむけて差し出した。
「?」
コーヒーかな?とテイクアウトしておいたコーヒーを差し出した。
「違う、手だよ、坊やの左手貸せ」
「手?」
意味が分からないが取りあえず先生の差し出された手に重ねるように左手を出す。
「手のひらの方」
「こうですか?」
手をひっくり返して手のひらを上にしたら、先生の右手がその手をキュッと握って、そのまま自分の足の上に置いた。
「ちょっ…っ!」
「右手が暇だからな、貸しとけ」
そのまま、やわやわと握ったりゆるめたり、長い指でボクの指を挟んでこすり合わせたりしてくるのは、絶対にエロイことを意識してやってる。
「先生…」
「なんだ?」
運転したままこちら見ないけど横顔は悪い大人の顔だ。
「そういうのオッサンくさいですよ」
意地で強がってみたけど、先生にはまったく効いてなかったし、ボクも手を振り払えなかった。
--------------------------------
【ベッドで】
ノヴァの手を握ると安心をすることに気付いてしまった。
少なくともその手を握っている間は離れることはないし、坊やに置いて行かれるような焦燥感も減る。だから事あるごとにノヴァの手を握る。
それはベッドで抱き合う時も。
「坊や」
そう呼んで後ろから抱きしめて貫いて揺すり上げるときもシーツを掴んで耐える、その手を上から握る。
己の体の下に組み敷いたノヴァの両手を、自分の両手でマットレスに縫い留める。
強く握ってやれば応えるように握り返してくるのが、堪らない。
絶頂をきわめてくったりとした坊やに、腕と胸を枕として差し出してやれば、おずおずと胸に添えようとするその手を奪って絡めとる。
しばらく、そうやって手のひらを遊ばせていると、落ち着いたらしいノヴァが絡めていた手を振り払って、俺の手の中から奪い去っていく。
「なんだ?」
「先生って…手の触り方ってエッチですよね」
若い恋人は、のんきに可愛いことを言う。
「そりゃそうだろう、どうやってその気にさせるか考えてるからな」
聞いたくせに真っ赤になった坊やに、どうやら図星らしいことを知る。
「…証明してやろうか?」
意地悪くそう言ってやれば、一瞬怒ったような顔をするくせに振り払った手を差し出してくるんだから可愛いもんだ。
取り戻したその手の指を口に含めば、坊やが再び可愛く啼いた。