先生と雄っぱい先生は大変にスタイルがよろしい。
それを知ったのはお付き合いを開始して初めてキス以上の性的な接触をした時だった。もちろん服の上からでもスタイルがいいのは分かっていたんだ。
背は高いし、肩幅もある、ウェストは少しだけ細いが華奢というわけではない。モデルみたいな体型だなって思ってたんだけど…そうじゃなかった。
曲がりなりにもボクはスポーツ科学を専攻しているので体の部位や筋肉について一般の人よりは知識もあるし、ボク自身がアスリートだったので鍛えてもいたし。人の体について見識があると思っていた。
その日、先生とキスをして気分が高揚してきてお互いに素肌に触れたくなって、先生がボクの着ていたシャツを捲り上げて素肌の脇腹に触れてきた、突然自分以外の体温が触れたことで思わずビクリと体を震わせたら、それが先生の興奮をさらに煽ったのか、さらに奥まで手が滑り込んできて、ボクはだんだんと息が荒くなって自分だけそんな状態なのが恥ずかしくて、ボクも先生のシャツの裾から手を差し入れて、初めて先生の生身に触れたんだ。
そしてボクは思った。
「なんだこの山脈は」
いや腹筋だな。
先生の体はアスリートとは違った均整のとれた逞しさだった。
ハリウッドスターによくいるタイプのマッチョ。
当然、ジムでトレーニングをしているというので初めて腹筋に触れた次の日にボクもついていかせてもらった。大学で運動の授業もあるけど鍛えるというほどの事はしてないし、なにより選手を諦めてから運動不足で体力がなくなってる気がしたからだ。
先生は会員制のジムに通ってるとのことだった。
外国人も多いエリアにあるジム。そういうジムじゃないと先生は目立ってしまうので仕方ないと思うが、すごいセレブ感のあるジムだった…トレーナーさえも外国の方だった。
ゴールデンブロンドで目の下にうっすらと傷か痣のようなものがあるトレーナーさんと一言二言話すとボクにビジター用のリストバンドを渡してくれた。
「今日はあまり時間もないから軽くな」
そう言いながらロッカールームに向かっていくとビジター用のトレーニングウェアを渡され着替えていると、隣で先生も着替え始めた。
シャツを脱いで上半身が露わになると裸体の神々しさで目がつぶれるかと思った。太い首から肩と背中に繋がる形の良い僧帽筋、そこから連なる大きな三角筋と上腕二頭筋…そして昨日触れた硬いシックスパックと雄っぱ…もとい大胸筋!
男のボクが見ても筋っぽくならず肉感的でセクシーな体つきだった。
何というか厚みがある。
「先生…脱いだらすごいんですね」
「何おかしなこと言ってるんだ坊やは」
「だって先生すごい着やせしてるから、もっとスレンダーなのかと思ってたし、その、そんな体してると思わなくて」
思わず視線を足元に落とした。
「すごい恰好いいなって思って…」
言ってて恥ずかしくなってしまってモゴモゴしてると、先生は悪い顔でボクの顎先を指で上向かせて視線を無理やり合わせてきた。
「興奮するか?」
真っ赤になったボクは思わず先生の顔を両手で押し返して、そこあったタオルを先生の顔に向かって投げつけていた。大笑いでそれを受け入れる先生が憎たらしい!
自分に自信のある奴はコレだから!
その後、宥めすかされてフロアに一緒に行くと沢山のマシンの中からチンニングスタンドの前でとまったので背中のトレーニングをするのかと思ってみてると、ぐっと背中に力をいれた時に盛り上がったウェアの上からでも分かる広背筋…に目が釘付けになる。
ボクは鍛えてた時でもそんな風にはならなかったのに、なんでアスリートでもない先生にはこんな立派な筋肉がつくんだ。ずるい。
ボクは少しばかりムッとしながら先生から離れて別のマシンでトレーニングを始めることにした。さっき先生が話していたゴールデンブロンドのトレーナーが側につてくれてマシンの使い方について説明をしてくれた。
久しぶりにベンチプレスをやってみようと説明を受けていたら、チンニングを切り上げた先生がこっちにやってきた。
「分かってると思うが無理するなよ」
「わかってますって、これでもアスリートだったし」
「ロン、過保護がすぎるだろ俺が見てるから心配するな」
英語でトレーナーが先生に黙るように言ってくれたので、先生はバツが悪そうにふうと息を吐くと「頼んだ」とだけ言って別のマシンに向かっていった。
「お前、だいぶロンに気に入られてるな」
僕が英語を理解してると分かったのかトレーニング中にトレーナーさんが話しかけてきた。
「え?」
「さっきお前に絶対に怪我させるなと言われた」
恥ずかしい…。
僕がトレーナーさんについてもらってベンチプレスを終えた頃に先生が戻ってきた。次は先生が使うというので汗を拭いてから先生に場所を譲るとトレーナーさんが先生に声をかけた。
「負荷はどれだけかける?」
「…160か、いや165」
ええ?!先生って家具職人ですよね…どこ目指してんですか。アスリート並じゃないですか。そりゃあ~あの体になるわけですね。大胸筋から腹筋に連なるはっきりとした筋肉の隆起を見ていると、もはや自分のトレーニングなどする気になれず、もともと1時間程度の予定だったので先生の残りのトレーニングを見学してた。
先生のトレーニングが終わったのでシャワールームで汗を流した。ボクはほとんど汗をかかなかったので先生より先に隣接のロッカールームに戻って着替えをしていると、腰にタオルを巻いただけのほぼ裸の先生が戻ってくる。
なんというか本当に、この人着やせするんだな…。
トレーニング後なので多少パンプアップしてるのだろうがすごく筋肉が大きい。同じ男として格好いいと思うし憧れる。それからとてもエロティックだ。
ジッと見てたのがバレて、ニヤリとして近づいて来たと思ったら汗を流したばかりの素肌で抱きしめられてキスされた。
一瞬目を閉じそうになったがここがロッカールームだったと思いだして慌てて離れると「キスしたそうな顔してるからだ」と言われてしまった。
つい照れ隠しに皮肉を言ってしまった。
「家具職人って、そんな立派な体が必要なんですか?」
「そう思うか?」
「いいえ思ってなかったですね」
「そうだな必要ないな、機械で作業するからな」
「じゃ、なんでそんなに鍛えてるんですか?」
そう質問すれば先生は、顎に手をあて一瞬考え
「美意識と凝り性」
つまり、自分であっても自分の美意識から外れるのが許せないんだそうだ。
自分が美しいと思う造型を己の体にも求めた結果なんだそうだ。
「じゃあボクの体は貧相とか思ってるんですか?」
「何事もバランスだからな、坊やはそれでいい。」
俺は背が高い分、筋肉をつけて厚みを出さないとそれこそ貧相に見えるんでな、鍛えてバランスとってるうちに凝り性が発動して、こうなってるだけだ。そう言いながら、先生は着替えを進めていく。するとなぜかあの逞しい体は見えなくなってスマートでモデルのような先生が現れる。
「ねえ、先生」
「なんだ?」
「あんまり、外で脱いだりしないでくださいね」
「俺は露出の気はないぞ」
とはいえ、あんな眩しい体を知ってるいるのは僕とせいぜいのジムのトレーナーさん位にしてほしい。って言ったらどんな顔をされるかな。