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    kura_purple

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    七+五

    振り回されるのは嫌いじゃない+甘え下手

    おきなわ食事を終えてひと心地。食後酒の余韻の中、片付けを済まそうと立ち上がるのを見計らったかのように呼び鈴が鳴った。
    「…どうしたんですか?」
    アイマスクで顔が半分隠れているとはいえ、無表情な五条が黙って立っていた。
    「僕、これから出張なの」
    「はぁ」
    「沖縄」
    沖縄と聞いて胸の奥底が少しだけざわつく。遠いあの日、ガラス越しに見た深い青空と真っ白な綿のような雲。あれ以来、縁もなく行く機会も意欲もなかった。
    …だったらなんだと言うんだ。そんな感傷はもう。
    「そうですか。行ってら——」
    「行こう」
    「は?」
    「沖縄」
    嫌だとすぐに断ろうとして、依然表情のない五条が気にかかる。五条が何を考えているかなど分かった試しがないが、もしかしたら、もしかすると、同種の感傷を抱いているのかもしれない。
    お互いあの空の下で一緒に過ごした人はもう誰もいない。
    「私、明日休みなんです」
    「知ってる。航空券も宿も手配済み」
    「初めから拒否権ないんですね」
    見えている口元は来た時と何ら変わらないのに、その眼はアイマスクで見えないというのに、何となく五条が泣きそうに見えて、ため息と共に部屋に促す。
    「せめて片付けをさせて下さい。食器を洗うところだったんです」
    「…うん」
    大人しく七海に続く五条は呼吸を思い出したかのように息を吐いた。
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    mahiruBBB

    PROGRESSほりぃさん(@57Dholly)、いはしさん(@sardine57817)のリレー小説バトンを僭越ながら頂きまして…これで良かったのか?!誰かが、優しく己の髪に触れている。壊れものを扱うかのように細やかな動きをみせる指先は、しばらくするとそのまま降り、頬まで来るとむに、と薄い肉を摘んだ。
    「起きてるんでしょ、七海」
    寝たふりなんて可愛いね。そう言いながらずっと弄られている頬が痛い。まだ惰眠を貪っていたかったのだが、この我儘な恋人は1人でのんびり目覚めを待つなんて芸当は出来ないようだ。
    「…止めてください、痛いです」
    「あ、起きた」
    「起きたんじゃなくて、起こされたんです」
    「えぇ〜どっちでも良くない?」
    ジトッとした目で見つめるも、『すっきりしました‼︎」と顔にかいてあるご機嫌野郎は全く意に介さないようだ。何回繋がったのか途中から覚えていないが、とりあえずズキズキと痛む腰が昨晩の激しさを物語っている。床に落ちているぐしゃぐしゃのリネン類は見なかったことにして、五条さんが手渡してくれたミネラルウォーターを煽った。
    「ねえ、ご飯とシャワー、どっちにする?」
    それとも僕、かな?なんて寝惚けたことを曰う五条さんにキャップを閉めたペットボトルを投げつけるが、直前でボトリと上質なカーペットの上に落ちた。クソッ。
    「えっ今舌打ちしたよ 1194

    sardine57817

    CAN’T MAKE五七ドロライ「囲う」用。
    開始20分でなんか違うなって思ってしまったので供養。
     二〇一八年九月。等級不明呪霊による一連の事件で受けた傷の予後観察のため高専に訪れた七海を医務室で待っていたのは家入ではなく五条だった。目隠しを少し上にずらして、手元のコピー用紙を睨んでいる。
    「家入さんは?」
    「その前に確認したいことがあってね」
     人払いをしてまで話したいことはなんだろうと七海が訝しんでいると、これを見ろと言わんばかりにそれを寄越される。虎杖による事件の報告書だ。特級術師でありながら教鞭にも立つ男はこういった添削の作業も仕事の一環である。
    「これ、何?」
    「例の呪霊の無数の手の領域展開のことですか?」
     任務に関するデータは克明に記録しなければならない。実戦で得た経験は文書として提出し、共有される。呪いとの戦いが始まってからずっと変わらない慣習である。
    「そこじゃない、その後だよ。『七海一級術師は戦闘態勢を解いていた』って何?」

    「窮地に立たされたときの人間の行動としては相応しくなかったのかもしれないですね」
    他人事のように言い放つ彼に憤りを感じた。

    「いっそ僕が何もできないように囲ってやろうか」 469