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    kura_purple

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    ring(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17058817)を書いた後ちょっと書いて放置してたら本誌で正解が出たから供養。下書き落書きレベルです。
    ※本誌ネタバレはありません

    あまりにぶつ切りで終わってたので最後少しだけ付け足しました。

    #七五
    seventy-five

    ringed「七海どこにいんの」
    ヒュっと息を飲んだ伊地知の反応は、理解するには充分だった。
    窮屈な箱から出たら人類はもういませんでした、なんて事が過らなかったわけじゃない。それに比べたらマシな方だろう。……人類にとっては。
    「死んだの」
    言い淀む伊地知がyesかnoで答えられる質問にする。
    その声が我ながら明日の天気を聞くかのように、飲み会の出欠を聞くくらいの軽さで。
    ごくごくありふれた会話のようなトーンは伊地知の心臓を殴ったらしい。
    「五条さん!!」
    伊地知がこんなにも声を荒げ、非難の目を向けた事はなかった。
    僕の態度が気に入らないのは分かるけど、伊地知を気にしてる余裕はない。
    「鍵」
    「え、」
    目の前に手を突き出してやれば怒っていたのも忘れたのか狼狽えて僕の手と顔を交互に見てくる。
    「七海のロッカーの鍵」
    「あ…はい…誰も触らずにそのままにしてあります」
    ん、と受け取って部屋を出た。


    伊地知が口を挟むまでもない。
    もしここで五条が泣き崩れたとしてもどうしようも出来ないのに一緒に悼みたいとは傲慢だ。
    同じ世代に生まれた先輩後輩ではあるが、二人の間には入れない。
    それでも少しでも分け合えたら…。
    伊地知は出て行く五条の背に頭を下げた。


    小さな鍵を手で弄びながらロッカールームへ入った。高専の一部は壊滅的だったがここは無事で、少し埃っぽいだけだった。
    小さな名札に『七海』と手書きされた個人ロッカー。思わず筆跡を指で辿ってから軽く息を吐いてから鍵を突っ込む。カシャンと軽い音を立てて難なく解錠されて、意を決して扉を開く。
    中にはいつも着ているスーツが一式。革靴が一足。
    ビシッとキメたスーツ姿でゴリゴリの近接スタイルとかほんと何考えてたんだろう。似合ってたけど。そんな姿が好きだったけど。
    リーマンにとってはスーツが戦闘服ってやつ?それにしてもこんな汚れやすい明るい色なんて。復帰しに高専に戻ってきた時は濃い色のスーツだったのにどんな心境の変化だろう。
    たまに汚してたけどそんなにダメはしてなかった気がする。それでもこんな風に予備を用意しておくところが七海だなって思う。

    あとは棚の上に高級そうな紙袋。
    腕時計か何かだと当たりをつけて手に取ると予想外に軽い。
    少し埃の被ったベロアのケース。これはどう見ても。
    そっと開いてみると2つのリングが並んでいた。
    「オマエさぁ…」
    まるで七海がそこにいるかのように呟く。目の前のスーツが錯覚させたのかも知れない。
    シンプルなシルバーのリング。内側にそれぞれのイニシャルが刻印されていた。
    一体どんな顔して買ったんだか…。
    想像して笑う。
    「オマエが渡すっつっただろ」
    『S』と彫られた方を薬指に通す。指のサイズなんていつ測ったんだろう。
    ついでにもう一つ『K』と彫られた方を重ねて嵌めてみると少し緩い。
    しっかりとした骨太の手を思い出す。
    何度指を絡めたかな。
    先に嵌めていたリングを外し『K』『S』の順に嵌める。
    ジャストサイズの『S』で蓋をすれば『K』も外れないだろう。
    満足して左手を眺める。

    いつだったか噛み付かれた跡はすぐに消えてしまった。
    今度は消えない。
    一目で分かる、誓いの証し。
    これは確かに縛りかも知れない。
    「愛してるよ」
    二つ重ねたリングに口付ける。
    この歪んだ呪いが、誰よりも愛しいお前に届くように。
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    smalldespair57

    DONE五×転生ばぶ七 
    事変後もろもろ落ち着いた世界線で、最速転生した七(5ちゃい)を五(34ぐらい)が育てています。
    七幼児注意。全ては私が生きるための妄想です。
     よく晴れた昼下がり、気温は20℃前後、空気も澄んで抜群の公園びより。
    平日でも結構子連れが多く、家の近くにはない大きな遊具や広い芝生で楽し気に遊んでいる子らの声が、青空の下に響いている。

    七海もついさっき、公園に着くまでは同じようにはしゃいでいた。
    片手に砂場で遊ぶための大きなプラスチックのスコップをひきずり、片手では僕の手を握ってはいたけど、早く遊びたくて今にも振り払って駆け出していきそうだったのに。今は、足から根が生えたみたいにびたっと止まって動かない。僕の手をぎゅううと握りしめ、直立不動で、目の前のたくさんの呪霊を視界に入れないようにうつむいている。スコップも力なく地面に置かれてしまった。

    あーあ、ガン萎えじゃん。せっかく朝早くから遠出して、お弁当も持ってきたのになあ。


    「……こわいこわいがいる」

     七海がボソッと口に出す。もちろん僕も気づいてはいた。だって僕だし。
    でもまさかこんなに数が多いとは。ざっと数えても二十体はいる。
    でも何体かは、僕のヤバさに気付いてそそくさと姿を消した。うん、賢明賢明。

     滑り台の上でギャン泣きしている女の子を、母親がスマホを構えてほら 4072

    ju__mati

    DONE負傷して流血したけど諸々あってうまく反転術式を回せなかった五が七に見つかって…というお話。
    なこさんの『その後の話』(https://www.pixiv.net/artworks/92989745)という漫画に触発されて書いてしまいました…
    追記:なこさんがこのお話を受けてイラストを描いてくださいました!😭
    https://poipiku.com/2376993/5356322.html
    反転術式に頼りすぎるのは良くないよ、という、現在の主治医で元同級生の言葉を思い出した。ないと思って戦えよ、と。けれどあるものはあるし、これだって五条のスキルのひとつだ。戦闘でスキルをわざわざ封印する方が良くない、と思う。
    要するに、五条は怪我をしていた。油断をしたつもりもないが、領域を使う呪詛師との戦闘後で、一時的に術式が解けていた。ほぼ体術のみで複数の呪霊の跋除を終えた直後に、古典的なしかけにやられた。物陰に仕掛けられたボウガンが、とどめに集中していた五条の脇腹を抉ったのだ。
    掠めた程度だと思っていたが、戦闘を終えて確認した傷は思ったよりも深かった。矢を抜くと吹き出すほどの出血があったが、冷静に手のひらで抑える。毒の有無を見定め、内臓は傷ついていないことを確認する。反転術式を回そうとして、ふと、面倒臭いな、と思う。
    6094

    さかばる

    DONEこちらもリクエストを強奪したお話です。
    雪山で裸で抱き合うってこれで合ってます!?ついでに七五っぽくないですね?これ。いや、七五は少年の頃は線が細く繊細そうな(中身は違う)七海が大人になって溢れる大人の色気を醸し出す男になるのが趣だから・・・・・・。
    ホワイトブレス 五条が任務に向かったのは冬の、雪が降り積もる村だった。
     村で何人もの死体が出ているという報告。そして人間でないモノ、恐らくは呪霊の目撃情報が寄せられた。その呪霊の祓除に担任の夜蛾から五条は指名されたのだった。隣には一つ下の後輩、七海がいる。この任務、五条が指名されたというより、七海のサポート役ということで振られたのだろう。夜蛾にはなるべく七海の自由にさせるよう予め言い含められている。五条はその事に不満は無かった。七海は良い術式を持っているし戦闘センスもあるので鍛えたら強くなりそうだった。ここは先輩として見守ってやろうという気持ちである。ただ、
    「さっみぃ〜〜!」
     真冬の夜で今も雪が降り続くこの現状が問題だった。補助監督の運転する車を降りて高専の制服の上に防寒着にマフラーを身につけたが寒いものは寒い。放っておくとサングラスの奥のまつ毛が凍りそうな気がする。
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    ぬけがら

    DONE付き合ってない五と社畜七の始まりそうな春のお話。57FESTA2の展示作品でした。パスワードはずしました。
    『ハルノヒ』「ひょっとして、死のうとしているとでも思っていますか」
     暦の上では春だとしても雨の夜は肌寒い。七海が帰宅して間もない室内は、人間が二人居るのに寒々としている。無造作にローテーブルに置かれたエアコンのリモコンが、ぴ、と音を立てる。微かなエアコンの稼働音に混じって、七海は無表情で外套を脱いだ。室外からは雨の音。冷えた部屋には空調の揺らぎ。その中にぽつりと七海の声が、混じる事なく放たれた。
    「え? ゴメンもっかい言って」
     五条は術式のおかげで濡れてもいない衣服を、それでも確かめるように撫でてからソファーに腰掛けた。テレビスクリーンの真正面に置かれたソファーの、向かって左側。右側には七海が座る。七海は五条の存在を無視しようとして、出来なかった。そんなことを試みる方が面倒くさいと学んでしまっているのかもしれない。呪術界から離れて何年も経つというのに。今のところ毎週金曜日の訪いが突然に始まり、そして三週連続で続いている。七海は問われた事に答えないまま珈琲の準備に向かった。聞こえなかったのならばそれはそれで構わないとでもいうように背を向ける。目元の隈は濃く、立ったままでも眠れそうな具合だ。
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