コスオクっぽいもの「俺の勝ちだぜ、アミーゴ!」
こちらに銃口を向け、いつものような軽口をたたくオクタビオ・シルバ。だが、私は僅かながら違和感を覚えた。右手に握ったウィングマンの銃口は真っ直ぐに私に向けられている。左手は調子に乗ったときにでるメロイックサイン。それはいつも通りの彼らしい仕草に思えた。
しかし、声はどうだ?
僅か、ほんの僅かだが、震えてはいないか?
偏光のゴーグルと口元を覆うマスクで彼の表情はわからない。
私はどうにか彼の表情を読み取ろうとした。人に銃口を向けるとき彼はどんな表情をしているのだろうかという純粋な興味が沸いたのだ。
幸いにも、雲が流れ太陽の光が弱まった。反射していた彼のゴーグルがくすんだ緑色のレンズへと変わる。その奥の瞳が私を捉えていた。泣くのを堪えるかのように震えた瞳が。
「なんて顔をしているんだ」
はっとしたようにオクタビオ・シルバは目を見開いた。無意識、だったのだろか。
「誇りなさい。君の勝ちだ」
私の言葉に彼の瞳が再び揺れた。しかし、何かを振り切るように目を細めた。
「あばよ、アミーゴ。次は同じチームで跳ねまわろうぜ」
同じチームか……それも悪くない。
引き金にかけられた指に力がこもる。それを眺めながら、そう思った。